困った症状を抱えた子どもたちが生きやすくなるよう、食改善の支援をしてくださっている国光さんから紹介して頂いた本は、メタアナリシスを基に書かれていました。
メタアナリシス、初めて聞く言葉でしたが、これはとても説得力ある言葉です。
疫学研究論文を複数統合したメタアナリシス
食と健康に関する本は数多ありますが、食全般に亘り裏付けをもって書かれたものは見たことがありません。
多くは限られた食品について書かれ、しかも、例えばお肉について書かれた本でも両極の論があり、私たちは何を信じていいのか?恐らく専門家と言われる人たちでさえ、明確な裏付けをもって語ることは至難だろうと思います。
佐伯伸孝著「『本当に健康になる食』はこれだ!」は、人々の生活習慣と疾病の発生率について調べた世界の疫学研究論文から、食と疾病の発生率に絞りこんだ608のメタアナリシスが分野ごとにわかりやすく紹介してあり、食と健康を考える羅針盤ともなるかもしれません。
さて、聞きなれないメタアナリシスとは、複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析すること、またはそのための手法や統計解析のことであり、根拠に基づく医療において、最も質の高い根拠とされるとのこと。
50年前と現在を比べると、日本人の死因は大きく様変わりし、生活習慣病に起因する死因が大宗を占め、平均寿命と健康寿命に10年の開きがある時代です。
私たちが健康で長生きし、人の尊厳はと考え込みたくなる虜囚のような老後にしないためにも、体を作る食をしっかりした根拠に基づいて考え、実践して行かなければならないのではと思います。
608のメタアナリシスから見える傾向
608のメタアナリシスを俯瞰すると下記の傾向が浮かび上がってくるとされています。この本に何度となく書かれた結論でしょうか。
①野菜・果物は多くの疾病の予防に効果的
②肉、脂質、炭水化物は要注意
③食品からとるビタミンなどは効果的だが、サプリは効果的とはいいがたい
高い情報リテラシーが必要な時代
昨日のYahoo!NEWSに「『ジャンクフード』消滅? 米国で高まる健康志向」という記事が配信されていました。
健康志向が進んでも、値段で選ぶ消費動向が簡単に変わりそうにないことや、そんな意識で食を変えることができたとしても、生活習慣病が大きく改善することはないだろうと類推させるものでした。
改めて、高度な情報リテラシーを持たないと、尊厳ある人生が歩めない時代だと感じています。