5坪くらいの小さな会長室、場違いの立派な額に
賞状と勲章が治まっています。会長室に訪れる人の
賞賛を聞くのが、唯一B会長の生き甲斐です。
平成14年、業界から推されて黄綬褒章を頂いたのです。
丁度其の頃、Bは銀行と大きな争いを起し、高裁まで
争いましたが全面敗訴が下った頃でした。バブル崩壊で
信託銀行に薦められてやったマンション投資の件で争ったのです。
生真面目なBは真正面から当時流行の貸し手責任で争いましたが、
貸し手責任を正面切って争われると、銀行が受け入れる筈が無く、
ついに訴訟までになったのです。
、
其の最中に当初銀行に対して同じ問題で争っていた人たちが
どんどん銀行と和解をしたことを知り、Bは自分だけが特別に
不公平の扱いを受けたと思い、ついに高裁まで争いました。
敗訴になると同時に銀行からは残の請求がありました。
払える道理はありません。すると銀行は自宅と会社の
不動産を仮差ししてきたのです。
もう裁判では勝てない、しかし支払い面で争そおうとBは
覚悟しました。銀行の差押にも手抜かりはあったのです。
自宅は建物のあるところは仮差ししたのですが、地続きの
土地は手付かずです。直ちに妻の名義に変えました。
差押のところだけならば、大した事はありません。
会社は狭い土地に鉄骨の2階建です。
他の銀行が第一抵当で現在無剰余に近いです。
其の上、2階は建物を建てた30年前から音楽学校に貸してあり、
簡単に売れる品物ではありません。
不動産は買い戻しても、大した事はない。不動産が無くなれば
儂は無一文だ。争える。争そおう。Bはこう決意した時に、
業界から褒章候補に推されたのです。
「業界に精通し、民の模範となる」黄綬褒章です。
生真面目なBにとっては身にあまる光栄です。不動産は
なくなっても又買うことは出来ます。勲章は今のチャンスを
失えば、もう手にする事は無いでしょう。何を犠牲にしても
勲章を貰うことを決意したのです。
勲章のお祝い事は方々で続きました。
Bは豪快と云うタイプでは有りません。全くの謹厳な小心、
生真面目なタイプです。天狗にはなりませんが、皆に勲章の
ことは誇りたいのです。そして其のたびに決意をしました。
「儂は今後この勲章の名を汚さないように生きて行くぞ。」
Bの行動の基本は此処から始まるようになって行ったのです。
さあこんな時敗訴して仮差までされたのです。裁判に負けたのです。
正しいと思っていた自分の信念がぐらつきました。こんな時に
仮差しのことが世間に解かれば立つ瀬がない。勲章に申し訳ない。
Bは勲章の名誉を守るために何か急に弱くなってしまったのです。
其の後の返済交渉は急に腰砕けとなりました。かって貸し手責任と
云って争った面影は急速に消えてしまったのです。
毎月20万を返済し、20年たったらその時に残債務に関して
協議をする。本件の担保として、今の仮差しの物件を
抵当権に切り替える。銀行との返済方法が和解になったのです。
此れも最初は毎月30万で金利を1.2%にする。
倅の社長を保証人にするなど銀行は笠にかかっていましたが
倅の社長が根気良く交渉した結果です。20年たっても支払い
総額は4800万、残債の3分の1です。会長は其の頃になると、
銀行は残債務を放棄し、担保も解除してくれるだろうと
甘い考えの和解でした。話が成立したのは平成15年の夏でした。
其れから5年近く経ちます。本人以外に黄綬褒章のことなど誰も
問題にして居りません。其れより、景気は全然良くなりません。
かえって悪くなって居ります。
Bも社長を倅に譲りました。
そして公私は別です。銀行の支払いは自分が払っています。
しかし会長ですからあてがい扶持を貰っておりますが、
息子は減額要請です。銀行の返済が苦しくなってきました。
今までは20年経ったら放棄して貰えると信じて居ましたが、
その後の調べでは、どうもその時は不動産は取られて、
残はサービサーに譲渡されて請求がありそうです。
つまり20年間払った金額は全て役に立ちません。其ればかりか
若し自分に何か会った場合は家族に迷惑も掛けそうです。
もう20万の返済をやめて、争いたいですが、体力や気力は
衰えているし、万一競売なれば勲章に傷が付きます。
こんな事を考えて居ると78歳のBはだんだん鬱症状が
現れてきたのです。
70才を過ぎて、思いがけず頂いた本人から見れば最高の勲章、
確かに栄誉でしたが当人が特に過大に受け取ったために、
この代償は非常に大きかったと思います。
倅の社長は親父の様子を見て、自分が知人と相談していろいろな
案を作り自分で銀行と交渉しようと思い立っています。
難しいかも知れないが不可能ではないと思います。
立派な額に入れてありますが、気のせいか勲章の
リボンの色が若干あせてきた気がして居ます。
