知っていても、知らないふりをしなければいけないことは少なくない。また、知っていながら何も出来ずにいることも多々ある。出来るのに、何もせずにいることは、相当な心理的葛藤を伴う。
それでも云わない、話さない、何もしない。守秘義務は信頼の礎であり、その確かさを信じてくれるからこそ得られた情報である以上、断固守らねばならぬ。
ただ、守秘義務の範囲は、意外と線引きが難しい。私の仕事の場合、交流が広いので、殊更どこまでが守秘義務の範囲なのか迷うこともある。たとえば顧問先の社長さんと飲んでいて、たまたま同じ店で出会い、同じテーブルに誘い、飲み交わしたAさんという人がいたとする。
このAさんから得られた情報は、果たして守秘義務の範疇なのか。
悩ましい部分もあるのだが、やはり守秘義務の範疇だと私は考える。何故なら、そのAさんが話してくれた情報は、あくまで知人である社長さんが同席したからであり、その社長の連れである私が好き勝手喋れば、社長の信用が喪われる。
やはり沈黙は金と、肝に銘じるべきなのだ。
だから、私はこのブログに記事を書く際にも、極力その守秘義務を意識して書く。その情報を出してくれた人が、このブログを読んでも自分が情報源だとは分からないぐらいに設定を変えてしまう。
おかげで、今まで苦情等を受けたことはない。だからといって油断は出来ないので、極力仕事上で得られた情報の扱いには神経を注ぐようにしている。
そんな私にとって極めて有用なのが、研修や講演で聞き及んだ情報だ。ここで得られた情報は、特殊な場合を除けば概ね公表されたものなので、ブログのネタに使いやすい。ただ、単純に使っても分かりづらいので、ドラマよろしく脚本仕立てにして、書くようにしている。
実際、このブログで書いた税金絡みの話の大半の元ネタは、研修会で学んだ事例集や、講演で聞いた雑談などがほとんどだ。ただ、一ひねり加えてあるので、講演者が読んでも自分が元ネタだと分からないぐらいに変えてある場合もある。
ただし、例外というか本来というべきなのか。私がたまに書く怪談話と登山の話はほとんど実体験に基づくものばかり。というか、こればっかりは生々しすぎて、そのとおりに書くしかない。
毎年、夏場の時期は比較的仕事が暇なので、もっぱら研修など外部での学習に充てるようにしている。今年もいろいろとネタを仕込めた。自分なりに勉強して、もう少し裏をとったら例年のように、このブログの記事に上げようと思っています。
ただ、いささか専門的に過ぎる、あるいは枝葉末節というか我々専門家には興味が尽きぬことでも、一般的には理解も共感も得られぬネタが多かったのが今年の特徴でした。抜本的な改革が、なにひとつ出来なかった民主党政権下での税制なんて、そんな程度なのかもしれません。
だから、ちょっと悩んでいます。こんな細かいネタ、記事にしても面白いのかな?
実を言えば、民主党政権下では税制に限らず、いろいろと細かい改正は頻繁に出ています。しかも年一回ではなく、いささか時期外れの時期に公表されている。参院で与野党逆転しているせいもあるようですが、どうも実務がやりづらい。
ちょっと油断していると、いつのまにやら書式が変わっていたりする。そうなると、行政側も民間も二度手間となり、無駄な時間だけが増える。政治がだらしないと、庶民は苦労するばかり。困ったものです。
衆議院解散総選挙を望む人は多いと思いますが、私は任期ギリギリまで解散しないのではないかと疑っています。はずれて欲しいのですがねぇ。