〈リバイバル・アーカイブス〉2023.2.20~3.6
原本:2019年3月16日
2019.3.9.9:16 正一位 五六七(いむな)稲荷大明神 富田林市本町7(旧 大字毛人谷(えびたに) 元町)
3月9日(土)の初午行事が執り行われました。
毎年五六七稲荷では3月の第2土曜日に行われていますが、初午は全国に4万社ある稲荷神社の行事で、地域によって若干行われる日は異なるようです。
旧暦2月の最初の午(うま)の日に行なわれるのが初午ですが、ここでは新暦に置き直して3月に行われています。(お盆と同じ。旧盆7月15日、新盆8月15日。)
祠の外側に雨風除けの覆い屋根があり、二重構造になっています。 正面上部に「白馬」の額が掲げられています。
割りと丁寧な作りの祠
小さいながら彫物や彩色もしてあります。3つの大きさが違う鳥居。
行事の前に掃除を兼ねて、祠の中を見せていただきました。観音開きの扉が3つありました。
神号は『福貴 正一位稲荷大明神』とあります。
もうひとつ、『愛宕大神守護之所』の札もありました。
稲荷社の入口に天保十四年(1843)の「愛宕山夜燈」の灯籠。
このお札と関係していると思われます。愛宕山(愛宕神社)は火伏の神様で、江戸中期に起こった大火以降、その教訓を生かして町をあげて「火の用心」に気を付けてまいりました。昭和30年ごろまであった「愛宕講」もそのことが由来しているかと思われます。
また私の子供の頃(50年余り前)は愛宕神社の火伏札「火迺要慎(ひのようじん)」をへっついさんの柱に貼りつけてありました。とういうのも私の家は当時わら葺で、昭和30年代には稲荷さんの通りにはわら葺屋根(大和棟を1軒含む)が4軒もありました。
これは旧富田林村と毛人谷村の旧市街は、石川中位河岸段丘東端に位置する村々の中でも、周りより標高が高く、川や溜池、井路の水が利用できない場所にあります。密集した民家が河岸段丘崖を駆け上がる冬の季節風にあおられるとあっという間に燃え広がってしまいます。
建て直した2階の西向きの私の子供部屋からは冬の西風がきつい時に窓を三方開け放して、屋内で凧が飛ばせたくらいです。
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祠の中にあった木札2枚
〈右表〉明治28年(1895)4月の木札で「御祭神、正遷宮 」とあります。
「御祭神 五柱」が書かれています。
〈左表〉大正12年(1923)3月の木札で、これも「正遷宮 御祭神 五柱 」とあります。「修理係」が書かれています。
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〈右裏〉「正遷宮 正一位稲荷大明神 末社五六七大明神鎮座式 係員記票」とあります。
明治22年(1889)4月1日に町村制施行により、富田林村と毛人谷村が合併しました。
木札は明治28年(1895)4月のものですから、富田林村(明治29年8月に富田林町)の仲村一郎村長を始め、助役 田守政太郎氏、書記 用木 虎太郎氏、区長 田中忠次郎氏らの名前が出ています。
〈左裏〉「御棟札」と記日が書かれていますが、内容がよくわかりません。
大正15年(1926)の南河内郡東部教育会の「郷土史の研究」では『三十八社 大字毛人谷西方寺境内にあり。三十八神を祀る。元毛人谷村の氏神たりしが、明治六年廃社となり、その後信仰者によりて保存せらる。』とあります。この三十八社が遷宮されたのでしょうか?
また毛人谷の氏神は、かねてより富田林、新堂、中野、喜志と同じく美具久留御魂神社のはずですが、こちらとの関係はどうなのでしょうか?
稲荷社前に仮屋をつくります。
ほぞを入れるだけの簡単な構造ですが、結構しっかりしています。「ことしは速いのぅ...」の声。でも檜材なので重い。部材の上下を間違うと組み立てられません。屋根は置いているだけ。
飾り付けが一応完了。お供えもあちこちからいただきました。提灯のひっかけがなくなったり、布がヨレヨレになっていたり...まあいいか...
稲荷祠脇にある 役の行者様
旧毛人谷村の大峯講の「毛栄組(けいえいくみ)」の大峯詣の記念碑です。
昭和九年に造られたこの碑の基礎部分に「毛栄組」とあります。毛人谷の大峯講は現在は続いていないようです。
毛栄組の創立百年記念碑
昔は何人も「大峯山三十三度参拝者を出すくらい盛んであったようです。今はこれを語る方もいなくなりました。
愛宕山夜燈についてはこちらをご覧ください。
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愛宕山(愛宕神社)についてはこちらをご覧ください。
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毛人谷と富田林の火の用心についてはこちらをご覧ください。
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関連記事:初午行事 五六七稲荷 毛人谷村方 2017.3.14.
石造の役(えん)の行者さま 2015.3.18.
木造の役(えん)の行者さま 2015.3.11.
2019年3月14日(HN:アブラコウモリH )
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