かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

生き伸びる執着心

2008-04-09 | 事例
「どうしても駄目だ。明日は不渡りだ。」
しかしTは不渡りを出しても、操業は続ける予定です。
操業して居る間は倒産ではありません。
Tはどうなっても操業を続け、倒産にはならない決意です。

会社が消えてしまう破産は思うだけでも嫌です。
第一、破産にお金が掛かるなんて不合理です。
其の費用はTの家族が2年間は生活できる額です。
民事再生もお金は懸かりますし、第一弁護士が認可には
ならないだろうと云って居ます。任意整理で今の会社を
整理し第2会社でやっていく方法しかありませんが、
その運転資金に今の会社の売掛金をそのまま使うことは
出来ないと弁護士にも云われました。

そんな事にはお構いなく、Tは会社の操業は続ける予定です。
不渡り後、どうやって続けるかが問題です。

其の明日がやってきました。
前日駄目だと決心したとき、彼は不渡りが出ることを告げ、
其のお詫び、早急に債権者会議を開いてご説明し、今後の
ことを皆様にご商談したい旨を宅配便で仕入先に送っています。
宅配便だと間違いなく明日の午前中には届きます。

其のせいか、意外に騒ぎは起こりませんでした。
こんな山あいの工場のことも相まって、会社に訪問者は
一人も無く、電話すら3-4本有っただけです。
銀行からも預金が不足ですよと云う女の子からの連絡だけ、
仕入れ債権1億、銀行債務6億の会社の不渡りにすれば意外なほど
静かでした。ただ業界紙からは「社長をお願いします。」と、
何回もかかってきて居ります。

此処からTの大活躍が始まったのです。
Tは債権者会議などやるつもりはありません。
そこで売掛金のことなど突かれて債権者に
全額差し出すようになれば、今後が回りません。
Tとすれば、今の債権は棚上げをして貰い、
今後の仕入れは、入れて貰わないと困ります。

Tは続いて、又書類を送りました。
今までの経緯を説明して居ります。
そして現在の試算表をでっち上げ、
「こうなって居ます。配当は幾ら出来、何時お支払いできます。」
と仕入先に送ったのです。其の言葉通り、回収が出来たところで、
債権者に振り込んだのです。口封じです。

勿論債務の10%にも満たない額ですから、
とりあえずTの手元にはある程度のお金が残ったのです。

その一方、仕入先を片端から訪問して居ります。
現状の説明と仕入れの協力をお願いです。
仕入先には何時債権者会議を開き、きちんとけじめを
取るかと詰め寄るところも少なくありません。
「先日をお送りしました資料は正確な数字です。
 今後、債権者に対する応対と、今後の事業の
 方針もあの資料に述べたとおりです。」
と答え、債権者会議の開催については、
はっきりした答えを言いません。

こんな様にしてTはついに債権者会議も開かず、
勝手に債権を棚上げしてしまったのです。納入してくれる
仕入先は、仕入先を回って居るとき話を付けました。
何とか操業は出来ます。

たまに工場まで押しかけて強く言う仕入先もありました。
Tは、こうした人には、逆に強く出ております。
「払いたいが払えません。今の誠意が通じないならば、
 差押でも何でもやってください。」
と開き直りです。
後日、請求の訴状を起す仕入先もありましたが、
結局はTの目論見とおりになったのです。

銀行にも同様でした。
もう金利も止めて居ます。
銀行の出きることは差押だけです。

しかし11軒の地主から土地を借りて建て増しを続けた建物です。
3階建てのところもありますが消防法違反で2階以上は立ち入禁止です。
地代も2ヶ月送れて居ます。

最初5500万の最低価格が次に3000万の競売基準価格になりました。
その次は一気に700万です。それでも入札者は居りません。
こんな建物、借地の上、買っても使い方がありません。
取壊すにも莫大な費用です。

第一、仮に、立ち退きの強制執行になっても、
他には使用出来ない古い大型機械の撤去だけでも、
莫大な費用です。只で有っても買い手は現れないでしょう。

こうして、理屈を超えたTの執念は、倒産を機に、
事実上無借金の経営になったのです。勿論、その後も
トラブルは絶えず発生しては居りますが、手形の不渡りの
時に比べると軽いものです。

しかし、現在Tは窮地に陥っています。
一つは国税です。7000万からの滞納です。
売り先も全部握られています。
今、月に20万づつ払っているから良いようなものの、
此れが出来なくなれば売掛金の差押は目に見えております。

それに保健所が何年ぶりか一斉の検査です。
埃だらけの機械、一旦清掃を命じられると2日くらい工場が
止まってしまいます。大幅に減産となり、其れが資金不足に
連なっています。払わないと前科のある会社です。納品は即座に
ストップでしょう。

此れを乗り切る方法、Tは毎日頭を抱えて居ります。





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