１
歪（いびつ）なんだ、僕は。捻じ曲がっているのだ。ぐにゃぐにゃしているのだ。
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ぐにゃぐにゃしたまま、人様の中にいるのが躊躇（ためら）われるのだ。
３
で、畑に行って、そこで一人居るときがいちばん安らいでいる。
４
一人でいられるときにはそれでいいが、そうできないときがある。
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その時がタイヘンだ。そわそわしてしまう。落ち着かなくなる。
６
長く生きてきたんだから、そんな短所くらい修正しておけばよかっただろうに、それがそうできていない。幼児の段階で成長が止まっている。
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辛い。
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人中に入って、わいわいきゃあきゃあしてたらいいのに。
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精神科医院に行って診てもらったら、なんとか異常の病名がつくかもしれない。
１０
ま、でも、もうすぐ終わる。人は死ぬ。近いうちに、にんげんを終わることになる。
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高所恐怖症という症状がある。僕は高所恐怖症ではないが、人中恐怖症である。人の中に入っていくのを極度に嫌う。コロナ菌を恐がってのことではない。人が鬼に見えているからでもない。安定しない。落ち着けない。とにかくそわそわしてしまう。異常な心理になってしまう。そうならないうちに、だから、急いで、人の中から離脱を試みなければならない。
２
駅や大通りの群衆は、しかし、どうもない。やり過ごしてしまえるからだ。一つの部屋に固まって集団でいる、それがイヤだ。ともかくイヤだ。困った性格だ。
３
若い頃にはそうでもなかったのに、年を取ってこの症状が顕著になった。引き籠もってひとりでいると、他者を気にしないで居られるので、安らいでいる。自分の短所がずばり人様に透視されているような錯覚が起きて来る。つまりは自信がないのだ。
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午前中と午後に畑に出た。お天気がよくなったので。
２
午前中は、まず巻かない白菜の苗を、２０株ほど畑に移植した。プランターに種を蒔いてたのが、成長して来たからだ。続いて巻く白菜の苗も１０株ほど。
３
ちょっと移植をする時期が遅れたかもしれない。水はたっぷり撒いておいたが、それでも夕方見たら、やや萎れ加減だった。元気を取り戻すには一週間ほど要するかも知れない。
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午後は、大安売りの３０円で買ってきた春取りブロッコリー苗を１０株、これまで白菜を収穫してそのままぽっかり空いているところに、植え込んだ。ゆっくりゆっくりの作業なので、夕方５時近くまで掛かってしまった。
５
でも、楽しかった。とにかく楽しかった。土弄りしていると、それだけでお爺さんは愉快になれる。雑念を放棄できる。単純なんだから。
今日はいい日となった。新聞に投稿していた詩の作品が一席入賞を果たしていた。天と地がひっくり返ったような驚きだ。やっとやっとやっとのこと。だから嬉しい。
一月前に投稿していた。新聞に掲載された作品を読んで、なんだか人の作品のような気がした。そういう作品を書いたことを覚えていなかった。原稿をひもといて、そうかそんな作品を書いていたんだと納得した。一席入賞でいいのかなと不安になった。
読んで下さった方がどう思われただろうかと気になった。家内は「うん、分かりやすかったわよ」と言ってくれた。分かりやすかったから、それでいい作品になっているかどうか。読んで下さった方が、エネルギーを吸収して元気になられるようでありたいと願う。
今日はいい日になった。晩酌を一合プラスしようかな。今日はおでんだ。お祝いに、鰺の味醂干しも焼いてもらえるようだ。
