あけぼの

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お金で幸福が買えるか:Can Money Buy Happiness?

2018-05-18 09:51:54 | 講演・アート・音楽・スピーチ

 夫の友人で医師Xさんの夫人Yさんは薬剤師で筆者と年齢、出身県も、癌をいくつかかかえていたことまで同じだ。最近Yさんが突然死なさった。まさかの急変、朝の着替え後台所入口で倒れておられ即死状態だったという。人の運命は分からない。昨夜は普通だったのに、夫が起きた時にはこの世の妻ではなかった、と。X医師は長い間地元病院で責任ある地位、定年後も養老施設で医療一切を任され土曜日も働く、知る人ぞ知る医者だ。夫人Yさんは薬剤師、だが働いた経験は短期間だ。夫が巨額の収入は持ってくるものの家庭を顧みる時間がなく、専業主婦となり、自分の人生を歯がゆがっておられた時期もあったようだ。ちょっとYさんの生涯に思いを馳せてみよう。筆者の夫、自悠人はYさんと郷里が近い関係で親しく話をするようになり、あるとき、「専業主婦という仕事に満足出来ず、薬剤師として働きたい」と漏らされたそうだ。能力を活かせる仕事がやりたかったのだ。「医者夫人で終わりたくない!社会に貢献したい。自分を試したい!」と悶々となさった時期だったろう。XY夫妻が2軒目の家を建てる時、夫XがYさんに6千万円渡して、「これで改築しろ!」と。建築の知識が無い妻にお金だけ渡せば家は出来る、と考え、自分では何もしない夫だったようだ。その後癌を3つ発病なさったと聞いているが、籠った気持ちが起因だったかも。「夫の気持ちを察して何も言い出せなかったのでは?」と自悠人は推察した。自悠人はYさんに相談され、工務店の采配や役所関係の手続等、建築の基礎知識を教えたが、彼女は1人で全てやったようだ。挨拶に訪問した時には雨戸も自動シャッター、庭も改造、2車が車庫に納まり、便利な邸宅が出来ていた。お金の苦労とは無縁で、傍からは幸せな人生に見えたが、社会に直接貢献したい欲望を抑え、ワンマン夫へ妥協して専業主婦になったYさんは幸福だったろうか?

 XY夫妻と我々夫婦の生活は月とスッポン、我々はお金に恵まれた暮らしではないが生き方は自由闊達、「ポケットには1円残して死ねばよい」と貯金残高は気にせず地球を舞台に漫歩し、夫57歳、妻52歳から20年間アメリカ生活もして開放感を体験してきた。友人同志の2人に連れあった妻2人の人生の相違点だが、Yさんは巨収入、夫に従順に生き、こちらは予算に悩もうとも徹底的にDiscussion、夫婦間の意志の疎通はあり過ぎるぐらいでやってきた。四六時中の喧嘩も意思疎通には役立ってきただろうか。人生や寿命を左右する要因にはお金以外にもちろん努力も…父母の、友の、近隣の、国の…生まれ持っての命運もあるだろうゆえ、安易に評論出来ないことは確かだ。(彩の渦輪)

写真の絵は拙著 Still Waters Run Deep (Part 2) より By 大川なおみ