1
山里の家の中に一人でいると、人を見かけない。一日中、人を見ないでいる。そういう日が多い。南海の孤島の暮らしぶりに似ている。ま、家族とは朝夕に顔を合わせるけれど。
2
で、ある日、町に出て人を見ると、とても刺激的だ。火星人にして、じろじろ見てしまう。ヘンなお爺さんと怪しまれているかも知れない。もちろん、声を掛けたりはしない。
3
ふふふふ、こちらの方こそ火星人に見られているかも知れないな。頭はつるっつるだし。眉毛も睫もないし。よろりよろりして歩くし。ぼろぼろよれよれの服を着ているし。