「べったら漬け」
主な伝承地域 都内全域
主な使用食材 大根、米麹、昆布、砂糖、みりん、塩
歴史・由来・関連行事
べったら漬けとは、塩で下漬けした大根を米麹と砂糖で漬けこんだ漬物。
江戸時代のえびす講で売られていた大根の浅漬けがべったら漬けの発祥である。購入した漬物を縄でくくって持ち歩く際、「べったり付くぞ」と女性に向けて若い男性が振り回したのが起源と伝えられる。秋田のいぶりがっこや鹿児島のつぼ漬けなど大根を原料とした漬物は全国各地にあり、その地域の漬物文化が継承されているが、東京で庶民に愛された漬物といえば、「たくあん」と「べったら漬け」だった。特に漬物文化が開花したのは江戸時代と伝えられ、江戸の都市部に住む人々の多くはすでに各家庭では漬物を作っておらず、漬物屋で買い求めるのが日常だった。大所帯や裕福な商人の家では、練馬村の農家と契約を結んで一年分の漬物を仕込んでもらい、必要に応じて必要な量を配達してもらっていたという。東京で大根といえば、練馬大根とその流れを受け継ぐ東光寺大根が有名だが、共に辛みが多く少し苦いことから、たくあん用に干し大根にするか、べったら漬けにするのが主流だった。
麹をふんだんに使用したべったら漬けは上品な甘みで、現在でも人々の食卓には欠かせない漬物といえよう。
食習の機会や時季
大根の収穫と共に仕込むため、江戸時代は主に秋から冬にかけてご飯のお供として日常的に食されていたが、現在は通年食されている。
飲食方法
大根は皮をむいて縦半分にカットし、塩をまぶして漬物容器に入れ、重しをして1日置く。水があがってきたらその都度捨て、大根がやわらかくなったら半日干して水気を切る。漬物容器に、水気を切った大根、米麹、砂糖、みりん、昆布、鷹の爪を入れて1~3日ほどでできあがり。好みの大きさに切って食す。発酵が進むと酸味が強くなってきてしまうので、その後は冷蔵庫で保存する。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
日本橋の宝田恵比寿神社では江戸時代から続く伝統行事「べったら市」が秋の風物詩として毎年開催され、べったら漬けを販売する屋台が20店ほど並んで賑わう。宮内庁御用達で知られる1930年創業「にいたか屋」は昔ながらの製法でべったら漬けを作って販売しており、べったら市はもちろん、日本橋七福神巡り、大江戸まつり、目黒のさんま祭り、浅草の酉の市などでべったら漬けのおいしさを伝えるべく露店を出している。また、現在ではスーパーの漬物コーナーにはさまざまな漬物製造店のべったら漬けが陳列されている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/34_8_tokyo.html より
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