長く財務大臣を務めた塩川正十郎は、その在任中ちょっと変わった税制改正をやっている。
あれは平成13年、アメリカでアルカイーダによるテロが行われ、世界同時株安が吹き荒れた年だった。日本でも東証の平均株価が9千円を割り込んだ年でもある。いまだバブル崩壊の余波が深く残る日本経済にとって、株価の下落は政治問題でもあった。
なんとかして、株式市場にお金が流れるよう意図したのだと思う。なんと、期間限定で株を買ってくれた人が、その株を2年以上保持していれば、その株の売却益には課税しないという。つまり、一株100円で10万株買って、その株を2年以上持ち続け、その後一株300円(3000万円)で売っても、その売却益(2000万円)は無税だそうだ。凄い大盤振る舞いだ。
もちろん、厳格な要件がある。一つはその購入時期が平成13年11月から平成14年12月までの13ヶ月限定だ。更にその購入金額は1000万円までと限定している。そして平成15年、16年の二年間保有していなければならない。その後、平成17年から19年までの間の売却に限って無税の扱いとなる。
要するに、株を1000万円買って、2年間持っていて、その後3年以内に売却すれば税金はかからないよ、って事だ。通称「塩爺税制」なんて呼ばれていた。
この税制上の特典を餌に、投資家へ株式市場への資金投入を促したわけだ。
この特典は、昨年末をもって期限切れとなった。私の見聞する限りでは、昨年前半までに売り切った人は、かなりの節税になったようだ。
ただ、気になるのは、この特例を期待しながら適用を受けられなかった投資家もけっこういたらしいことだ。実は上記に記載した要件以外に、もう一つ要件がある。この「塩爺税制」は、特定口座で源泉徴収有りを選択した場合には適用されない。
投資家にとって、この特定口座による源泉徴収を選択すると、株の売却益に対する課税を証券会社が代行してくれるので、たいへん便利なので、広く普及している。この源泉徴収の選択は、その年の最初の取引時に選択することとなっていて、一度選択してしまうと、その年は取りやめることが出来ない。
おそらく、大半の投資家は、証券会社に特定口座を設けて、源泉徴収を選択したことを記した書類を提出した時に、その選択が毎年自働継続になっていることを失念していると思う。平成12年までは、多くの投資家が「源泉分離課税」制度を利用していたと思う。この「源泉分離課税」制度は、その都度取りやめることが出来た。ところが、現在の特定口座源泉徴収制度は、一度選択すると、その年は取りやめが出来ない。
せっかくの「塩爺税制」だが、無駄に終わった人が少なからずいたらしい。投資は自己責任なのだが、いささか気の毒な気もする。ただし、救済措置は一切ないので泣き寝入りに終わると思う。
一応書いておくと、塩川・元財務大臣も財務省も投資家を騙そうと意図したわけではない。むしろ予期していなかったが実情らしい。非常に便利な特定口座源泉徴収制度だが、場合によっては不利な場合もある。
実はもう一パターン、不利な場合がある。これは来週あたり書かせていただきたいと思います。
あれは平成13年、アメリカでアルカイーダによるテロが行われ、世界同時株安が吹き荒れた年だった。日本でも東証の平均株価が9千円を割り込んだ年でもある。いまだバブル崩壊の余波が深く残る日本経済にとって、株価の下落は政治問題でもあった。
なんとかして、株式市場にお金が流れるよう意図したのだと思う。なんと、期間限定で株を買ってくれた人が、その株を2年以上保持していれば、その株の売却益には課税しないという。つまり、一株100円で10万株買って、その株を2年以上持ち続け、その後一株300円(3000万円)で売っても、その売却益(2000万円)は無税だそうだ。凄い大盤振る舞いだ。
もちろん、厳格な要件がある。一つはその購入時期が平成13年11月から平成14年12月までの13ヶ月限定だ。更にその購入金額は1000万円までと限定している。そして平成15年、16年の二年間保有していなければならない。その後、平成17年から19年までの間の売却に限って無税の扱いとなる。
要するに、株を1000万円買って、2年間持っていて、その後3年以内に売却すれば税金はかからないよ、って事だ。通称「塩爺税制」なんて呼ばれていた。
この税制上の特典を餌に、投資家へ株式市場への資金投入を促したわけだ。
この特典は、昨年末をもって期限切れとなった。私の見聞する限りでは、昨年前半までに売り切った人は、かなりの節税になったようだ。
ただ、気になるのは、この特例を期待しながら適用を受けられなかった投資家もけっこういたらしいことだ。実は上記に記載した要件以外に、もう一つ要件がある。この「塩爺税制」は、特定口座で源泉徴収有りを選択した場合には適用されない。
投資家にとって、この特定口座による源泉徴収を選択すると、株の売却益に対する課税を証券会社が代行してくれるので、たいへん便利なので、広く普及している。この源泉徴収の選択は、その年の最初の取引時に選択することとなっていて、一度選択してしまうと、その年は取りやめることが出来ない。
おそらく、大半の投資家は、証券会社に特定口座を設けて、源泉徴収を選択したことを記した書類を提出した時に、その選択が毎年自働継続になっていることを失念していると思う。平成12年までは、多くの投資家が「源泉分離課税」制度を利用していたと思う。この「源泉分離課税」制度は、その都度取りやめることが出来た。ところが、現在の特定口座源泉徴収制度は、一度選択すると、その年は取りやめが出来ない。
せっかくの「塩爺税制」だが、無駄に終わった人が少なからずいたらしい。投資は自己責任なのだが、いささか気の毒な気もする。ただし、救済措置は一切ないので泣き寝入りに終わると思う。
一応書いておくと、塩川・元財務大臣も財務省も投資家を騙そうと意図したわけではない。むしろ予期していなかったが実情らしい。非常に便利な特定口座源泉徴収制度だが、場合によっては不利な場合もある。
実はもう一パターン、不利な場合がある。これは来週あたり書かせていただきたいと思います。