現役最終便となった寝台特急 「 富士 」
何年か前に 「 今日が富士の最後の日 」 と聞いて写真を撮りに行ったことがある。
これが寝台特急としての役割を終える最後の仕事となった 「 富士 」 の写真である。
今まで寝台特急には数え切れないくらい乗ってきたが、
新幹線 「 のぞみ 」 が出来てからほとんど利用しなくなったし、
それに時間的に速く目的地に行ける飛行機がその役割を果たしていた。
いわゆる ” お金で時間を買う ” 感覚である。
競輪選手としてデビューしたての頃は、
前検の締め切り時間が午前11時だったこともあって、
岡山県の玉野競輪場に行くときは決まって寝台特急の 「 みずほ 」 に乗っていた。
熊本を夕方に乗って、岡山に早朝についてそれから宇野線で宇野まで出ていた。
熊本から乗車する時は手づくり弁当はもちろん、ビールやツマミをたくさん買い込んで、
仲間とワイワイやって飲んでいた。
博多に着く頃は酔いも回って、みんないい気分になっていた。
当時は三段ベットで新人が上段で、中堅が中段で、
年輩の人が下段に寝ていた。
通路は狭く、列車が発車する度にガタン!と大きくガブッて、
その度に目が覚めた記憶がある。
そんな寝台特急も前検時間が午後1時に改正されてから、
新幹線で間に合うようになり、
静岡を除いて、それ以外利用することもなくなった。
寝台特急を利用しなくなってからも駅のホームでその姿を見ることはあったが、
今ではそれも見ることがなくなってしまった。
時代の流れとは言え、寂しいものである。