ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

富士山

2024-07-31 13:25:35 | 社会・政治・一般

富士山は優美な形状の山である。

ただし実際に登ると、決して優美ではなく、むしろ過酷な山である。だからこそ死亡事故が絶えない危険な山なのだ。

富士山の特徴は火山である以上に、独立峰であることだ。富士山は他の山脈とはつながっておらず、平地に富士山だけが独立してそびえ立っている。実はこの独立峰は風の影響を受けやすく、天候の急変が日常的である。しかも遮るものがない独立峰ゆえに風が直接吹き当る。

風は登山をする上で危険な現象である。何故なら体温を奪うからだ。夏山ならば風が体温を冷やしてくれるから、むしろありがたいと思う人は多い。しかし、夏山のシーズンで凍死する登山者は決して少なくない。正確には凍死ではなく、低体温症による死亡である。

人間は体内で蛋白質や脂肪を燃焼させて体の恒常性を維持することで生きている。しかし風で体温を奪われると、この恒常性が機能低下して眠るように死んでしまう。夏山は気温こそ低くないが、汗や雨で体が濡れることが多く、それゆえに冷えやすい。そこに強い風が吹きつければ、体内生産される熱量よりも風などで奪われる熱量が多ければ、恒常性は低下して生体機能が低下して死につながる。

富士山はこの低体温症が起こることが多い条件が揃っている山なのだ。緩やかな勾配の穏やかな山だと勘違いする人が多いが、本当は本邦屈指の危険な山である。おまけに砂礫と岩で覆われているので、強風が吹くと、砂塵が危険な速度で飛んでくることもある。

私は歩荷訓練中に台風が接近してきたので、大慌てで下山したが背後から飛来してくる砂礫の痛さにめげた記憶がある。更に付け加えるならば、雷の恐怖もある。なにせ逃げ場がない。落雷は人に直撃するよりも、地面を電流が走って被雷するケースが多い。もうこれは運しだいであり、雷雲が生じやすい午後の夏山登山が厭われるのも当然の道理である。

かくも危険性が高い富士山は、それゆえに入山時期を限定している。夏山シーズンでも安心して登れるのは7月から8月にかけての3週間ほどではないかと思う。特に8月は台風や低気圧、前線の接近だけで危険度が跳ね上がるので御免被りたい。

ちなみに冬の富士山は死の世界である。私は日本山岳会主催の冬季登山講習を富士山の下部で受けたことがあるが、あれはマジで怖かった。なにせ凍り付いた雪が、強風により強固に固められて、ピッケルやアイゼンが食い込まない。講師の方は、凍り付いた雪には場所により強度が違う箇所があるので、そこに打ち込みすれば良いと教わった。それは分かるが、疲労困憊している時にその判断が出来るのか、まったく自信がなかった。

最近、軽装で富士山に登る無謀な登山者、いや観光客が事故を起こすケースが報じられているが、当然というか馬鹿だと思う。静岡県や山梨県が富士山を観光資源と考えているのは承知しているが、救難活動の危険性を思えば、もう少し正しい情報を提供すべきだ。

私は富士山は素人向けの山だとは考えていません。むしろ熟練者でも事故を起こす危険性が高い山だと認識しているほどです。偶然、安全に登山できた経験者の話は当てにしない方が良いですよ。

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アメリカの大統領選挙

2024-07-30 09:11:53 | 社会・政治・一般

自民党の総裁候補総裁争いはツマラナイ。

理由は簡単で事前にほとんど決まっている出来レースだからだ。偶に例外というか、棚ぼた式に総裁に選ばれた海部や、どさくさ紛れに総裁に就任した森のようなこともあった。でも、大半は退屈であったし、これからもそうだと思う。

しかしアメリカの大統領選挙は違う。毎回なにかしらのドラマがある。2024年は歴史に残る大統領選挙になると思う。なにせ最初は退屈なくらいの前哨戦であったが、トランプ候補が狙撃されたことで、一気に関心が高まった。

