<おでいげ>においでおいで

たのしくおしゃべり。そう、おしゃべりは楽しいよ。

蜜柑の花の香りはおんなの人の香り

2017年05月08日 15時03分38秒 | Weblog

蜜柑の花が咲き出した。山の斜面を利用した蜜柑農園の傍を通りかかると芳香が流れて来て、溌剌と目が覚める。大好きな匂いである。甘い。吸い寄せられる。こういう香りを放つ女性が歩いていたら、さぶろうはきっと後を付いていってしまうだろう。彼女は日傘の中に居る。白い日傘が日を遮っている。彼女の顔は見えない。代わりにワンピースの衣擦れの音がする。さぶろうは嫌が応にも想像を膨らませる。きっと全身が慎ましげだろう、上品であろう、優美であろう。歩いて行くたびに蜜柑の香りが流れて来る。遠くへ目を遣ると丘があってそこに蜜柑農園が広がっている。なんだ、そうだったのかと合点する。風が遠くから芳香を放っていて、彼女はそこの香りの川を上り詰めていたのだった。

 

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