海抜を示す時計が何度も富士山の高さかそれ以上を示した高地の旅。キトでさえも2850mだ。初日は息切れしたがじきに慣れた。バス窓外の山々や斜面の風景の美しさ。近景は多様な色調の緑のパッチワークとカラフルな屋根、その先の岩山はザイオン国立公園のように切り立ち、滝が落ち、遠景は霧の中に黒い尾根と湖がまるで墨絵の世界をなしている。このような風景を高地への移動で飽きることなく味わった。グアヤキルの公園で無数のイグアナと遊んだが、おぞましいルックスに似合わず触っても怒らない人懐こい性格で人気者だ。
出会いについて書かねばなるまい。クエンカの温泉で韓国女性Daunさんに会った。KOICA(日本のJAIKAに匹敵)でクエンカに派遣されグラフィック・デザインを教えている。日本が大好きだと招待にあずかり、韓国料理の大接待を受けた。モロッコでも若夫婦の家庭に招待されたことがあるが、ちょっと会っただけで招待する純情な25歳のお嬢さんだった。他にも特筆すべき親切を多数受けた。リオバンバ近郊には富士山に似たきれいな山、チンボラソがあるが、その日天候が悪く、見えなくて残念がっていたら、ホテルの息子が翌日山の見えるところまで自分の車で連れて行ってくれた。「次回は客でなく母(経営者)の友人として泊まってくれ」と嬉しい言葉。トロリーバスの乗り換えで迷っていたら一緒に二度も自費で乗り換え、宿の近くまで案内してくれて又バスに乗った人。男性、女性と二回あった。我々のバスが来るまで自分のバスは見送って30分も待っていてくれた男子大学生、我々が尋ねた店を後で見つけたからと走り戻ってきた女性。きりがない。続く(彩の渦輪)