デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 





ヤン・マセイス「バテシバの水浴」(1562)。横は2m近くあります。

ルネサンスは15世紀のイタリアで花開いたが、ネーデルラントといわれた今のベルギーやオランダにあたる地方で15世紀に興った新しい芸術運動は北方ルネサンスと呼ばれる。そこからいろんな都市で芸術作品が誕生したが、その中に16世紀のアントワープで活躍したヤン・マセイスという画家がいる。上の絵は以前から知っていたのに、マセイスのことは帰国してからアントワープで活躍した画家だったんだ、と知った。
さて、上の絵のバテシバというのは旧約聖書に登場する女性である。ペリシテ人のゴリアテを倒したダヴィデが王様になったあとの話で、ダヴィデはある日、人妻であるバテシバの水浴姿を見てしまい、熱を上げて自分の妻にしたいと思った。ところが相手は人妻、なんとか彼女を娶りたいと思ったダヴィデは、部下である彼女の夫ウリアを戦場に行けと命じて死なせてしまい、念願の彼女を妻にするのだが、ダヴィデと彼女の子供には不幸ばかりが…という有名なエピソードのヒロインがバテシバである。
絵の場面では左上のバルコニーから王様ダヴィデが彼女の姿を見てるのがわかる。画像ではボヤけて表情まで写ってないが、ここに描かれたダヴィデははっきりいって思わず覗いてしまったというより、覗きが好きな単なる助兵衛みたいなのだ(笑)。
左に描かれている「王はあなたを招待しました」と言いに来た使者の反対側の女性二人が面白くて、一人はバテシバを見上げてまるで「奥様、チャンスです。やりましたね(もしくは、王様もお好きだねぇ)」といわんばかりの微笑をしているし、もう一人の女性はまるで見ているこちら側にバツの悪い思いをさせるかのように正面を見据えている。中心のバテシバはこの瞬間に「微妙に」ほほえんでいる。
そして、二頭の犬。私はこの犬らがダヴィデと、バテシバの夫ウリアの力関係を表していると思うのだ。左の大きい犬(ダヴィデ)はいくら子犬(夫ウリア)が吠えても、いつでも凄まじいダメージを与える一撃を繰り出せる構えをとっている。要するに運命は権力で決せられることを表現しているのかもしれないと思ったのだ。(あと背景の町はどこかとか、シルエットになっている木は何の木かなど興味は尽きない)
一枚の絵の中に、いろんな要素を盛り込んで描く画家ってすごいなぁと思った。

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