わが街の商店街をのれんで飾る道のギャラリー “染の小道” が今年も開催された。
新宿区の落合・中井界隈では、江戸が育てた手描き友禅や小紋など伝統を受け継いだ技術や文化が今でも息づいている と紹介されている。
今では見られなくなったが、私が新潟から上京し一年後にこの地区に居を構えた昭和三十年中期ごろ、西武新宿線中井駅南側を流れる妙正寺川で、染めあがった反物を川で水洗いしている光景を目にしました。大学に向かう朝、駅そばで立ち止まって川を覗き込んだのをよく覚えています。それから六十年弱の現在でも近所には小紋を描いている個人経営の方もおりますし、小規模の会社もあります。十数年前 “染めの街 落合・中井を盛り上げよう” と地域内外の人々を中心にした商店、染色業、学校、区施設の連携で「染の小道実行委員会」が発足 しました。愚息も発足当時から--実行委員会の一員として参加、合間を作っては半纏と腕章を巻いて諸作業に駆けつけています。
今年のパンフレット表紙。
店先に染の小道ののれんを掛けているのは、計96店舗とのこと。それぞれに作品名と作成者名が紹介されている。
染の小道ののぼり。
弊店舗の作品と作成者。
参加費だけの場合は、作品にお店の名前等は入れられない。また、作者の指名もできない。
但し、他の店舗に飾られている作品で気に入った作品は、買うことができる。弊社では3年ほど前、林芙美子記念館に飾られていた作品を買った。染め上げられた生地に放浪記の初文 「花の命は短くて・・・」が筆で書かれた横1.16m、縦1.51m四方(訂正)のものです。社に行くといつも眺めています。
弊社事務室に飾っているもの。
社員が染の小道の半纏を着ていたので、後姿を撮らせてもらった。愚息はとても楽しそうだ。
落合・中井の商店等に飾られているのれんを観て廻ったので、ご紹介します。
まず近くの店舗に飾られているのれんを。
この作品は、参加費とは別に特別注文したもののようだ。自分の飼っている子犬も描かれている。
林芙美子記念館。5~60m四方ほどのお屋敷です。林芙美子は、若い時は、放浪記に記しているように九州他いろんな場所を放浪していたようだが、書き物が売れ出してからは、生活も安定し、亡くなるまでここ中井で過ごしたようです。今回は庭に入らなかったが平屋建てで書斎もあるこじんまりした家です。
坂を20mほど上がると正面玄関。そこにのれんが飾られている。
記念館の後、妙正寺川方面に足を運んだ。
下落合駅近くの神田川で合流する妙正寺川に飾られている反物。上部に見える緑の橋は、左手の西武新宿線中井駅の上部を通る山手通り。
ここには近くの小学校生や幼稚園児たちが作った作品のようだ。
中井駅から東側の川下には、職人たちが作成した反物が吊るされている。
西武新宿線中井駅前には、染めの小道の案内場があった。
駅から南の商店街に向かう。
着物姿の女性もちらほら見かけた。
今回は、中井駅から南側の商店街に飾られている作品にきれいなものが多く見られた。気持ちのせいでしょうか。
従来は、小学校2校の体育館や教室を利用して染め物教室や女性着物の実物を展示していたが、今回はコロナのせいでしょうかそれらがなかった。
全作品96点全部を紹介したいが、書面も限られているのでここらへんで紹介は終了します。
もし、ご興味があったら来年現地にいらしてください。最終日の今日、天候に恵まれたくさんの人出だったとのことです。
<追記> (2月27日正午現在)
庭の梅が満開となりました。