規制緩和が謳われるようになって久しい。だが税務の第一線にいる身の実感では、規制は増えるばかりだ。しかも馬鹿げた規制が増えている。
昨年、大幅に改正された商法及び会社法だが、その改正の背景にあるのは経済の活性化だと考えられる。事実、この十年、会社の数は減少の一途を辿っている。霞ヶ関の官僚たちは、このことに危機感を抱いていたようで、官僚以上に危機感を募らせる財界の要望もあって、昨年の改正がなされたと聞いている。
この改正の結果、法人(会社)の設立が容易になったことは間違いない。これで会社の数が増え、経済が活性化するかどうかは、若干の異議があるが、当面は様子をみたい。ただ、この改正に心配を募らせている官庁がある。財務省及びその外局である国税庁だ。
簡単に会社が作れるため、会社を作って、社長自ら手前勝手に高額が給与を手にし、かつ親族などに分散して、形式的合法な節税が横行するのではないか。税収が欲しくて欲しくてたまらない、霞ヶ関の住人は、心配で夜も眠れない。
実際のところ、まったくの杞憂というわけではない。日本の企業の9割は同族経営であり、役員の給与は、事実上社長の思うがままになっている。これは愕然たる事実そのもの。仕事に従事していない家族に給与を払って節税を図るのも、実際に行われてきたことだ。
そこで頭のイイお役人さんたちは考えた。役員の給与は、決算後の株主総会で決まるはず。その決まりは守ってもらおうじゃないか。途中での変更なんて認めない!
こうして決まったのが、中小企業対象の「役員給与の定期同額支給」基準だ。この基準からはずれたら、それは否認する!途中で利益が急激に上がっても、役員の給与は上げることは認めない。どうだ!これなら節税できないだろう、カッカッカ(と笑ったかどうかは知らんが・・・)
信じられないくらいオバカな改正、いや改悪だ。官庁や公益法人、財団法人ならいざ知らず、大半の中小企業では、資金に余裕なんてありゃしない。いくら多額の給与を出したくとも、資金がなければ未払いが膨らむだけ。むしろ業績悪化にともない給与を下げたり、未払いのままにしたりして、この苦しい平成不況を乗り切ってきたのが現実。
第一、どんなに社長の給与を上げようと、そこには所得税が課税されるのであり、場合によっては法人税よりも負担が大きい場合もある。第一、臨時株主総会を開催して、株主の同意を得て給与を上げても、それを認めないのだから、法的整合性が成り立たない。
これほどヘンチクリンな法人税改正も珍しい。霞ヶ関広報部を任じて止まない日経をはじめとした大手マスコミは、大企業には関係ない、この悪法を無視している。
我々税理士業界でも、なんだこれは?と異議続出なのは当然だが、クライアントである中小企業の社長さんたちも首をひねっている「何、これ?」と。
実のところ、一番困ったのが押し寄せる質問に根を挙げた税務署の職員たちだ。霞ヶ関のお偉方と違い、実際に租税徴収の現場に立つ税務署職員たちからも疑問の声が、いや悲鳴があがった。霞ヶ関への質問が、山のように押し寄せたと聞いている。
通常、年の前半に国会を通過した改正法案は、その夏に通達が発令されて、行政の末端まで知らしめられる。ところが、平成18年は通達が出なかった。いや、出せなかったが真相のようだ。秋には、いや冬には・・・と先延ばしにされ、挙句に年末に国税庁のHPでの「Q&A」という形で発表する有様。
数字はよく知っているが、経済の現場を知らない温室育ちのエリート官僚たちの優秀さなんて、こんなものなのだと、よくよく分るお馬鹿な法人税改正。
ある税務署出身のベテラン税理士曰く「こんな馬鹿な改正をしなくとも、現場でしっかり事実認定をすれば、十分課税できる!」に尽きると思います。要するに、税務職員の質が落ちているってこと。
ただねえ、馬鹿げた改正でも、法は法。これが税務の現場で執行されたら、えらく面唐ネ気がするのも確か。果たして、税務調査でどこまで踏み込んでくるのか?いささか不謹慎ですが、今から興味津々です。もちろん、事前対策は怠りなくは当然ですがね。
