Rが昨夜急死をしたと聞いた特、Dは耳を疑いました。
昨夜Dの自宅で飲んで、自分たちの現状をこぼしあったばかりです。
大して飲みもせずに「今からあの おっかあ のとこに戻らにゃあ」
としぶしぶ立ったRを思い出します。
DもRもこの山あいの木材業者です。
補助金を貰い易くするために、殆どが別に協同組合を作り、理事に
成り合ったり、銀行借入も保証し合って居ます。そんな組合も
殆ど破綻、DとRはそれらの保証債務で追い回されています。
昨夜はそんなことをこぼしあって居たのです。
Rは特に人が良く、保証の塊りみたいな人です。
葬儀が済んで間もなく、DはRの奥さんに、
「不動産は取られるが、相続放棄をして、今後は安楽に暮らす。」
ことを薦めました。
奥さんは毅然として反対したのです。
「息子は主人と一緒にこの仕事一本で今までやってきて居ります。
今更他の仕事も出来ません。それに息子も私も何処にも保証は
して居りませんから、此れを機にむしろ立ち直りを図りたいと
考えて居ります。尚、不動産が担保ですが、幸い保険も少々入り
ますから、今だったら安いと思いますから、買戻しをしたいと
考えて居ります。」
しっかりした返事です。
「そう、保険か。5000万も入りゃ、
あの不動産など全部買い戻せるよ。」
それ以来Rは余分の口出しをしません。
しかし、この時には早くも奥さんと銀行とに間で
保険の取り合いっこが始まっていたのです。
3年くらい前からRは急に何社かの保険に入るようになったのです。
決算書で知った銀行が不審に思い、全てのやりくりをして居る
奥さんを問い詰めたこともありました。銀行としては其の掛金を
返済に回すか、保険を担保に欲しかったのです。奥さんは言葉を
濁らせ、保険の明細も教えません。勿論止めることはしませんでした。
5行か6行に保険料から推すと相当額の保険を掛けています。
「何故?」銀行は何で急に保険を掛け始めたか解かりません。
しかし支店長以下其の保険のことはみんなの頭に
畳みこまれた事は事実です。
Rの保険はこっれだけでは有りませんでした。会社の5億の他、
個人でJAともう一軒、合わせて1億5000、嫁いだ娘が受取人で、
入って居ました。会社の保険は受取人は当然会社です。
しかし取締役会の議事録さえあれば名義変更できます。
半年前に息子に受け取り人が変わっております。
Rが居なくなれば此の会社の再起はおぼつきません。
支店長は保険を弁済に回すように求めましたが奥さんは
承知しません。直ぐに仮差しと思いましたが、約束通り払っている
奥さんに其れも簡単に出来ません。支店長は20日後、手形貸付の
切り替え日です。当然全額決済は出来ないでしょう。
此れに焦点を絞りました。
手形切り替えの日から3日目に、銀行は一斉に保険会社と
銀行を仮差しして居ます。しかし不発と気付いたか、家庭裁判所を
調べて相続放棄が済んで居ないのを確認し、今度は相続者に対して、
それから4日後に仮差の追加です。担保保証金が1億になって
いましたから、銀行としても大勝負だったと思います。
700キロ離れた奥さんの里の銀行まで仮差しがありましたから
その執念が解かります。
しかし奥さんのほうが1枚上手でした。
葬儀の最中から保険会社やJAと交渉してこの時は
殆ど手中に収めて、安全の保管をして居ました。
一つ東京の大手の保険が5000万やられました。
この保険会社だけ、息子の名義にするのを渋っていたのです。
この後、自宅の買戻しもあります。これだけは問題に
しませんでした。それでも個人と会社を合わせて
6億くらい入ったのです。
さあ、其れを掴むと今度は相続放棄をした奥さんは、
債務の支払いを全て拒否です。この頃になると奥さんと
息子には大分保険が入ったらしいと評判になって居ます。
その為に取る方も躍起になって、裁判沙汰になったことも
少なくありません。
不動産は全て買い戻しています。誰にも差押は出来ません。
会社は別会社を作り、前の会社と一寸名前を変えてやって居ます。
旧会社やR名義の資産は全然ありません。奥さんや新会社が
引き継げと云った裁判もありましたが、殆どの訴訟は勝っています。
息子は、新会社を現金仕入れの会社にしました。
この時世です。たちまち売り込む業者も多く、
又安い仕入れを狙って人は集まります。
何処も不景気な木材業界、しかし息子の会社のみ気を吐いています。
「Rの奥さんは主人の保険金のお蔭で立ち直った。」
と業界では評判です。当初1億くらい入ったという額が、
最近では3億くらいは固いとやっかみ半分の噂です。
「Rの死因は脳溢血とかいったな。彼は、大して飲まないのに。」
Dは時々Rを思いがします。
自分は保証債務で未だにいじめられ放しです。
「それにして、もまるで仕組んだように保険が
入ってきたのだな。こんなことも有るんだな。」
噂をする人たちは入っても1億、良くても3億くらいと思っています。
若し本当の額を知れば、ねたみは相当な悪意の噂となるでしょう。
ましてや、川向うに奥さんの縁続きの医者が居て、
死亡診断書はこの医者が書いたと解かれば、其れこそ
騒ぎが起きるかも知れません。
保険金が入ったが為に逆に不幸になる人も少なく有りません。
Rの奥さんはうまく生かせて幸せを掴んだ一人と思います。
