あけぼの

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父が羨む旅:メンデルスゾーンが住み、死を迎えた家に佇んで

2009-05-26 10:25:30 | ブログ

 この春の旅、ベネルックス3国訪問を早めに終え、東独再訪を決めた。フランクフルトでBAHNの親切な駅員さんが格安で乗り放題の周遊パスを手配してくれた。ベルリンへの列車沿線は悠久の大自然、雨に煙る光景も風情があった。ベルリンを見てから列車で夜8時にライプツィヒに到着、ベルリン、ライプツィヒとも駅舎からして余りにも広く立派に変わり、人々の暮らしに相乗して変わる環境というものを見せつけられた。誰に聞かなくても夜でも相応のホテルが探せた。

今回はシューマンの家やメンデルスゾーンの家を訪れ、日本からの音楽留学生にも会い、迷うほど広い有名なゲヴァント・ハウスも見た。筆者の父はメンデルスゾーンが好きで、若き日から89歳で亡くなるまで毎夜ヴァイオリン・コンチェルトをステレオで聴いてから寝たものだ。筆者もそのお陰でメンデルスゾーンが好きになった。父のお葬式にはメンデルスゾーンのヴァイオリン・コンチェルトを流してもらった。自分の愛娘がライプツィヒに来て、メンデルスゾーンが住み死を迎えた家の中に立ち、ゆかりのヴァイオリンや彼が弾いたピアノの前に今佇んでいると知ったらなんて羨ましがることだろう。あの世でメンデルスゾーンに憧憬と賞賛の言葉をかけているかもしれない。ライプツィヒでは当然ながら旧東側の暗いイメージは払拭され、美しく変貌した街並みは時代の先端を行く文明が匂い、世界各国から音楽を学ぼうと集まってくる人たちの謳歌が聞こえた。音楽好きなドイツ人の気質は永劫に生き続けることだろう。(彩の渦輪)