入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’21年「冬」(6)

2021年11月08日 | 入笠牧場からの星空

                                    Photo by かんと氏

 赤道儀が不調で、思うような写真が撮れなかったと言って帰っていったかんとさんの天体写真、その2枚のうちの1枚で、きょうのはご存知オリオン座。生憎映画撮影とも重なってしまい、その点でも思うに任せれなかっただろうが、そうでなければ、ここにあるタカハシ製の100ミリ屈折望遠鏡も使って、初めてカメラ撮影した写真をお披露目できたはずなのだが、残念なことをした。
 この手の撮影方法を詳しく学ぶ気があれば、新たにカメラを求め、それらと望遠鏡やPCとを組み合わせる機材を買っても良いのだが、炊飯器の取り扱い説明書を読むのすら面倒がる身とあっては、どうせ途中で投げ出すに決まっているからそうせずにきた。しかしそれでも、この望遠鏡の実力はやはり知っておきたいから、いつか、かんとさんにその願いをかなえて欲しいと伝えてある。
 
 一応は、きょうの天体写真に相応しい話題をと考えてみたが、またしても洞穴の住人の心境になって星空を語るのはどうかと思い、それで止めにした。きょうは代りに、最近入手した入笠牧場の年間(’20年10月~’21年9月)の最高気温と最低気温について呟やいてみたい。
 まず、最高気温は8月の27日で、25.8度C(16時57分)。そして最低気温は1月の9日、マイナス16.8度C(3時17分)。最高気温の日が8月の下旬というのは、と思ったが、今年の8月は雨が多かったからだろうと考えて納得した。
 最低気温が2月でなく1月、それも9日というのもやはり感覚と違うような気がしたが、2月の最低気温がマイナス15.9度Cだから、大きな違いはないし、観測機器に文句を言ってみても始まらない。
 この観測機器は伊那有線放送が用意して、第1牧区の4等三角点のある小高い丘に設置してある。猛暑だとか「40度を超える危険な暑さ」だとか、下界の気温上昇に関する騒ぎに比べ、やはりここの夏は快適であることがよく分かった。7月も23.6度Cと25度を超えていないし、残暑の酷しい9月でも20.2度にしかならない。
 他方寒さに関しては10月でも最低気温が-3.2度、と言ってもそれは10月30日で、大体このころに水道の水を落とすから違和感はない。11月は最低が-5.7度とまずまずだが、12月には最低気温が-15.2度と一気に下がる。とはいえ、これは12月31日(4時33分)の記録だから分かる気がする。昨年は越年のためにここにいて、あの人がまたしても大暴れしてくれ、それなりに寒かった記憶がある。
 
 もう少し、夏の快適さと、冬の寒さについて、改めて感想を呟いてみたい。番長、裏番長、了解しました。本日はこの辺で。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     ’20年「冬」(18)

2020年11月24日 | 入笠牧場からの星空


 お馴染みのオリオン大星雲。冬の夜空を代表する星座とくればやはりオリオン座であり、そしてあの厳寒の夜の誰もいない牧場のいつもの場所で、天空をじっと望遠鏡で睨んでいたかんと氏の姿を想像すれば、やはりこの写真を無視するわけにはいかない。
 寒さ、孤独、睡魔、そういうものにも無窮の遠(おち)への誘惑が勝り、氏は星の狩人となって銀河の海へと飛翔を続ける、何光年を、いや何百光年を、さらにもっと・・・。

 
Photo by かんと氏(2枚とも)

 これは権兵衛山の上空に煌めく無数の星々を、赤道儀による自動追尾を中止して、カメラを地球の回転に任せて撮った写真だろう。こうして見ると、星の似たような光も、微妙な違いがあることが分かるが、一般に赤みを帯びた光跡ほど星は老いて温度が低く、青白い光跡ほど星は若く高温であるらしい。
 オリオン座の一画を占める赤い星ベテルギウスなどは、すでに消滅してしまった星で、われわれが見ているのはその残光ではないかと言う人さえいる。ベテルギウスまでの距離は約600光年、仮に今、この星がその最期である超新星爆発を起こし、やがて消えてしまったとしても、600年と何年後かの天文学者や人々がその貴重な天分現象を目にし、喜びの喚声を上げることになだろう。このように一時的に現れる星のことを、「客星(かくせい)」と呼ぶようだが、昔人のその感性を褒めたい、納得できる。

