日本にとって大切な隣国はアメリカだけではない。
でも一番大切なのはアメリカであることは確固たる事実である。幸か不幸か、日本列島はアメリカの国防戦略上重要な拠点、世界中に四か所しかない重要な軍事拠点であるため、事実上アメリカの防衛圏内と位置づけられている。
そのためにアメリカ軍基地が多数、国内に配置されているための苦労はある。私自身、米軍基地の隣町で幼少期を過ごしたので、その苦労の一端を身に持って理解しているつもりだ。
それでも圧倒的にメリットが大きいことは認めている。世界最強のアメリカ軍の重要拠点であるが故に、日本の軍隊は事実上アメリカ軍防衛隊としての性格が強く、そのためにけっこう歪んだ軍隊である。
それ故に国防予算の多くを対アメリカ軍駐在経費に取られているとしても、やはりメリットの方が大きい。日本が国家財政の軍事費負担をGNPの1%強という低額に抑えられているのもアメリカ軍あってこそである。
ただしデメリットも多数存在する。いつの時代も外国に駐留する軍隊の兵士たちは、本国にある時よりもストレスを抱えている。そのストレスのはけ口として一般的なのは、酒と女である。不快に思われるだろうが、これは万古不変の原則である。
もちろん、積極的に応じることで金銭的なメリットを享受している人たちもいるだろうが、それは少数派だろう。正直、暴れる軍人って奴は不愉快な存在なのは事実です。しかも、彼らを法で裁く権限はないのだから、反感を持つのは当然だと思う。
ただ、これを最大のデメリットだと思われては困る。
本当に怖れなければいけない最大のデメリットは、自分の国の軍事方針を自らで考えることを放棄してしまっていることだ。いや、防衛省のなかには、独自の軍事方針を考えている人たちがいることは知っている。また霞が関の官僚のなかでも、一部の有志が国防を真剣に考えていることも分る。
また政治家のなかでも、日本の平和を守ることを独自に考えるべきだとする人はけっこう居る。もちろん一部のマスコミにもそう考える人たちは居ることは居る。
しかし、厄介なことに防衛予算を天下り先の確保や、地元への利益誘導に利用したがるお偉いサンは後を絶たない。また独自の軍事路線は、反米思想に利用されやすい問題もある。特にマスコミや言論人に多く見られるため、軍事に関する議論は胡散臭くなってしまいやすい。
反米思想に利用されるのは困るが、現実問題として日本が日本人のために独自の軍事方針を定めようと考えれば、国境(海域ではあるが)を接するアメリカは、最大の軍事力を持つが故に、最も警戒しなければいけない存在でもある。
そして人は変る。世代が変り、育った環境も変れば考え方も変わる。かつて反米自虐が平和への道だと信じていた幼い私は、今では対米追随こそが最も平和に近いと考えているほどだ。中学生の頃の自身を振り返れば、熱烈な左翼少年であったことが信じがたいほどだ。
現状に関する限り、対米追随こそが日本を平和に保つ最善の道だと思う。でも、それが永遠でないことも予測できる。未来がどうなるかは誰にも分からない。長期的にみれば、いわゆる西側先進国は衰退すると思うが、唯一アメリカだけは人口増加によりそうやすやすとは衰退しない。
ロシアも長期的には衰退傾向にあるし、シナは高齢化が深刻であり、アメリカのライバル足り得ないと思われる。南米にも東南アジアにもアメリカが警戒するほどの新興勢力は育っていない。
当面アメリカの覇権は続くと思うし、その庇護下にある日本も安穏としていられるはずだ。しかし対外的には無敵のアメリカも国内の変化に十分に対応できているかは、いささか不透明だ。一言で云えばハンティントン言うところのアメリカの分断化の問題がある。
歴史上、如何なる覇権国も外敵の攻撃だけで滅んだ例は稀だ。多くの場合、新興の敵対勢力だけでなく、国内における不和が覇権国を没落させる。かつての覇権故国であるオスマン朝トルコや清朝などは、国内における富の偏在が政治的に混乱を招き、外の変化に対応できずに滅びの道をたどっている。
私の予測では、アメリカも同様に超富裕層が国内の富の9割を握るような異様な状況が、アメリカを政治的に衰退させると予測している。衰退する国家は、基本的に縮小し、他者を顧みなくなる。必然的に日本及び日本列島の価値も低減すると考えて良いと思う。
そうなったとき、それまで国防をアメリカに頼り切っていた日本がその変化に対応できるかで、その後の未来が決まると思う。現状維持を求める層と、新たな体制構築を求める層との分断と対立が、次の日本の姿を決めるはずだ。
正直言えば、あまり期待できないです。なにせ憲法すら自分では改正できず現状維持に固執する、事なかれ主義が横行するだらけた国ですから。まァその頃には、私は三途の川を渡っているでしょうから、あまり気に病む必要はないと思いたいですね。
久々に見苦しい人を見た。
夕刻の銀座線は帰宅の勤め人で混み合っていた。いささか疲れ気味の私は、シルバーシートに空席を見つけて近寄ると、空いてる席には少し汚れた買い物袋に衣類が詰まったものが置かれていた。
その両側に座っている妙齢の御婦人のどちらかの持ち物に思えたが、双方ともにスマホに夢中で周囲の混み具合など目に入らぬご様子。このご年齢の女性に口を挟むと逆切れすることが多いので、私は冷たい目線で少し距離をとって観察していた。
