法界平等利益。ほっかいびょうどうりやく。法界は平等利益す。
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日の光は法界平等利益であった。わたしもこれを受ける。善の人ばかりではなく、悪のわたしもこれを受ける。
月の光もやはり法界平等利益であった。分け隔てなくわたしもこれを授かる。授かって爽やかになる。
五月の風も法界平等利益であった。わたしの頬をも撫でて通る。五月の山の新緑もまた法界平等利益であった。わたしの目が見てよろこんでいる。
法界は平等で分け隔てがない。わたしも法界のすべての利益を戴く。あらん限りの利益を戴く。
わたしが平等の利益に与れるということをもって、ここが紛れなく法界であることの証明になっている。
法界とは仏のいますところということである。仏の智恵と慈悲の流通するところということである。
この平等利益を思っていると、現実社会の不利益への不平と不満の割合がともに小さくなる。消えてしまうことはないにしても、文句を言う声音が小さくなる。
わたしが法界の利他行の相手になっている。ずいぶんの昇格である。破格の昇格である。それを思うと己を粗末に考えることが難しくなる。