 牧場の管理棟にも2台の望遠鏡と1台の双眼鏡がある。あれだけの美しい星空、それに相応しい観測機器が欲しいと思った。しかし、ようやくにして手に入れたそれらも、双眼鏡以外はあまり活躍していない。
 夜半にふと外に出て、もうオリオン座が見える季節になったのかとか、HALを連れて天竜川の堤防から牛飼座の主星を見付けて喜ぶくらいが、身の丈に合っていると思うようになったからだ。
 望遠鏡はカメラとPCとを一体化させないと、充分な威力を発揮してくれないと知ったが、とてもではないが洗濯機の取扱説明書すら読む気のないような者が、そんな複雑なことをできるはずがない。諦めている。諦めながら、今夜も星空を眺めるだろう。

 かんとさん、労作を有難うございました。12月のふたご座流星群が来る日も天候が良ければ、もうかんとさんのあの別名は返上ですね。期待してます。極大は14日の10時ごろのようですが、確か11,12日の2泊だったですよね。車では伊那側から来るしかありませんが、雪の情報は追々お伝えするようにします。本日はこの辺で。



 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     ’20年「夏」 (12)

2020年06月13日 | 入笠牧場からの星空

Photo by かんと氏

 さっきから、かんとさんのこの天の川銀河と、その左の二つの光の点となって見えてる木星と土星の写真を眺めつ、妄想が拡がる。
 
 もう、あまり記憶にはないかも知れないが、二つの宇宙探査機「ボイジャー1号、2号」が打ち上げられたのは1977年のことであった。あれから44年近くが経つが、その間も、そして今後も、2機の探査機は時速6万1000キロの高速で、無窮の深宇宙をひたすら飛行し続け、これからも続けていく。
 もう2年も以前になるか、ボイジャーが一つの目安である「ヘリオポ-ズ」を通過し、いよいよ太陽圏を離れたということが結構話題になった。探査機がこの域にまで到達し、さらに飛び続けるのは初めてのことで、しかも内蔵された一部の機器は小型原子炉のお蔭で予想を超え稼働し続けていた。
 確かに地球上での感覚からすると、とてつもなく遠い距離ではあるが、しかし、光の速度ならばたったの丸1日の距離でもある(正確にはそれよりも若干短い)。1秒で地球を7回り半する光が、1日をかける距離だと考えれば、この距離はそれでもやはり凄いと頷ける。
 ところが少し視点を変えてみると、これまた驚く話になる。太陽に最も近い恒星ケンタウルス座のアルファ星まで、光速ならおよそ4年少々の距離だが、ボイジャーの速度では、確か7万年とか8万年とかもかかる計算になるはずだ。最も近い恒星でこれだけの距離、それが100億光年の天体さえ発見されているのだから、途方もない話になってしまう。
 
 以前には、ボイジャーを回収するのは見知らぬ宇宙人ではなくて、未来の地球人ではないかということを呟いた。人類がもしもかなりの未来まで存続できたなら、ボイジャーの飛行速度などを遥かに超えた探査機、宇宙船さえも開発できると考えられるからだ。ひょっとすれば、あの量子駆動(Quantum Drive)も実現しているかも知れない。
 しかし、そんな未来まで生き続けることができた人類なら、遠い昔に、様々な夢を託して打ち上げられたこの古い探査機の飛行を邪魔たすることなく、やさしく見守る側に回るのではないだろうか、というふうに考えが変わった。そして、もっとずとずっと先の未来、万年でも、億年でもいいが、期待されていたボイジャーの本当の受取人が、この銀河系の片隅の小さな星から運んできた様々な言語による挨拶を聞くことになる、と空想してみたいのだが。
 あの小さな探査機が、何処から来て、その旅がどれほどの長きにわたったかは、地球の位置を刻んだ黄金のデスクと、ボイジャーの速度が語るだろう。それまでは恐らく、われわれ人類の寿命を遥かに超えて、飛び続けるのだと・・・、そう思えば、健気な二つの探査機に救われる。

 また明日。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     「冬ごもり」 (75)

2020年02月29日 | 入笠牧場からの星空

    「冬の終わり」           Photo by かんと氏(タイトルも)

 きょうで2月も終わる。それでかんとさんのこのPHを使わせてもらうことにした。物置の一部が見えるように、管理小屋の前のいつもの場所からオリオン座やシリウス、プロキオンなどを入れた「冬のダイヤモンド」の一部を撮ったものだ。

   あまりうまく撮れませんでした。
   全ての写真で雲が入り、かつ、ほんの少しブレていて、合成でごまかしました。
   ブレた原因は、手ぶれ防止が働きブレたか、または三脚が氷の上で少しずつすべったか。