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賞状と勲章が治まっています。会長室に訪れる人の
賞賛を聞くのが、唯一B会長の生き甲斐です。
平成14年、業界から推されて黄綬褒章を頂いたのです。
丁度其の頃、Bは銀行と大きな争いを起し、高裁まで
争いましたが全面敗訴が下った頃でした。バブル崩壊で
信託銀行に薦められてやったマンション投資の件で争ったのです。
生真面目なBは真正面から当時流行の貸し手責任で争いましたが、
貸し手責任を正面切って争われると、銀行が受け入れる筈が無く、
ついに訴訟までになったのです。
、
其の最中に当初銀行に対して同じ問題で争っていた人たちが
どんどん銀行と和解をしたことを知り、Bは自分だけが特別に
不公平の扱いを受けたと思い、ついに高裁まで争いました。
敗訴になると同時に銀行からは残の請求がありました。
払える道理はありません。すると銀行は自宅と会社の
不動産を仮差ししてきたのです。
もう裁判では勝てない、しかし支払い面で争そおうとBは
覚悟しました。銀行の差押にも手抜かりはあったのです。
自宅は建物のあるところは仮差ししたのですが、地続きの
土地は手付かずです。直ちに妻の名義に変えました。
差押のところだけならば、大した事はありません。
会社は狭い土地に鉄骨の2階建です。
他の銀行が第一抵当で現在無剰余に近いです。
其の上、2階は建物を建てた30年前から音楽学校に貸してあり、
簡単に売れる品物ではありません。
不動産は買い戻しても、大した事はない。不動産が無くなれば
儂は無一文だ。争える。争そおう。Bはこう決意した時に、
業界から褒章候補に推されたのです。
「業界に精通し、民の模範となる」黄綬褒章です。
生真面目なBにとっては身にあまる光栄です。不動産は
なくなっても又買うことは出来ます。勲章は今のチャンスを
失えば、もう手にする事は無いでしょう。何を犠牲にしても
勲章を貰うことを決意したのです。
勲章のお祝い事は方々で続きました。
Bは豪快と云うタイプでは有りません。全くの謹厳な小心、
生真面目なタイプです。天狗にはなりませんが、皆に勲章の
ことは誇りたいのです。そして其のたびに決意をしました。
「儂は今後この勲章の名を汚さないように生きて行くぞ。」
Bの行動の基本は此処から始まるようになって行ったのです。
さあこんな時敗訴して仮差までされたのです。裁判に負けたのです。
正しいと思っていた自分の信念がぐらつきました。こんな時に
仮差しのことが世間に解かれば立つ瀬がない。勲章に申し訳ない。
Bは勲章の名誉を守るために何か急に弱くなってしまったのです。
其の後の返済交渉は急に腰砕けとなりました。かって貸し手責任と
云って争った面影は急速に消えてしまったのです。
毎月20万を返済し、20年たったらその時に残債務に関して
協議をする。本件の担保として、今の仮差しの物件を
抵当権に切り替える。銀行との返済方法が和解になったのです。
此れも最初は毎月30万で金利を1.2%にする。
倅の社長を保証人にするなど銀行は笠にかかっていましたが
倅の社長が根気良く交渉した結果です。20年たっても支払い
総額は4800万、残債の3分の1です。会長は其の頃になると、
銀行は残債務を放棄し、担保も解除してくれるだろうと
甘い考えの和解でした。話が成立したのは平成15年の夏でした。
其れから5年近く経ちます。本人以外に黄綬褒章のことなど誰も
問題にして居りません。其れより、景気は全然良くなりません。
かえって悪くなって居ります。
Bも社長を倅に譲りました。
そして公私は別です。銀行の支払いは自分が払っています。
しかし会長ですからあてがい扶持を貰っておりますが、
息子は減額要請です。銀行の返済が苦しくなってきました。
今までは20年経ったら放棄して貰えると信じて居ましたが、
その後の調べでは、どうもその時は不動産は取られて、
残はサービサーに譲渡されて請求がありそうです。
つまり20年間払った金額は全て役に立ちません。其ればかりか
若し自分に何か会った場合は家族に迷惑も掛けそうです。
もう20万の返済をやめて、争いたいですが、体力や気力は
衰えているし、万一競売なれば勲章に傷が付きます。
こんな事を考えて居ると78歳のBはだんだん鬱症状が
現れてきたのです。
70才を過ぎて、思いがけず頂いた本人から見れば最高の勲章、
確かに栄誉でしたが当人が特に過大に受け取ったために、
この代償は非常に大きかったと思います。
倅の社長は親父の様子を見て、自分が知人と相談していろいろな
案を作り自分で銀行と交渉しようと思い立っています。
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