西表島、由布島間の浅瀬を渡る水牛車
石垣島から南の島々、八重山諸島のうちの石垣島、西表島、由布島を訪れた。石垣島はハワイとほぼ同じ緯度だ。2か月前に入院手術を受けた筆者は大雪直後の1月末、凍える東京から亜熱帯海洋気候の石垣島へ避寒の旅を思いついたがこれは成功だった。出発時はセーターを重ね着していたがここではTシャツで充分、海人(ウミンチュー=漁師)と書いた素敵なTシャツを買って着た。緑滴る木々に這う夕顔の花が印象的だった。温暖気候の石垣島が我々はいたく気に入り、物価の高いハワイより黒砂糖や健康食だらけの石垣島へ行こうと、数か月の滞在を考慮中だ。
幸運!夏川りみのおばあちゃんの水牛車に乗った!
西表島ではマングローブを見に行き、冠鷲を目撃し、愛らしいコメツキガニという小蟹を潮の引いた川面で見て仲間川を楽しみ、残るはこの島のシンボル、西表山猫だけ、と出会いを切望した。特別天然記念物で今や100匹を切るそうだ。アメリカの高速道路に「鹿に注意!」のサインがあるが、ここでは「西表山猫に注意!」だ。しかし願い叶わず、電池仕掛けで踊る山猫人形を買って我慢した。
夏川りみをご存じだろうか。石垣島出身の歌手で、三線を弾きながら「涙そうそう」等を舞台で歌っている歌手だそうだ。「西表島に行ったら彼女のおばあちゃんの水牛車を探しなさい。運が良ければ三線を弾いて歌ってもらえるよ」と聞いた。西表島の大原港から400m対岸の由布島へ、海の浅瀬を渡る水牛車は座席と屋根が取り付けられた小型の乗り物だ。大きさの異なる水牛(角の大きさで年齢が判る)が待っていた。浅瀬をのんびりと渡り、由布島を見てまた水牛車で西表島に戻るのだ。行きには女性御者は見つからず別の水牛車、だが帰路は幸運だった。見つけたのだ、年輩女性を!「この牛は小次郎で6歳です」と奥ゆかしく話す女性は忙しい日だけ駆り出されるのだという。やおら三線を屋根の棚から下ろし、「あさどやユンタ」を歌った。彼女の演奏と歌に合わせ、乗客全員で合唱しつつ潮風を受けながら浅瀬をゆらゆらと西表島に戻った。彼女や客たちとの合唱、「サーユイユイ!」は思い出に残る出来事だ。感謝を述べ、写真を撮らせていただいた。(彩の渦輪)