かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

金融庁からのFAX(2)

2008-04-24 | 事例
結局、Rサービサーが云ってきたのは、
「他のサービサーに再譲渡する」と云う事でした。
「他のサービサーならば200万ならば充分に和解します。
 当社は出来ないのです。」と云うのが当初の説明でした。
「幾らだったら出来ますか。」と収支を明らかにして、
 250万ならばOKとの事です。Aは其の額を認めました。
Rサービサーは和解に動くかに見えたのですが、動きません。
再び「他のサービサーに譲渡」の話を持ち出したのです。

Aは怒りました。
「この債権はRサービサーが再譲渡することなく、
 必ずRサービサーで解決します。其の条件で当行は譲渡します。」
銀行の部長の約束です。
「電話を貸してください。」とRサービサーの前で
銀行に電話をしたのです。
いや此れには銀行もRサービサーも驚きました。
しかし、その結果、Aの言葉に嘘は無いと関係者が確認したのです。

Aは、
「Rサービサーが和解が出来ないならば、銀行が嘘を言った
 ことになります。私の債権を銀行に戻してください。」
とサービサーに詰め寄りましたが、此れも結局はバルクセールで
個々の単価がわからず出来ないと言う事でした。

「金融庁にも報告しないとなりません。又、私は選挙区で○○先生とは
 後援会の理事もして居て懇意な立場です。先生にも天下の銀行と
 サービサーが、こんな事でよいか聞いてみます。」
「そんな事を荒立てることは止めましょうや。
 尚、解決が出来なくなりますよ。」
Aは何か和解が出来ない理由が他にありそうだと
感じたのですが、其れがなんだかわかりません。

Aさんの溢す愚痴を聞きながら私はAさんに言いました。
「Aさん。貴方どんな交渉の仕方をして居るの。
 真剣其の物の顔をして、何もかも金融庁に報告すると
 云う態度で交渉して居るいるのでは無いの?」

「其の通り。真面目な顔で笑い顔一つも見せず、懸命ですよ。
 又、此方も勉強している事を解からせる為に、金融庁の
 出している銀行指導の本 等前において話しています。
 そして、金融庁に報告の話だけでなく、○○先生の
 ことも持ち出しています。」

「Aさん。原因はAさんの態度と思うな。
 貴方は今金融庁とか代議士を背景に、相手を威圧しながら
 交渉していると同じ事ではないですか。相手だって、和解を
 しても、其れを金融庁や代議士に変なように報告されると
 非常に迷惑でしょう。だからです。コートを脱がせるために
 争った太陽と北風の話を知っているでしょう。もっと柔らかく、
 相手の心が安心するような持って行き方で無いと、今のままでは、
 貴方が真剣に為ればなるほど、相手は用心しますよ。」

「思い切ってラフの格好で訪問しなさい。」
「持つのはメモ帳だけ。」
「金融庁とか代議士名は絶対に口に出さないように。」
「最後に今までこうした事を金融庁に報告するのが義務と
 考えていましたが、良く考えると、報告される方も面倒でしょう。
 止めることにしました。和解が成立したときは、銀行の差出書の
 原本は勿論お宅にお戻しします。」
その他細かく指示したのです。

2-3日後、「言われた通りに遣ったら、感触が良く、其処まで
言うならばもう一度社内で協議をしますと云う事でした。」と
電話がありました。
「尚、其れでは金融庁や代議士にはどう言うの。と聞かれたから、
 単に御礼の電話を一本入れておきます。と答えておきました。」

日を経ずして和解書が送られてきました。和解額は250万でなく、
当初此方から申し入れて200万になっていました。
 
有利な材料も、最後まで有利に使うのは
実に難しいことを教えてくれた事件でした。





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金融庁からのFAX (1)

2008-04-24 | 事例
小心者のAはD銀行からの融資を断りました。
銀行が、
「マンションを1棟買いなさい。資金は当行が用立てます。」
と云う話です。

断るAに対して、担当者は執拗です。
「万一本件でAが損失を蒙ったときは当行が全部を補填します。」
と云う文章を銀行のレター用紙に手書きして、銀行印こそ
ありませんが自筆捺印をしてAに差し出したのです。
結局Aは其の熱意に負けてマンションを買いました。
何年も以前のことです。