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昨夜Dの自宅で飲んで、自分たちの現状をこぼしあったばかりです。
大して飲みもせずに「今からあの おっかあ のとこに戻らにゃあ」
としぶしぶ立ったRを思い出します。
DもRもこの山あいの木材業者です。
補助金を貰い易くするために、殆どが別に協同組合を作り、理事に
成り合ったり、銀行借入も保証し合って居ます。そんな組合も
殆ど破綻、DとRはそれらの保証債務で追い回されています。
昨夜はそんなことをこぼしあって居たのです。
Rは特に人が良く、保証の塊りみたいな人です。
葬儀が済んで間もなく、DはRの奥さんに、
「不動産は取られるが、相続放棄をして、今後は安楽に暮らす。」
ことを薦めました。
奥さんは毅然として反対したのです。
「息子は主人と一緒にこの仕事一本で今までやってきて居ります。
今更他の仕事も出来ません。それに息子も私も何処にも保証は
して居りませんから、此れを機にむしろ立ち直りを図りたいと
考えて居ります。尚、不動産が担保ですが、幸い保険も少々入り
ますから、今だったら安いと思いますから、買戻しをしたいと
考えて居ります。」
しっかりした返事です。
「そう、保険か。5000万も入りゃ、
あの不動産など全部買い戻せるよ。」
それ以来Rは余分の口出しをしません。
しかし、この時には早くも奥さんと銀行とに間で
保険の取り合いっこが始まっていたのです。
3年くらい前からRは急に何社かの保険に入るようになったのです。
決算書で知った銀行が不審に思い、全てのやりくりをして居る
奥さんを問い詰めたこともありました。銀行としては其の掛金を
返済に回すか、保険を担保に欲しかったのです。奥さんは言葉を
濁らせ、保険の明細も教えません。勿論止めることはしませんでした。
5行か6行に保険料から推すと相当額の保険を掛けています。
「何故?」銀行は何で急に保険を掛け始めたか解かりません。
しかし支店長以下其の保険のことはみんなの頭に
畳みこまれた事は事実です。
Rの保険はこっれだけでは有りませんでした。会社の5億の他、
個人でJAともう一軒、合わせて1億5000、嫁いだ娘が受取人で、
入って居ました。会社の保険は受取人は当然会社です。
しかし取締役会の議事録さえあれば名義変更できます。
半年前に息子に受け取り人が変わっております。
Rが居なくなれば此の会社の再起はおぼつきません。
支店長は保険を弁済に回すように求めましたが奥さんは
承知しません。直ぐに仮差しと思いましたが、約束通り払っている
奥さんに其れも簡単に出来ません。支店長は20日後、手形貸付の
切り替え日です。当然全額決済は出来ないでしょう。
此れに焦点を絞りました。
手形切り替えの日から3日目に、銀行は一斉に保険会社と
銀行を仮差しして居ます。しかし不発と気付いたか、家庭裁判所を
調べて相続放棄が済んで居ないのを確認し、今度は相続者に対して、
それから4日後に仮差の追加です。担保保証金が1億になって
いましたから、銀行としても大勝負だったと思います。
700キロ離れた奥さんの里の銀行まで仮差しがありましたから
その執念が解かります。
しかし奥さんのほうが1枚上手でした。
葬儀の最中から保険会社やJAと交渉してこの時は
殆ど手中に収めて、安全の保管をして居ました。
一つ東京の大手の保険が5000万やられました。
この保険会社だけ、息子の名義にするのを渋っていたのです。
この後、自宅の買戻しもあります。これだけは問題に
しませんでした。それでも個人と会社を合わせて
6億くらい入ったのです。
さあ、其れを掴むと今度は相続放棄をした奥さんは、
債務の支払いを全て拒否です。この頃になると奥さんと
息子には大分保険が入ったらしいと評判になって居ます。
その為に取る方も躍起になって、裁判沙汰になったことも
少なくありません。
不動産は全て買い戻しています。誰にも差押は出来ません。
会社は別会社を作り、前の会社と一寸名前を変えてやって居ます。
旧会社やR名義の資産は全然ありません。奥さんや新会社が
引き継げと云った裁判もありましたが、殆どの訴訟は勝っています。
息子は、新会社を現金仕入れの会社にしました。
この時世です。たちまち売り込む業者も多く、
又安い仕入れを狙って人は集まります。
何処も不景気な木材業界、しかし息子の会社のみ気を吐いています。
「Rの奥さんは主人の保険金のお蔭で立ち直った。」
と業界では評判です。当初1億くらい入ったという額が、
最近では3億くらいは固いとやっかみ半分の噂です。
「Rの死因は脳溢血とかいったな。彼は、大して飲まないのに。」
Dは時々Rを思いがします。
自分は保証債務で未だにいじめられ放しです。
「それにして、もまるで仕組んだように保険が
入ってきたのだな。こんなことも有るんだな。」
噂をする人たちは入っても1億、良くても3億くらいと思っています。
若し本当の額を知れば、ねたみは相当な悪意の噂となるでしょう。
ましてや、川向うに奥さんの縁続きの医者が居て、
死亡診断書はこの医者が書いたと解かれば、其れこそ
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