四国というところに足を踏み入れたことがなかったので急に思いつき出かけた。スリル万点、祖谷のかずら橋 徳島阿波踊り空港に降り立ったので徳島から始めよう。有名な大歩危(おおぼけ)渓谷は大小の青岩と碧流の織りなすダイナミックな奇観だが、そこから近い日本3奇橋の1つ、幅2m、長さ45m、高さ15mの「祖谷(いや)のかずら橋」は山あいの峡谷に渡した吊橋で国の重要有形民俗文化だ。かつて平家一族が追っ手から逃れるため、切り放し易いよう野生のシラクチカズラで編んだ橋とか。手すりはカズラ巻き、プツプツ切れたところもあり頼りなく、揺れる足元から遥かな谷底に祖谷川の清流が見え、緊張と恐怖の極に達した。「良い死に土産が出来た!」と叫んだが、死に土産どころか若返った気分だった。
四万十の沈下橋と田宮虎彦の『足摺岬』 高知県、四万十市に来た。日本最後の清流、四万十川は先頃の台風で土手に流木が重なっているが、やっと川にエメラルド色が戻ったという。稲が横たわり痛々しい光景を目にしながら四万十川最下流にかかる佐田沈下橋へ。沈下橋というのは増水時に川に沈むよう欄干なしで建造された橋、欄干にゴミがかかれば橋が流されてしまうからだ。濃緑色の山々を反映する翡翠色の四万十川を見下ろしながらの沈下橋ウォークは爽快だ。田宮虎彦の『足摺岬』、何度も映画化されたが覚えている?昭和初期、軍国主義突入の頃、自殺願望で足摺岬にやって来た暗い青年を演じたのはニヒルな木村功。抵抗不可の暗い時代、惨めな現実を生きねばならない人間の宿命を描いた短編で、四国最南端の足摺岬で始まる。戦争参加の可能性が生じた今読むのにぴったりの作品だろう。高知県では主要道路脇の至る所に憲法9条を守ろう!」の 看板が立っていた。(彩の渦輪)
写真は順に、祖谷のかずら橋をこわごわ渡る筆者、大歩危、四万十橋にかかる沈下橋、最後の2つは足摺岬
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