ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

今年を振り返って

2008-12-30 13:26:58 | 日記
あと一日を残して、今年も終わりを告げます。今年一年を振り返ってみて、記憶に残った本を思い出してみます。

初読で印象に残ったのは、国産では熊谷達也の「邂逅の森」です。久々の徹夜読み。一気に読みきれた快作でした。この年になると、徹夜は身体に堪える上に、翌日の仕事に差し支えるのは分っていました。分っていながら、頁をめくる手を止めることが出来なかった。完敗です。

翻訳ものでは、チャールズ・パリサーの「五輪の薔薇」です。以前、図書館でハードカバーで見かけた時は、その重さにめげて読むのを諦めましたが、目出度く文庫で出たので5巻まとめ買いして挑戦。読み応えのある力作でした。文字通り、質も量も超重量級の大作に完敗。

では、再読の本ですが、これは迷った。中上健二の「枯木灘」三浦綾子の「氷点」が甲乙付けがたく記憶に残ったのですが、どちらも私には苦痛を伴うものでした。実際、十代の頃は途中で挫折した本でもあり、この年になり、ようやく読みきれた本でもあります。後20年ほどしたら、もう一度読んでおきたい本でもありました。

最後に漫画ですが、まだ連載途中の「NARUTO」が一番記憶に残りました。以前から好きな漫画でしたが、今年半ばで師匠の自来也を亡くし呆然とするナルトを再起させたシカマルの配慮に完敗。人は一人では大人になれない。やっぱり友達っていいものです。

さて、大晦日と正月三が日はお休みさせていただきます。今年一年、お付き合いいただきましてありがとうございました。それでは、良いお年をどうぞ。
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猫の綱渡り

2008-12-29 12:06:14 | 日記
AOLの異業種交流会のメンバーたちとの忘年会を終えて深夜の帰宅の途上のことだ。

午後から降り続いた雨は既に上がり、雲の切れ間から覗ける星が美しい。すると、頭上に動くものがあるのに気がついた。電線の上に何かいる。

薄暗いので、シルエットしか見えないが、なにかの動物が電線の上を伝わって移動している。電柱と電柱の間の電線は20メートル近い。長い尻尾でバランスを取りながら、ゆっくりと、それでも確実に歩を進めている。

猫のように思えるが、いささか尻尾が長い。猿にしては胴体が長すぎる。モモンガとしては大きすぎ、ムササビにしては尻尾が細長い。イタチにしては大きすぎ、タヌキにしては細すぎる。

「ワン!」と吼えかけたら無視された。そこで「ニャー」と鳴いてみると、顔を下に向けた気がする。やはり猫のようだが、電線が樹木の葉に隠れるあたりで姿が消えた。樹に飛び移ったらしい。

猫がバランスのいい動物であることは知っているが、なぜに電線を渡る?しかも雨上がりの濡れた電線をだ。しばし、猫の綱渡りを呆然と眺めてしまった。

出来るなら写真に撮りたかったが、その時所持していた私の携帯のカメラでは暗すぎて撮れなかった。地上6メートルあまりの電線を綱渡りする猫を見たのは初めてのことだけに、返す返すも残念でならニャイ。

おかげで酔いが醒めた。なんか、とっても不思議なものを見た気分でした。
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「獄窓記」 山本譲司

2008-12-26 12:23:46 | 
年の瀬のこの時期に、この本に巡り会えたのは僥倖だと思う。

ゴミは知らず知らずのうちに、積もり、固まり、こびりつく。私はいわゆる先生業を生業としている。人生の先輩であり、親子ほども年の離れた中小企業の社長さんたちから先生と呼ばれている。

先生と呼ばれて思い上がるほど軽薄ではないつもりだが、自分でも気がつかぬうちに傲慢さを身に付けていたかもしれない。忸怩たる思いでもあるが、おそらくはゴミがこびりつきだしていると思う。

表題の本は、民主党期待の若手のホープとして頭角を顕してた山本譲司・元衆院議員が、秘書給与搾取事件で失脚し、その後刑務所へ収監されたことを自ら書き記したドキュメンタリーだ。

国会議員から、刑務所の一収監者となった山本氏の心の揺れ動きが、実に興味深い。自ら控訴を取り下げ、罪を贖うことを覚悟していても、屈辱に塗れる辛さは筆舌に尽くしがたい。文字通り糞尿に塗れての懲役なのだから。

顧みて私はどうだろう。その気になれば、脱税指南、粉飾決算、不正還付申告など金になる不正行為を実行するだけの能力があることは否定しがたい。危ないことに、黒ではないが、灰色の指導なら、やったことがないとは言い難い。

日頃、先生、先生と持ち上げられていると、自分の判断に疑問を差し挟む機会は少ない。気がつかぬうちに、独断と傲慢の衣を身にまとっている可能性は高い。

もし、自分が告発され実刑判決を受けて、刑務所に収監されればどうなるか。その姿がこの本に描かれている。あな恐ろし哉。想像するだけで、浮ウが身にしみる。

忙しいと、なかなか自分を顧みる余裕は持てない。そんな時こそ、自縄自縛の罠に落ち込み易いのだと思う。気をつけなくっちゃ。

なお、表題の本を読まれた方は、是非とも「絶望に効くクスリVOL12」も眼を通して欲しいです。その後の山本氏の姿を知ることが出来ますゆえに。
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引越しのお知らせ

