未開人という呼称が、どうも好きになれない。
どうも上から目線の印象が拭いきれない。そんなに文明人が偉いのか?
たしかに清潔な都市からアフリカのカラハリ砂漠にやってきて、そこで暮らすブッシュマンたちを見れば、自然と蔑視の感情が生まれるのは分らないでもない。
風呂に入ることも、シャワーに入ることもない。不潔な身体と着の身着のままのようなボロ布を身にまとう彼らの身体からは、表現に尽くしがたい悪臭が漂うという。
数は3っまでしか数えることが出来ず、それ以上は沢山と表現して終わってしまう。一箇所に定住することなく、草を編んだだけの粗末な小屋を即席で作り、家族単位で砂漠をうろつく野蛮人。それがブッシュマンだという。
そのブッシュマンが砂漠の山岳地帯の岩壁に描いたのではと疑われている壁画の真実を求めて、カラハリ砂漠を彷徨った記録が表題の書だ。
なぜに疑われているといえば、そこには野蛮人であるブッシュマンに絵が描けるわけがないとの偏見が渦巻いているからだ。年代測定が極めて難しく、また複数の部族の生息域がまたがるがゆえに、作画者をブッシュマンだと断定することが出来ないと著者は嘆く。
その嘆きの背後には、欧米の未開人への蔑視があると著者は密かに匂わす。別にブッシュマンに対してだけではない。近代以降の欧米には、未開の地への根深い蔑視感情があることは事実だと思う。
だが改めて問いたい。あの過酷な地で生きていくのに文明人である必要があるのか。数を数えることが出来なくても、生活は出来る。粗末な道具だけで火を興し、僅かな水で生き延びる生活は、ほとんどの文明人には出来ない。
財産と呼べるものは、ほとんど持たず、しかも家族で共有するため私有の別さえ曖昧なブッシュマンは、驚くほど無駄をしない究極のエコな生活を営む。多くの資源を浪費して、優雅な生活を満喫する文明人こそ、むしろ野蛮ではないかと思わせる。自然と調和して生きていくブッシュマンの生き方を、資源を多量に浪費する文明人に批難する資格はあるまい。
人は誰でも自分が暮らす世界を基準に、他の世界を判じてしまう。それは仕方のないことではあるけれど、あまりに一方的で他者への理解が酷薄に過ぎることが少なくない。
ついでだから書いておくと、ブッシュマンは当初からカラハリ砂漠に住んでいたわけではない。欧米の侵略と、奴隷狩りにより崩壊したアフリカのサバンナを追われて、欧米の文明人が住み着かないカラハリ砂漠に逃げ込んだ人たちだ。
その彼らを上から目線で蔑むなんて、あんまりだと思う。
どうも上から目線の印象が拭いきれない。そんなに文明人が偉いのか?
たしかに清潔な都市からアフリカのカラハリ砂漠にやってきて、そこで暮らすブッシュマンたちを見れば、自然と蔑視の感情が生まれるのは分らないでもない。
風呂に入ることも、シャワーに入ることもない。不潔な身体と着の身着のままのようなボロ布を身にまとう彼らの身体からは、表現に尽くしがたい悪臭が漂うという。
数は3っまでしか数えることが出来ず、それ以上は沢山と表現して終わってしまう。一箇所に定住することなく、草を編んだだけの粗末な小屋を即席で作り、家族単位で砂漠をうろつく野蛮人。それがブッシュマンだという。
そのブッシュマンが砂漠の山岳地帯の岩壁に描いたのではと疑われている壁画の真実を求めて、カラハリ砂漠を彷徨った記録が表題の書だ。
なぜに疑われているといえば、そこには野蛮人であるブッシュマンに絵が描けるわけがないとの偏見が渦巻いているからだ。年代測定が極めて難しく、また複数の部族の生息域がまたがるがゆえに、作画者をブッシュマンだと断定することが出来ないと著者は嘆く。
その嘆きの背後には、欧米の未開人への蔑視があると著者は密かに匂わす。別にブッシュマンに対してだけではない。近代以降の欧米には、未開の地への根深い蔑視感情があることは事実だと思う。
だが改めて問いたい。あの過酷な地で生きていくのに文明人である必要があるのか。数を数えることが出来なくても、生活は出来る。粗末な道具だけで火を興し、僅かな水で生き延びる生活は、ほとんどの文明人には出来ない。
財産と呼べるものは、ほとんど持たず、しかも家族で共有するため私有の別さえ曖昧なブッシュマンは、驚くほど無駄をしない究極のエコな生活を営む。多くの資源を浪費して、優雅な生活を満喫する文明人こそ、むしろ野蛮ではないかと思わせる。自然と調和して生きていくブッシュマンの生き方を、資源を多量に浪費する文明人に批難する資格はあるまい。
人は誰でも自分が暮らす世界を基準に、他の世界を判じてしまう。それは仕方のないことではあるけれど、あまりに一方的で他者への理解が酷薄に過ぎることが少なくない。
ついでだから書いておくと、ブッシュマンは当初からカラハリ砂漠に住んでいたわけではない。欧米の侵略と、奴隷狩りにより崩壊したアフリカのサバンナを追われて、欧米の文明人が住み着かないカラハリ砂漠に逃げ込んだ人たちだ。
その彼らを上から目線で蔑むなんて、あんまりだと思う。