よく見ると、左側の女性は時折、隣の空席に残置された買い物袋が気になるご様子。でも手を出さないところをみると、どうやら右側の女性が持ち主らしい。ちなみに、右側の女性は左右に隙間を作り、足を組んでひたすらにスマホをいじくっている。
なに、こいつ。
すると、次の駅で少し大柄な中年女性が乗り込んできて、まずその空席の前に立ちふさがり、自分の荷物を網棚に乗せて一言。「この荷物、どかせていただけます?」。
やはりというか、右側の女性が無言で買い物袋を自分の膝の上に置き、再びスマホをいじくりだす。これ、男同士だったら既に掴み合いの喧嘩になってもおかしくないぞ。でも、この緊迫感は、女性同士の独特な空気にも思える。実際、周囲の他の女性たちは距離を置きだしていた。
その間隙を中高年の男性が無言で埋めていく。その空席に収まった中年女性は、落ち着いて何事もなかったかの如く振る舞っている。でも、件の右側の女性は、まるで置物のように鎮座するのみ。
列車が銀座駅に到着すると、私は素早く下車した。すると、私の背後に隠れるように件の居座り女性が続いて降りてきた。もちろんあの買い物袋を抱えてである。素早く降りて、私を抜き去って改札へ消えていった。
嫌な人だね。
私が座れなかったからではないが、あのような人が近くに居ると空気が悪くなる。多分、スマホに夢中で周囲が何時の間にか混んでいたことに気が付けなかったのだと思う。そして、依怙地になってあの態度であったのだろうと思う。
ちなみに動きの早さなどから、体調が悪かったようには見えなかった。偏見交じりで云わせてもらうと、多分若い頃は美人で、周囲がなんでも許してくれた。そんな雰囲気をまとっていたように思う。実際、自分のことが第一で、周囲を慮る姿勢は皆無だった。
だから平然とシルバーシートを二人分占拠する横暴な振る舞いも、わたくしなら許されてしかるべきよ。そんな印象を拭いきれない。外見はいざ知らず、その振る舞いは見苦しく、浅ましい。
立ち振る舞いが美しいと感じる人もいるが、その逆もあるのだなと確認できた一件でした。
病院の待合室で本を読みながら、診察待ちをしていた時だ。
急に歓声がしたので顔を上げると、壁掛け大画面TVの前でWBCの日本チームの優勝に沸き立つ画面が放送されていた。そうか、勝ったのか。
大きな病院の待合室は、高齢者が多いせいか、野球に対しては熱心であるようだ。私も病院通いは長いが、本来静かな待合室がTV観戦で盛り上がったのを見たのは初めてだ。オリンピックやワールドカップでも、これほどの盛り上がりはなかった気がする。
やはり野球は日本人のなかに一番根付いたスポーツなのだと思う。平日の大病院の待合室は、高齢者と主婦で溢れている。それだけに、ここまで盛り上がる光景が見られることに驚かざるを得ない。
それにしても、筋書きのないドラマとはよく言ったものだ。最後の最後が、全米屈指の強打者のトラウトと、そのチームメイトでもある大谷の場面なのだから呆れてしまう。ちなみにトラウトって滅多に三振しない功打者であり、公式試合で三振を二回以上奪ったのはダルビッシュゆう一人だったと記憶している。
なお個人的には準決勝の対メキシコ戦の逆転劇のほうが感動しましたけど、優勝のかかった試合がアメリカ相手なのだから、これはこれで眼福な試合でした。
ちなみにこの日は、朝から夕方まで病院で検査漬けでしたが、けっこう気持ちよく終われました。検査結果はあまり期待できませんけどね。
他者を非難することで、自分を高く売り込む傾向が強いのが日本のマスコミだ。
特に自民党の政治家を高所高段に立って、文字通り上から目線で賢しげに批評するのが大好きなのが日本のマスコミ様である。
私自身、多少はその傾向があることは自覚している。若い時から何度か失言を繰り返し、友人を失くしている。頭でっかちであることがその原因の一つだと思い、過酷な自然の中に身を置き、自らの至らなさを強く自覚することで自身を諌めてきた。
それでも、まだまだ私は高慢だ。話す時も、相手の主張を否定から話してしまう傾向が強い。相手の美点よりも欠点に目が行く。それが自覚できるので、かなり意識して改善するよう心掛けている。
世間ではWBCの優勝で賑やかだが、その最中岸田首相がウクライナを電撃訪問している。しかもアメリカとの決勝戦の当日であったため、ニュースでは扱いが低調になってしまった。間が悪かったといえば、その通りだが、それは岸田首相の責任ではあるまい。むしろ冷淡に報じるマスコミの姿勢に疑問が生じたくらいだ。
ところが世界、特に欧米各国での報道の扱いは、ほぼ一面トップに順じた大きな扱いとなっている。来月のG7サミット議長国としての立場を鮮明にした日本に対して好意的な報道であった。少なくとも私が視たBBC、CNNなどではそのように報じていた。
主要国で最後にウクライナを訪問したからこその大きな扱いかと思ったが、実際はシナのプーさんとロシアのプーさんとの会談にぶつけるような形での報道であったことが背景にあったように思った。
私は岸田首相ってかなりの外交音痴かと思っていたが、けっこう幸運には恵まれているようだ。単なる運だと馬鹿にするなかれ。失敗には原因が、成功には運が必要なのは、ある意味真理だと思うので、案外と岸田首相は幸運をもっているかもしれない。
とりあえず外交で大きく稼いだのは事実だ。後は内政でもう少し頑張って欲しいなァ。検討ばかりじゃ困るし、小手先の誤魔化しを異次元と称されても困る。なまじ頭がイイだけに官僚の作った作文を真に受ける傾向が強すぎる。もう少し現場に足を運んでほしいものです。