写真家の著者、渡辺一城さんによると、「豚と人は似ている」そうだ。内臓も性格も。読了後写真集も後書きも何度もめくった。感情移入して。巻末の「美味しい豚を作ること」というタイトルのエッセイ中の臼井欽一氏(有限会社臼井農産 代表取締役)の言葉、「消費者との距離を縮め、目隠ししてもわかる美味しい豚肉を生産、販売していく。それは…私の使命であり役割である…」には感動、素晴らしい言葉だ。最終的には殺すのにいつもその健康状態をチェックする行動は、消費者への愛情だけではなく豚ちゃんへの愛情にほかならない。「そのことをもう一度考えるため」というタイトルのエッセイ中、小櫻憲治氏(株式会社サンリョウ 代表取締役)は最後の2行で、「日本の食文化がどのような過程で成りたっているのか。そのことをもう一度考えるための、一つのきっかけになれば嬉しい。」と閉じているが、確かに筆者も何度も豚ちゃんたちのことを考えた。彼は「経済動物としての豚を一つのテーマとして掲げる若者はなかなかいない」と、著者、渡辺一城さんを高く評価しているが、筆者も同感だ。渡辺一城さんのエッセイ、「人として生まれたこと」には、「豚を育てること。殺すこと。食べること。全ては“人”がやっていることである。豚はこのことを知らずに生きている。知ることができるのは“人”だけである。」と。確かにそうだ!豚ちゃんの本に「人」というテーマがついているのがまた素晴らしい。豚ちゃんを思い、豚ちゃんへの人々の愛と感謝に触れ、考えるチャンスをたっぷり頂いた、渡辺一城写真集、「人」に心底多謝!(彩の渦輪)
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