昨年、家を覆いかぶさっていた大木から無数の芋虫が落ちてきた。家やバルコニーの側面に這い上がり、取っても取ってもきりがない。彼らは目の前で繭を作って冬籠りだ。暮にはさなぎになり、蛾になって卵を産み、再び木の葉を食用とするだろう。葉は芋虫が、幹内部は他の昆虫類が冒すのだから樹木はたまらない。枯れる運命にあるのだ。大自然の豊かな森林に囲まれた我が家やその周辺が文明の発展という名の人間の欲望に犯されてきた。空気、水、草木に至るまで自然環境が人間の排出する毒素に冒され破壊されてきた。快適に住むために車や冷暖房装置に多くのエネルギーが消費され、環境破壊に繋がっているのは周知の通りである。文明社会も度を越すと住み難くなると実感とするようになった。
身近な例で地球温暖化現象の一つではないかと感ずることがある。USに住んで約20年たつが、この5年来、裏の林の木々が次々と枯れて倒れるのである。樹齢100年以上の大木や30年以上の樹木に至るまでサンダーストームや樹氷の重みで根元から根こそぎ、或いは幹の中間から、太い枝から、となぎ倒されたり折れたりしている。屋敷内の木々に発生する現象である。勿論、周辺の家々も同じである。折れたところを観察するに虫に喰われて半分枯れている。要は虫類が大量に発生し、木々に巣作りしだしたということなのだろう。倒れて処理した太い木が9本にも及ぶ。この住宅環境、夏は木々が生い茂って涼しく、冬は木々が放射冷却や吹きさらしの風から家を守ってくれて暖かい。薪を燃す暖炉で充分暖がとれるが、風情もあって気分もよい。続く(自悠人)