狙撃を受けた直後に、血の跡をにじませながら腕を突き上げたトランプの映像は、まさに強いアメリカを望む大衆受け過ぎるもの。一方、バイデン大統領はコロナの影響もあり、また年齢的な衰えを感じさせる弱々しい声での演説が完全に裏目に出た。

民主党内部からも撤退を勧める意見が出てくる始末。だが老人は頑固だ。依怙地になって選挙を続けると言い張っていたのだが、先週になり選挙からの撤退を表明した。立派だと思う。この決断だけで、バイデンはその名を穢さずに引退できた。

そして、その替わりに副大統領候補であったハリスが民主党候補者として名乗りを上げた。黒人でかつ女性である。もう、こうなると誰が勝つのか分からない。ただマスコミの特徴をつかむには最適なリトマス試験紙ではある。

すぐにハリス優位の調査結果を公表したマスコミもあれば、トランプ優勢を報じたマスコミもあった。こうなると遠く離れた日本にいて二次情報頼りの私にはさっぱり分からない。

ただ、ハリウッド製作の映画でポリティカル・コレクトを前面に押し出した作品が大ヒットしないあたり、案外とハリス支持は表面的なものになるかもしないと考えています。トランプがどれだけ支持され、あるいは反感を買っているのかが分からないので、大混戦になりそうな予感がします。

やはりアメリカの大統領選挙は面白いですねェ。

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パリ五輪サッカー序盤

2024-07-29 12:45:59 | スポーツ

週末の驚き、どういっても差し支えない。

パリで開催された五輪のサッカーにおいて、日本がパラグアイに5-0、マリに1-0で勝利して予選突破を決めた。これで決勝トーナメント進出である。

早朝に行われた試合をネット配信で視たが、パラグアイは10番の選手が退場しての数的有利さを活かしての勝利。次戦のマリはかなりの強豪で、けっこう押されていたが、日本の守りが堅かった。

特に小久保ブライアンの鉄壁のGKとしての活躍が大きかったと思う。正直、A代表のGKたちよりも良く見えたほどだ。既にマスコミの一部は勝手に盛り上がっている。

ただ、これだけは言いたい。サッカーの世界では五輪大会の評価は辛い。若手の登竜門との扱いさえなく、むしろ未知の若手を発掘する機会程度の位置づけなのが実情だ。

実際、サッカーの強豪国のA代表のエースクラスはチーム入りさえしていない。過去の五輪サッカーの優勝国で、その成果がワールドカップ大会に繋がったチームは、ほぼ皆無であるのが冷徹な現実である。

それを承知の上で云わせてもらうが、このU23主体のチームのうち、2~3人はそう遠くない将来にA代表入りすると期待している。特に藤田チマや小久保ブライアンたちは今後レベルアップ次第で主戦力に成り得る逸材だと思う。

ただ現時点では有望な若手に過ぎない。願わくばおバカなマスコミの煽動に乗せられず、選手として精進を地道に続けて欲しい。過去の有望選手の多くがマスコミに過剰に持ち上げられて、その才能を潰している。

そこだけが心配な私です

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裏も表もわかる日本史 古代編 関裕二

2024-07-26 09:06:45 | 

古代日本史ほど厄介な分野はない。

なにせ文献が非常に少ない。その上、その文献が政治的な理由からかなり歪められている。特に厄介なのは、日本書紀絡みの歴史だ。実は近代以前から日本書紀については、国学者を始めとして異論を唱える人は少なくない。驚くべきは明治政府になってからも、津田博士とか本格的な歴史学者が疑問を呈している。

戦前の教育を否定する戦後になってからしばらくの間、日本書紀に対する議論は活発になった。しかし、教科書に影響を及ぼすことはなかった。この原因は戦後に日本の教育界にマルクス主義が広まってしまったからだと思う。

