もう、2年以上も旅行に行ってません。コロナが明けて旅行できる日が来るのが先か、寝たきりになるのが先か…。
ヨハネスブルグのように、「間違いなく殺されます」という都市に比べると、北京は、かなり安全な都市でした。それでも「深夜出歩くな」と、何度か注意されました。しかしこれは北京に限ったことではなく、どこの都市でも深夜は危険です。「深夜は、タクシーに乗るな」とも言われました。深夜にタクシーに乗って殺害された人は、年間約300人だそうです。うーん!説得力あるなあ。10日間に、8人が殺されているってことですね。
タイでは、タクシン派は赤、反タクシンは黄、軍隊は緑、警察は青というように服装が色分けされておりました。よって、旅行者は、赤・黄・緑・青の洋服を避けなければならなかったですねぇ。タイへ行くときの服の色は、「黒か白」が無難ということ。
中国では、黒が嫌われます。かといって、白のスーツとかは、持っていない(普通の人は、白いスーツなど持たないと思うのですが…)。上から下まで黒っぽい服装で北京へ行ってきましたが、石を投げられることもありませんでした。
北京に、「物乞い」がおりました。私が見たのは、ただ手を出して、「金をくれ」という、元手のかからない正当な物乞い。
北京に物乞いがいる。「財産の共有」が方針のはずの党が支配する国ですよね。その首都に、「物乞い」がいるわけで…。
「財産の共有」の国の所得格差が凄いことになっているのです。「巨大格差」という表現もあります。
中国都市部における一人当たり年間所得は、約22万3千円。農村部では約6万7千円。都市部と農村部での収入格差は年間約15万6千円と約3.3倍にまで拡大しています。この格差、15年以上も変わっていないってんだら…。
2DKのマンションは、1,000万~3,000万円。このようなマンションを買うことが出来る階層もいる…。サラリーマンがマンションを買うのは至難の業。
「フートンの状況」やら「中国農村部」と、「1,000万~3,000万円のマンション」・・・巨大格差です!
都市整備や再開発で、フートン(胡同)が取り壊されていると聞いていました。「フートンを見ることは出来ないだろう」と、思っていました。ところが、なんとなんと、北京一の繁華街「王府井」でも、一本裏通りへ入ると、「フートン」がありました。
フートンは、古くからの北京の街並みを留めているので、観光スポットとして海外からの観光客の人気が高いのだそうで…。私も、大変興味がありました。入ってみたのですが、「なに見てるんだ!コラ!」と、叱られそうで…少し入っただけで退散しました。フートン地区は、今も、「共同トイレ」「台所なし」でしょう。共同トイレは、壁なしトイレが普通。
フートンに住んでいる人たちにとって、1,000万円のマンション…。想像すらできないんじゃないでしょうか。
支援を要する貧困層は1億人。このうち、約2,200万人は、年収が1万円に満たない。年収ですよ!月収じゃないんです。
少し前ですが、NHKスペシャルで、上海から列車で1泊2日内陸へ入った、「中国最貧の村」を取材した番組がありました。驚くべき事実の連続…この村は、ほとんどの家庭が年収1万円に満たない状況。子供達は、「勉強に次ぐ勉強!」中・高生の寄宿舎では、午前4時30分から、夜の12時まで、「勉強、勉強」。極貧から抜け出すのには、勉強するしかない。日本の子供達がこれだけ勉強したら…するわけないですね。
寄宿舎に入っている子供達の食事は、「モーモー」。牛肉かって?そんなはずないでしょう。粉を練って焼いたと思われる、固いパンのようなものが、モーモー。1週間分のモーモーが支給され、それだけを食べる。ミルク?おかず?あるわけない。モーモーだけが食べ物。自分への割り当てを食べ尽くしたら、その週は、食事なしなので、計画的に食べなければならない。
どうして巨大格差が出来たか?説明するには、毛沢東までさかのぼらなければなりません。現在も、都市部と農村部では、「戸籍が違う」。なぜ?その弊害は?…数十ページが必要ですので割愛。
最貧の村に肥満の子は、いるのか?肥満になりようがないです!モーモー箱に入っているモーモーだけですから。
北京動物園に遠足に来ていた小学生…肥満が目立ちました。一人っ子政策のため、親たちは、蝶よ花よと、ワガママ放題に育てる。そのように育てられている男の子は、「小皇帝」と呼ばれ、女の子は、「小公主」と呼ばれている。
小皇帝と、小公主は、「月光族」になる。月光仮面なら、「どこの誰かは知らないけれど、誰もがみんな知っている、正義の味方でいい人」。
月光族は、月光仮面と何ら関係ない。「いつまでも親のスネをカジったり、親と同居し、自分の収入は自分で全て使う」そういう若者たちのこと。
最貧の村から抜け出せない若者達(農村の戸籍)と月光族(都市部の戸籍)、この巨大格差…。現状のままでは、ますます拡大します。縮まることはありません。