かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

倒産寸前の社名変更

2009-04-06 | 事例
味噌屋が倒産したという噂はたちまち近在の業者にひろまりました。
もう3代は続いている老舗です。
「倒産する前に会社の名前を変えたらしいな。不渡りを出しても
 会社名が違っているから誰も気付かなかったらしいよ。それで
 その時に同時に息子が新会社を作って今までの味噌屋の名前を
 そのままに使って居るのさ。新会社は健全に商売をして居るから
 味噌屋が倒産したなんて、遠いところの人は誰も気付いては居ないよ。」
自社の経営に一寸心当たりのある人はうまい話を聞いたと喜んだものです。

第2会社を作った時に一番の問題は売り先です。
味噌屋の場合、近い得意先は倒産を知っても止む得ませんが、
県外に販売する時は全然違います。
社長が代わったくらいにしか思いません。

「でもな。うまい話には必ず落とし穴があるよ。」
知人が私に話してくれたのは次に紹介するような話です。
 
隣町の、此れも老舗の材木商は特にこの味噌屋の噂を知りたがって
いました。彼も会社の将来は遠くないことを覚悟して居たのです。
「不渡りを出すのは止むを得ないが、社名を変えれば解からないと
 云うならば、どんな事をしてもそうしよう。息子が別会社で名前を
 同じにすれば、少なくとも県外のお客は失わないから再生も容易さ。」

そんな材木屋も、ついに不渡りを免れなくなりました。
材木屋は次のことをやったのです。
倒産の少し前に、息子を社長にした第2会社を作ったのです。
社名は、今の会社の社名をつけました。登記はまだしません。
そして同時に今までの会社の、変更した社名を登記をしたのです。
そして暫く日にちを置いて新会社を同じ社名で登記したのです。
登記が全て完了した頃、手形は不渡りになりました。

絶対にうまく行く筈の計画でした。
ところが此の計画が見事に外れたのです。
「材木屋が不渡りを隠そうとして息子に新会社を作らせたが、
 其れがそっくりばれて、今方々からつつかれて居るよ。
 何もしなかった方が、遥かによかったみたい。」
巷間の噂が五月蝿いです。

「何で味噌屋はうまくいって、材木屋は行かないのか」
知人もこの事件には興味を持っていました。
「司法書士ならばあるいは、知って居るかも知れないな。」
そう思った知人は自分も同じようなことをやりたいが、
支障はないだろうかと聞いたのです。
その司法書士は味噌屋と材木屋のことも知っていました。

「第2会社を登記する司法書士は、前の会社を登記した司法書士と
 違う人ならば、たとえ二つの会社の住所が同じであっても登記は
 出来ます。」
先ずは司法書士の答えです。

「しかし、今お考えのような、不渡りを出しても解からないなんて事は
 出来ませんよ。第一そうだったら世間の人はみんながやって居りますよ。
 第一その手形は、新会社の名前でなく旧会社の振り出しになって
 居るのですよ。」

「それに味噌屋の場合は、一般債務は全て精算されて、銀行債務だけが
 残っていたのです。手形を不渡りにしたが、世間には解からなかった
 なんてデマも酷いですね。」
その銀行債務も息子が担保の買戻しをしましたが、その時に社名等すべて
銀行に了解とってやったのですから何処からも文句は出ようも有りません。

しかし材木屋の場合は、業者にも相当額の債務が有り、銀行とも
揉めていたらしいです。手形の発行者も全部旧会社名で、改名後の
振り出しは有りません。
担保の任売などの銀行の要求は相手にもしませんでした。
税務署まで新会社は旧会社の支払い義務があるではないかと
訪問してくる騒ぎです。

「旧会社から新会社にきちんと営業譲渡をしておけば
 新会社まで巻き込んだ騒ぎにはならなかったでしょう。」
司法書士の遠回しの忠告でした。

溺れる者、どんな藁でも掴みたいです。
そんな時忍び寄るデマ、聞き分け出来る冷静さを失いたく無いものです。





日記@BlogRanking
↑宜しければ、クリックして下さい


↑こちらのランキングもお願いします

 
↑こちらのブログランキングもお願いします

にほんブログ村 経営ブログ コンサルタント・コーチへ
↑こちらのランキングもクリックお願いします