2008-12-25 17:19:19 | 日記
私が長年愛用してきたITプロバイダーのAOLからのメールは、青天の霹靂となった。

AOLは独特の用語が多い。掲示板(BBS)をMB(メッセージボード)と呼び、ブログをダイアリーと呼んでいる。HN(ハンドルネーム)はSN(スクリーンネーム)だし、メッセンジャーはIMと呼ぶ。もっとも、IMは元々AOLの専売特許だったが、この独占が崩れたことがAOLの地位低下を招く一因でもあった。

他にもAOL独特のシステムは多い。率直に言って、かなり癖の強いプロバイダーだと思う。この癖の強いAOLに長年馴染んでいたため、他のプロバイダーに乗り換えることなく今日に至る。

メールを開くと、掲示板及びダイアリーのサービス終了の通知であった。1999年に加入してから9年目、まさかこのような背信行為に遭遇するとは、思ってもみなかった。

もっとも、いきなり廃止ではなく、無料ブログであるTeacupへの移行の準備は用意してあったが、それを年明け1月31日までの期限付き。AOLでブログ(ダイアリー)をやられている方々は、パニック状態となった。

素早くTeacupへ移行した方もいれば、FC2などの他のブログサービスへの移行をされた方もいる。怒りを露にする方もいれば、素直に哀しむ方、失望する方、無言で行動する方と対応が様々で、私は怒る反面、興味深く他の方の対応ぶりを見させてもらった。

掲示板サービスの終了は予想の範囲内だった。以前は隆盛を誇った掲示板も寂れるばかりだし、AOLが止めたがっているとの話は聞いていた。しかし、ブログの終了はまったく考えていなかった。AOL(というか、親会社のイーアクセス)がダイアリー開設当初から、ずいぶんと力を入れてきたとの印象が強かったからだ。

ただ、今にして思うと、サーバーの容量不足原因と思われるトラブルが夏場あたりに目立っていたし、その時の対応もおざなりの印象は否めなかった。

私自身は今週末あたりにかけてTeacupへ移行させるつもりです。この4年間、ほとんどデザインを変えずにやってきましたが、これを機に少しいじってみようとも考えています。今までやらなかったリンクもやるつもりです。その際はご挨拶いたしますので、よろしく御願いします。

もしかしたら、AOLも辞めるかもしれません。Eメールアドレスが気に入っているので、変えたくないのですが、企業として信用が出来なくなってきた会社を使い続けるのは、かなり悩みます。その後の情報では、AOLジャパンからA0Lasiaという香港の会社に事業移管するようです。少し様子をみてから決めるつもりです。

私はインターネットを始めた1999年以来、ずっとAOLで遊び、ここで沢山の知己を得ましたので、正直未練はあるのですが、こんな形で背信を受けるとは思いもよりませんでした。

とりあえず、自働でTeacupへジャンプするようですが、年明け以降ブックマーク等されている方はご変更を御願い申し上げます。ご面唐ナ申し訳ありませんが、よろしく御願いします。
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「票田のトラクター」 ケニーー鍋島/前川つかさ

2008-12-24 12:17:45 | 
十代の頃の、学生運動の挫折を間近に見て以来、政治からは距離を置くようにしている。

失望が強かったせいでもあるが、過度な思い入れに引き摺りこまれる危険性を警戒したせいでもある。ただ、無関心ではいられない。だから、選挙にだけは必ず行くようにしている。小さな一票ではあるが、自分なりに意思表明はしたい。少なくもと、自分の一票なんて無駄さとニヒリズムに逃げることはしたくない。

ただ、税務の実務に就くと、やはり政治の不備は非常に気になる。声を上げねば、現場知らずの官僚たちの言いなりになってしまい、困った事態に陥る実情を散々見ているからだ。

そんな時、役に立つのはやはり政治家であるのは確かだ。政治家の耳を傾かせるには、やはり札束の音色が一番届く。私は役に立たない努力は嫌いなので、実効性のある手段を選びたい。だからこそ、政治献金の有効性を信じている。

ただ、私一人の財力なんざ、多寡が知れている。だから税理士政治連盟を通じた献金に便乗する。一口数千円程度でも集まれば、それなりの力を持つのが現実だ。実際、政治献金団体の上位十傑に入る団体だけに、政治家も無碍にはしない。

やはり、金の力は有効だといわざる得ない。

政治を題材にとった漫画は幾つもあるが、その政治献金の実情を描いた漫画は、表題の作が初めてだと思う。これは生々しく、きっと実際にあることをモデルにしているのだと確信できる内容だった。

週刊ポスト誌に長く連載されていたので、眼にした方も多いと思う。出来るなら、単行本で読んで欲しい漫画です。リアリティという意味で、これほど政治をなまなましく描いたものは、そうはないと断言できるズラ。(@筒井五輪)
コメント (2)
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