 以上が、写真に添えたかんとさんの伝言。肉眼では分からなくても、撮影対象になった星々がかなり西に傾いていたから、露光時間が長いとこの場所でも伊那の街の光が入っているのが分かる。最近は、松本城や善光寺まで夜間照明が施されているようだが、個人的には老婆の厚化粧のような必要のない飾りのように思える。天然の星空を真似るのはプラネタリウムに任せておけばいいのではないだろうか。
 昨夏、PV撮影に来た人たちの中で何人もが初めて天の川を見たと言い感動していて、そのことに驚いた。普段の都会暮らしでは夜空の美しさなど気付かないから、入笠牧場へ来てそれを知ったのだろう。織姫や彦星、白鳥座の名前ぐらいは耳にしたことがあるだろうが、そういう星座や星を覚える前に、それまでは関心のなかった星空の美しさや、魅力が分かってもらえて良かった。
 望遠鏡を使っての星空観察では、一番人気の高いのは土星だろうか。あの輪を誰でもが見たいと言う。月もクレイターの中の影までが見えたりすると、やはり子供も大人も感動の声を上げる。ただし、いろいろ見せて上げたいのは山々ながら、星や望遠鏡についての知識がそれほどあるわけではなく、望遠鏡に関しては取扱説明書すら読んだことがないという有様で、お寒い限り。
 若いころに北米を旅していて、ミネソタの飛行場で友人と待ち合わせたことがあった。その時の時間つぶしに空港内の書店で星の本を見付けて眺めていたら、初心者は望遠鏡よりか双眼鏡の方がいいと勧めていた。それがなぜか頭にこびりついてしまって、だから牧場で働くようになってまず双眼鏡を手に入れた。そして、望遠鏡になったわけだが、今でも双眼鏡は身内ぐらいの親しさがあっても、望遠鏡は知り合い程度でまだまだ友人の仲にはなっていない。
 極軸望遠鏡を曲軸望遠鏡とやってしまったり、赤道儀を赤道義とやってしまい、かんとさんから教育的指導を受けた。もう、ほぼ諦めているが、野鳥、草花、天体はまた今年の課題になるのだろうか。それぞれに権威ある人はいるのだが。

 以上、本日のお粗末な呟き。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     「冬ごもり」 (73)

2020年02月27日 | 入笠牧場からの星空

      「冬の大三角」    Photo by かんと氏

 こうしてかんとさんのPHを見ると、確かに「冬の大三角」を構成するオリオン座のベテルギウスの光が弱々しく見える。ひところは超新星爆発を起こす前触れではないかと言う人がいたり、すでにそれが起きている可能性さえ語る人もいた。最近では、表面温度が低くなった結果であるとか、塵が放出されて光が遮られているからといった見方の方がより有力になっているらしいが、ここでこれ以上の知ったかぶりは止めておいた方が無難だと思う。かに星雲のように実際に超新星爆発(1024年)が起きれば、昼間でも見える明るい星がひとしきり出現し、やがては輝きを失い、そうなれば冬の大三角の一画を構成できなくなる心配だってある。(2月26日記)
 *きょう(2月27日)の報道では、ベテルギウスはその光の明るさをかなり回復しつつあるとか。いつまでかは分からないが、冬の大三角はまだまだ輝き続けるだろう。
 
 昨夜、あれ以上星に関連した独り言を続けることに窮して、天竜川の土手に行ってみた。北に向かって歩き出すと北斗七星がすぐ目に入ってくる。先週の金曜日、入笠でかんとさんと一緒に眺めた時よりかやはり大きく、堂々として見えて、あの大きな柄杓でもしも頭上の闇を掬うことができれば夜空は明けてしまうだろうと、ついそんな他愛のないことを考えたほどだった。折しも東の空に昇り始めたわが牛飼座のアルクトゥールスも、赤味を帯びた光の点が以前よりかよく見えるようになっていた。

 30代のころに、あるきっかけで宇宙のことに関心を持ち、ブルーバックスを始めあれこれの本を読んだ。映画「2001年宇宙の旅」を見て、それまでは読まなかったSFも、クラークの本はかなり読んだ。「コスモス」がTVで放映され、番組の原作者になるセーガンの本は読んだと言うよりか、英和にわたり集めた。それがホーキングあたりからついていけなくなり、複数の宇宙の存在が論じられるにいたっては理解、想像力が及ばなくなって万歳した。
 牧場で働くようになってから、そこから眺める星空に感動して無理をして双眼鏡や望遠鏡を買い、別に1台は寄贈してもらい、それらは今も入笠牧場に置いてある。たまに開く観望会にも役立つようになり、遅ればせながら関心のなかった星座も少しは覚えようとしてみたが、野鳥、草花と同じように門前の小僧にはなれそうもない。諦めている。
 
 昨夜の帰りはまたいつものように多数の星々を眺めながら、その中でも特にオリオン座、おうし座のアルデバラン、さらに西に仄かな光の粒々、散開星団プレアデス(「昴」、M45) などなどにまつわる軽いこと、重いこと、いろいろな記憶を甦らせ、考えさせられながら帰ってきた。
 
 以上本日もお粗末な独り言。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする