それでも印象が強いのは「暗闇の囚人」の方です。無実の罪で訴えられた美貌の女性検事と、死刑囚を救うことに人生を賭ける弁護士との絡み合いを中心に描いた、このミステリーはその結末のどんでん返しがあまりに強烈。その展開の見事さは感嘆に値しますが、正直残酷すぎる。男だからかもしれないが、なぜか犯人に同情の念を禁じえない。それが卑劣な犯罪だとしても・・・です。
優れた知性も、高潔な人格も、尊敬されるべき業績も、それさえも追いやるほどの情熱。人間って、感情に振り回される生き物なのだろうか。私は食欲はともかく、どちらかといえば禁欲的な性分なので、犯人の暗く押し込められた情念に、密かに共感を覚える部分がある。
うむ、やっぱり適度に遊ぶことは大事なんだな。さて、今夜は夜の街に繰り出すか・・・