最初は良かったです。しかし直ぐに破局が訪れました。
賃料は下がる一方、しかも空室が多くなりました。
私財まで継ぎ込んだAですが、ついに返済が出来ない日が来ました。

「損失は勿論全部銀行に持って頂ましょう。
 私はこの融資で得た物は全て換金化して銀行にお返しします。
 其れと、当事者の私にも勿論責任はあります。
 其の分として200万を別に追加支払いをします。」
事実Aには理屈をつけなくても200万払うのがやっとです。
200万を除いてAは実行しました。
しかし債務は、借りた半分以上の2億余円が残ったのです。

銀行は遠慮なくAを追い詰めます。
Aの裕福な兄弟が2人近くに住んでいます。
「兄弟にすがれば相当額出る筈だ。」此れが銀行の腹です。
Aの突きつける書付など歯牙にも掛けません。
「銀行の印が無い物は無効ですよ。当行は裁判でも
 何でも応じますよ。第一銀行がそんなことを約束
 できるわけが無いんじゃあありませんか。」
気の弱いAはだんだん追い詰められて行きます。

丁度この頃、私はAと知り合になりました。
「書付は有効で権限はあると思いますよ。貴方の
 言い分の方が正しいでしょう。訴えるのも一つの
 方法でしょうが、いっそのこと、金融庁に相談したら
 どうでしょうか。金融庁に白黒つける権限があるか
 知りませんが、少なくても銀行を司どる大本ですから、
 公正な見方はしてくれると思いますよ。」

3日ほど過ぎてAから連絡がありました。
「金融庁からFAXを貰いました。」
「金融庁が一般人にFAXを呉れることなんて有るのですか。」

金融庁の係官も銀行の担当者がそんな書類を発行したと現物を
見てびっくりしたらしいです。最初は借金で泣いて居る者、
つまりAが、難癖を考えて居るとでも思っていたらしいです。

係官は「本物に間違い無いでしょうが、2-3日時間をください。
必ず此方から返事を差し上げます。」と約束した返事が
このFAXだったのです。用紙の左上の片隅にある小さな印字は
「金融庁」とFAXの発行者をはっきり解かる様にして居ります。

「この書類は本物と認めます。
 此れで貴方の言い分も良くわかりました。
 間違って居りません。金融庁は白黒をつける処では
 ありませんから、今後も見守りますが、銀行と良く
 交渉してください。進行過程や結果を必ず教えてください。」

こんなような趣旨でした。
其れを差し入れ書の余白に書いて送ってくれたのです。
あたかもこの書類を銀行に見せなさいと云わんばかりに。

発信者金融庁の印字の威力は絶対でした。
銀行の態度が180度変わりました。
「Aさん。当行も残債務を負けてやりたいです。
 が、銀行が債権額を負けるということは、許されて居りません。
 しかし、サービサーは幾らでも元金を負けることは出来ます。
 この債権をRサービサーに譲渡させてください。私共の意志を
 はっきり、承認を頂きますから、決して悪い様にはしません。
 それに、Rサービサーから他のサービサーに再譲渡は、
 絶対にありません。」

Aは又も其れを信じて、債権をRサービサーに
譲渡することを承諾しました。

Rサービサーは初回は非常に強気でした。幾ら払えるかと
聞かれたので200万と答えると、単位が違いますというわけです。
Rサービサーが要求する書類を提出する一方、Aは金融庁の
印字のある書付を見せて、今までの経緯を説明しました。

担当者は半信半疑、もう1度御足労をお願いしたいと言うわけで
次回訪問すると今度は担当者・部長の他に弁護士が同席しました。
当初弁護士は非常に強気でしたが、Aの説明を聞くうちに
だんだん声が小さくなったのです。

其の日はそれで別れております。
しかしその後何回もAはRサービサーを訪問して居ります。
一般の例に比べれば少し異常の位、訪問して居ります。

金融庁の印字はここでも大きな威力をだしました。
Rサービサーの態度は明らかに変わりましたが、肝心の
和解は出来ません。何か額の問題でなくて、他のことが
介在していると推測されます。

(長くなりますので、何故Rサービサーが渋ったかと云う理由と
 その後どうしたかと云う経緯を次回に書きます。宜しく願います。)





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