富田林百景+ 「とんだばやし」とその周辺の魅力を発信!「ええとこ富田林」

大阪の東南部に位置する人口10万ちょっとのごく普通の町、富田林。その魅力を、市民の手で発見していきます。

興正寺別院のクラウドファンディングを今一度よろしくお願い致します。

2025年01月20日 | 文化財

この記事は「興正寺別院のクラウドファンディング」が終了する2月17日まで〈最新記事〉のトップに掲載させていただきます。

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国重要文化財の富田林興正寺別院は大修復工事が計画されております。

経年のいたみがひどい本堂・対面所をはじめほぼ全面的に文化財保護のための大修復となります。

 

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興正寺別院では令和6年12月20日(金)〜令和7年2月17日(月)まで、調査工事にかかる費用を募るクラウドファンディングを募集しています。

〈クラウドファンディング〉

富田林興正寺別院|460年の想いを次の世代へつなぎたい【第一弾】(富田林興正寺別院 2024/12/20 公開) - クラウドファンディング READYFOR


早春の城之門通り。富田林御坊前。

 

江戸城松の廊下の襖絵を描いた御用絵師 狩野寿石敦信の「松図」

江戸の下る前には京都にいて、わざわざ富田林に出向いてこの襖絵を描いたと云われています。

 

富田林興正寺別院本堂正面

国の重要文化財、寺内町から460有余年、本堂再建から387年、歴史の重みを感じます。

富田林興正寺別院公式WEBサイトより

 

富田林興正寺別院本尊阿弥陀如来

本尊「阿弥陀如来立像」 富田林興正寺別院公式WEBサイトより

 


〈現状〉

興正寺別院本堂は真宗寺院では大阪府最古の重要な本堂です。現在の本堂は寛永15年(1638) に新堂大工により再建されたものです。

現在屋根がブルーシートで被われ痛々しい姿が見てとれます。

1月20日現在

目標額400万円に対し、244万円のご寄付が集まっております。(達成率:61%)

残り28日ですので、目標の達成は微妙なところであると思います。

 

しかし現在、建造物の老朽化が進んでいます。特に築380年あまりの本堂は雨漏りがひどく、瓦のずれや崩壊の危険性もあります。材木の腐りなども見られます。

クラウドファンティングは目標額が達成されないと、寄付された方に返還しなければならず、寄付された方のご意思が報われない結果になります。(寺院の場合、All-or-Nothing方式

 

鬼瓦が落下したのかなくなったための応急措置。菊の御紋が悲しい。

つまり、「目標金額を達成した場合のみ、実行者は集まった支援金を受け取ることができます(All-or-Nothing方式)。支援募集は2月17日(月)午後11:00までです。」

 

387年風雨と紫外線に痛めつけられた部材。

今回の再見積もりの費用1000万の一部、ぜひ目標の400万円を達成できるよう、国の宝、地域の宝、富田林の心の支えが末永く後世に受け継がれますよう、応援の程よろしくお願い致します。

 

いびつな並びになった隅瓦。

〈富田林興正寺別院HP〉

富田林興正寺別院の歴史 » 富田林興正寺別院公式WEBサイト (t-koshoji.or.jp)

 

こんな痛んだお寺は見たことがないほど痛々しい姿。これで平成24年(2014)に国の重要文化財に指定されています。

当初の計画では本堂だけでなく対面所、鐘楼、鼓楼、山門と築地塀を含め大がかりな修理をする予定でした。その費用が23億円。15年にも及ぶ大工事です。

23億円の内、国が85%の約20億円、残りの半分 3.45億円を市と興正寺別院が折半します。(1.725億円)

*大阪府は1円も出しません。都道府県で文化財修理にお金を出さないのは大阪府と北海道だけです。

*本山からの修理費の援助はありません。

 

屋根のブルーシートが痛々しい本堂。

ところが近年の人件費の値上げと資材の高騰のあおりを受けてそれが概算40億近くに大修理の費用が跳ね上がりました。

ということは興正寺別院の負担は3億円。別院という格の高さで、江戸時代に檀家を基本持たない立場であったため、現在も檀家の少ない寺院として3億円の捻出は大変なことになりました。

〈クラウドファンディング〉

富田林興正寺別院|460年の想いを次の世代へつなぎたい【第一弾】(富田林興正寺別院 2024/12/20 公開) - クラウドファンディング READYFOR


はれの日の「御坊さん」、興正寺別院

「後の雛まつり」 秋、重陽の節句(旧暦)の頃に、長寿の願いと虫干しを兼ねて菊花といっしょに飾る江戸時代からの風習だそうです。

 

本堂内の「二十四孝 孟宗」の蟇股。


城之門筋の名前の由来になった城之門。伏見城の城門という伝承が伝わります。

このため、3億円の修理費用は寄付を入れても捻出できないため、当初の大がかりな修理計画を縮小し当初費用でできる範囲の修理にすることに変更されたそうです。

 

傷みが激しく大がかりな修理が必要かと思われます。

その見直しのための再見積もりの費用(調査と保存修理計画の策定のための費用)だけで1000万円だそうです。これも国と市からの補助がありますが、お寺の負担も大きなものがあります。

 

別院としての名前のとおり、真宗横筋四筋の格の高さを誇りますが、壁は落書きや剥がれが目立ちます。壁には亀裂も。

この景観がもしなくなってしまった時のことを考えると、興正寺別院の景観がこの町にとってなくてはならないものであることが理解できます。

 

剥がれた土壁と朽ちた木材。

 

築地塀のあちこちがこの状態です。

 

雨水が滞るのか、黒カビが目立ちます。

 

こちらも黒カビ。近年に落ちた御成門(国重要文化財)の割れた瓦が痛々しい。

 

いつ倒れてきてもおかしくない状態です。

 

この前の強風で瓦が何枚も落ちました。

 

今度台風が来たらと、ゾッとします。国重要文化財。


外見は美しい姿を見せる太鼓楼も傷みが激しいそうです。

 

この美しい姿を富田林市のシンボルの一つとして、後の世代に引きつぐことのできるのは、そう、私たちしかありません。

関連記事:興正寺別院のクラウドファンディングが始まりました。 2024.12.25

写真撮影:2025年1月20日

2025年1月20日 林 保夫(富田林の一市民)

大阪府文化財愛護推進委員、富田林市文化財保護審議会委員、学芸員。

 

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