
Photo by かんと氏(再録)
風邪が長引いていながら、安気に夜更けの天竜土手などを散歩してもいいのかと、そんなことを案じてくれる人はいないが、それにしても長く続く風邪で、もう半月が過ぎる。しかし、新型のあのウイルスを疑うことはない。冬ごもりの日々で人中に出ることはまずないから、そんな者にあんなのが感染するなら、すでに間違いなく沖永良部から利尻島まで日本中が猖獗を極めているだろう。幸いそこまではいってないが、それにしてもこの時季は風邪を引いている人もたくさんいるはずだし、特に都会に暮らす人は不安だろう。既存のインフルエンザに加え、エライものが流行り出したものだ。
二日ばかり前、気温も春並みということで、思い切って風邪対策の強行手段に打って出た。まず薬局で風邪薬、それと同じくらいする疲労回復用のドリンク剤を買い、しっかりと風呂に入り、ビールもどきと熱燗を飲み、羽毛服を着て布団に入った。着替えの肌着やタオルも忘れず、これでしばらく寝ていれば汗が呆れるほど出てくるはずだった。
本を読みながら少し眠ったかも知れない。ところがその間、首のあたりに汗をかいたくらいで、呆れるほどの発汗はなかった。歳のせいで以前のように新陳代謝が活発にはならなかったのかと思ったが、しかしそれでも7、8割がた風邪は治った。微熱だった体温は正常に戻り、鼻水、くしゃみは止まった。なぜ完治と言わないかというと、身体が風邪慣れしてしまい、正常な感覚というものがどんなものかを忘れてしまったようなのだ。だから、非常に風邪に対して疑い深くなって、妻の浮気を怪しむ細い眼をした夫のような気持になっているらしい。え、いやいや、新聞広告にそんな話が仰々しく載っていたような気がしただけ。
アダシゴトはさておき、体調は問題なし、羽毛服には女房並みに世話になった。
昨夜も、また天竜川の堤防を酔い心地で歩いた。今や入笠以外で行ってみたいと思う場所はあそこしかなく、旅の衣をまとう日がいつ来るのかは本人にも分からない。「遊子は帰還を忘れ」るような旅に出たいとは思うのだが。
かんとさん、やはりそうでしたか。一応アノ字で良いのか疑問に思い検索をかけたら、そこでも「曲」という字が出たので、内容までは確認しないまま使ってしまいました。同じことをしてみたら今度は「極」になっていました。極軸望遠鏡、訂正しお詫びいたします。
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