昨年、大幅に改正された商法及び会社法だが、その改正の背景にあるのは経済の活性化だと考えられる。事実、この十年、会社の数は減少の一途を辿っている。霞ヶ関の官僚たちは、このことに危機感を抱いていたようで、官僚以上に危機感を募らせる財界の要望もあって、昨年の改正がなされたと聞いている。
この改正の結果、法人(会社)の設立が容易になったことは間違いない。これで会社の数が増え、経済が活性化するかどうかは、若干の異議があるが、当面は様子をみたい。ただ、この改正に心配を募らせている官庁がある。財務省及びその外局である国税庁だ。
簡単に会社が作れるため、会社を作って、社長自ら手前勝手に高額が給与を手にし、かつ親族などに分散して、形式的合法な節税が横行するのではないか。税収が欲しくて欲しくてたまらない、霞ヶ関の住人は、心配で夜も眠れない。
実際のところ、まったくの杞憂というわけではない。日本の企業の9割は同族経営であり、役員の給与は、事実上社長の思うがままになっている。これは愕然たる事実そのもの。仕事に従事していない家族に給与を払って節税を図るのも、実際に行われてきたことだ。
そこで頭のイイお役人さんたちは考えた。役員の給与は、決算後の株主総会で決まるはず。その決まりは守ってもらおうじゃないか。途中での変更なんて認めない!
こうして決まったのが、中小企業対象の「役員給与の定期同額支給」基準だ。この基準からはずれたら、それは否認する!途中で利益が急激に上がっても、役員の給与は上げることは認めない。どうだ!これなら節税できないだろう、カッカッカ(と笑ったかどうかは知らんが・・・)
信じられないくらいオバカな改正、いや改悪だ。官庁や公益法人、財団法人ならいざ知らず、大半の中小企業では、資金に余裕なんてありゃしない。いくら多額の給与を出したくとも、資金がなければ未払いが膨らむだけ。むしろ業績悪化にともない給与を下げたり、未払いのままにしたりして、この苦しい平成不況を乗り切ってきたのが現実。
第一、どんなに社長の給与を上げようと、そこには所得税が課税されるのであり、場合によっては法人税よりも負担が大きい場合もある。第一、臨時株主総会を開催して、株主の同意を得て給与を上げても、それを認めないのだから、法的整合性が成り立たない。
これほどヘンチクリンな法人税改正も珍しい。霞ヶ関広報部を任じて止まない日経をはじめとした大手マスコミは、大企業には関係ない、この悪法を無視している。
我々税理士業界でも、なんだこれは?と異議続出なのは当然だが、クライアントである中小企業の社長さんたちも首をひねっている「何、これ?」と。
実のところ、一番困ったのが押し寄せる質問に根を挙げた税務署の職員たちだ。霞ヶ関のお偉方と違い、実際に租税徴収の現場に立つ税務署職員たちからも疑問の声が、いや悲鳴があがった。霞ヶ関への質問が、山のように押し寄せたと聞いている。
通常、年の前半に国会を通過した改正法案は、その夏に通達が発令されて、行政の末端まで知らしめられる。ところが、平成18年は通達が出なかった。いや、出せなかったが真相のようだ。秋には、いや冬には・・・と先延ばしにされ、挙句に年末に国税庁のHPでの「Q&A」という形で発表する有様。
数字はよく知っているが、経済の現場を知らない温室育ちのエリート官僚たちの優秀さなんて、こんなものなのだと、よくよく分るお馬鹿な法人税改正。
ある税務署出身のベテラン税理士曰く「こんな馬鹿な改正をしなくとも、現場でしっかり事実認定をすれば、十分課税できる!」に尽きると思います。要するに、税務職員の質が落ちているってこと。
ただねえ、馬鹿げた改正でも、法は法。これが税務の現場で執行されたら、えらく面唐ネ気がするのも確か。果たして、税務調査でどこまで踏み込んでくるのか?いささか不謹慎ですが、今から興味津々です。もちろん、事前対策は怠りなくは当然ですがね。