マルクスは自説に科学的考証を加えんがために、歴史さえも科学に化粧直しさせてしまった。予め書いておくが、歴史は科学ではない。人の生き方、家族の生き方、民族の在り方、そして国家としての在り方を書き並べた記憶である。

当然にそこには自己の民族優越を織り交ぜながらも、今ある自分たちがどのような経緯を辿ってきたのかを子孫に伝えていく大事な物語である。断じて科学ではない。科学的正確さよりも、人として、民族として、国家としての根源を伝えていくものである。

そう考えると歴史教育は真実の歴史を教えることではなく、日本人としての誇りを自覚させるような教育こそ歴史の授業で求められる。それは分かるが、それにしたって日本書紀は問題が多すぎる。

その代表例が聖徳太子だろう。私が子供の頃の一万円札に描かれた古代日本史の有名人である。しかし、現在ではその実在すら否定されることが多い。いや、厩戸皇子は実在の人物だろうが、推古天皇を補佐した聖徳太子は虚構の存在であり、実際は蘇我氏のことらしい。

厩戸皇子は蘇我系ではあるが、何故に聖徳太子は虚構なのか、何故、誰が何の為に?

おそらく正解が判明する可能性は低いと思うが、反面想像の翼をはためかせる楽しみはある。そんな一助になりそうなのが表題の書です。古代日本史を良く知らないが、興味はある方には良きテキストになりそうです。

まぁ私程度の歴史好きだと、後数回読まねば物にならないとも思っていますけどね。

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アサクリ?

2024-07-25 16:07:10 | 社会・政治・一般

人間って奴は信じたいものを信じたがる。

最近ネット上のニュースなどで話題となっているのが「アサクリ」問題であるそうだ。当初は何のことだが分からず、朝に栗を食べる健康法かと勘繰ったぐらいだ。

実際は「アサシンクリード」でPS5で遊べるゲームらしい。主人公は黒人の侍である弥助である。織田信長がキリスト教の宣教師から送られた黒人をモデルにしているそうだ。弥助が侍かどうかは厳密には疑問があるが、本能寺の変でも明智勢相手に戦ったようだから、別に構わないと思う。所詮外人が作ったゲームだしね。

しかし看過できない問題が生じてしまった。

日本大学の准教授であるトム・ロックリーなる人物がWikiに史実として記載し、挙句に当時の日本には8千人の黒人奴隷がいると書き込んでしまった。そして当然に騒ぎになるとネット上のSNSなどの自分のアドレスを消して逃亡している。

ロックリーなる人物は歴史学者でもなく、単なる日本オタクではないかと思う。実際、学問的な実績は皆無である。ただ日本語が話せて、多少の読むか気が出来る程度なのだが、何故だが日大は准教授として採用してしまったらしい。

逃亡後、彼はろくに証拠資料も明記せずに、如何にも日本は黒人を奴隷として使っていたかのような番組をBBCで制作している。いってみれば従軍慰安婦を捏造した吉田清治のイギリス人版である。

そもそもポルトガル人が九州で日本人の男女を奴隷として海外に輸出した史実はあっても、日本が奴隷を海外から輸入した史実はない。ちなみに秀吉が伴天連追放令を出したのは、長崎で見た日本人奴隷の悲惨な姿を直に見たからだとされている。

まったくとんでもない下種な話ではあるが、これは放置すべきではない。ところが外務省を始めとして霞が関のエリート官僚様は、所詮ゲームでのことと尻込みしている。こんな時こそ政治が動かねばならないのだが、なにせ首相があの検討するだけの岸田である。

挙句に欧米のポリティカル・コレクト信者たちが、ここぞとばかりに日本こそ人権無視、黒人差別の総本山だと騒ぎ立て始めた。日本がポリコレに従わない不満をここぞとばかりに騒ぎ立てる。

この問題、放置すると従軍慰安婦以上の国際問題になりかねないと思いますね。

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