アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

お母さんに会いたい…

2011年04月25日 | Weblog
 小学校1年生の教室。「先生!」と、手を挙げた子がいた。その場になんと私がいた!(私は、小学校の先生ではありません。念のため)
 担任の先生は、「腹減った!」と主張する餓鬼…じゃなくて児童の指導をしていたので、手を挙げた子のところへは、私がしゃしゃり出た。他にも参観者がいたが、皆さんお客さんを決め込んでいた。
 手を挙げた子は、「このオジサン誰?」と、一瞬たじろいだが…
 「お母さんに会いたい」と、かぼそい声で言った。
 しゃしゃり出たからには、「完結」させてあげなければならない。担任は、まだ「腹減った」の児童と話している…というか、口論になっていた。餓鬼の児童は口が達者。ベテランと思われるメタボの担任が、「イラッ」と、なっていた。

 さて、私は、とっさに考えた…
 考えたこと1 保育園を卒園してまだ3週間。小学校へ入学して、心細くなり悲しくなった。よって、家で待っているお母さんに会いたいと…。
 考えたこと2 母親は、その子を置いて家を出た。その子には母親が家を出た理由など知るべくもなかった。母の面影が脳裏から消えることはない…。
 考えたこと3 口から出任せで言った。

 それで私が、その子にどう言ったかですが…
 「今日は、あと給食を食べて帰るだけでしょう?だから、もう少しの我慢ですよ。我慢できるよね?!」
 子どもは、「うん」と、頷いた。ちょっと泣きべそっぽかったけど。

 家で待っているお母さんに早く会いたかった…。
 母と5~6歳ぐらいまでの子って、そんな感じだったことを思い出しました。懐かしく、うれしかったです。

 保育園の降園時間帯に、隠れて様子を観察することがあります。(怪しすぎるって?)親子の絆を観る絶好の機会ですから…誘拐するわけでもないし。
 親と再会し、手を引かれて園から出てくる園児たちは、鬼の首を獲ったようにはしゃぎ、生き生きとしています。全員「ドヤ顔」です。親が迎えに来る!子供にとってこれほど嬉しいことはないのです。

 実の子を虐待する…絆も愛もヘチマも…ない!そういう親がクローズアップされますが、殆どの親子は固い絆で結ばれている。保育園に張り込んで確認したので間違いないです。

 別の女の子が、しくしく泣いていた。担任は、「かかり活動の説明」を始めていた。「腹減った」の子とは和解したらしい。出しゃばりついでに、女の子に声をかけた。
 「どこか痛いの?」
 女の子はかぶりを振った。そして、言った。
 「朝、学校へ来るとき、知らないオジサンに名前を聞かれた…」
 「そ、そう…。知らないオジサンに名前を教えない方がいいかもね」
 「でも、優しそうだったよ」
 「(勝手にしろ!)・・・・」

 女の子は、小学校の校区外の保育園出身で、1年生になって同じクラスに知っている子が皆無だった。そんなわけで、急に寂しくなって泣き出した。これ、間違いなし。泣いていたのは、知らないオヤジに名前を聞かれたこととは関係なかった。なお、この女の子の出身保育園は、私が降園時間帯に張り込んで様子を見た保育園でした。怪しいかなあ?

 担任が私をにらんだ…ちょっと、出しゃばりすぎたかなあ…。