
明け始めた薄い青色の空を、朝の日が染め始めた。今朝も夜明けの鳥の囀りがよく聞こえてくる。午前5時半、外の気温4度、放牧地は朝露に濡れている。
いつも眺める景色の中にもコナシの赤い蕾ばかりか、開花を急いだ白い花も目に付くようになってきた。もう幾日もしないうちに、大沢山や小入笠の山肌が何本もの白い帯状の縞で飾られるようになると期待しながら見てきた。
またクマの被害報道が喧しくなっている。今度は北海道のヒグマではなく、秋田県に生息するツキノワグマで、それも何人もの警官の中に向かって急襲してきたらしい。
これまで、ツキノワグマは余程のことがなければ人を襲わないと信じられていた。ところが、そんな希望的観測を嗤うようにこんな事故、被害が起きてしまった。
第1被害者の知らせに警官や猟師が駆けつけ、その騒ぎにクマが動転した結果なのか、それとももっと別な理由があったのだろうか。
以前からクマが人を怖れなくなることを心配していた。クマは人里へ、人は山奥へ入っていく。東北の山のことは知らないが、ここらでも広大な国有林を中心に森林伐採の手は入っているし、斧やノコギリの時代と違ってチェーンソーのうなる音や材木を運搬するトラックの騒音は終日谷間に響き渡る。当然、クマの方は生存を脅かされると思いそれなりの対応を考えたり、行動を変えたっておかしくはない。
人間だってそうだが、そういう環境の変化に対し、頭にきたクマの中には突飛な行動に出る場合だってあるだろう。そして学習する、人は思っていたほど怖ろしくないことを。むしろ人がクマを怖れ、某役所の人間たちはそんな自分たちを守ってくれようとさえしていると。
だから鹿を真似て同じように、クマも里山に出没するようになったのだとしたら、中には自分を客と思い違いするのもいたりして・・・。
冗談はさておき、まだここらのクマは人を怖れると言ってもいい思う。しかし、いつまでもそうかは分からない。鈴や人声が、逆にクマを誘引する日が来るかも知れない。
この地球上には野生の哺乳類はわずか4パーセントしか生存していないと、題名は忘れたがある本で読んだことがある。それも切ない話だが、いずれクマも、あるいは人も、きっと同じ道を辿るだろう。
本日はこの辺で。
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