古代ギリシャ墓地に処刑とみられる人骨80体、反乱未遂か(ロイター)
柳瀬尚紀さん死去=英文学者、ジョイスなど翻訳(時事通信)
台湾総統、先住民族に謝罪=過去400年の差別行為(時事通信)
触れたい話題が一気に三つも報じられた日だ。
一番注目したのはなんだかんだで台湾からのニュースであった。ここ最近、なんどか台湾に関する本について書いているし、また白先勇の作品を読み始めたこともあって、どうしてもこのニュースに目が行く。
過去400年の差別行為はオランダ、清朝、日本、内省人、外省人、いろいろな国と人々の行為が複雑に絡み合っている。
日本統治時代とこのニュース関連でいえば、私は最近その時代に台湾を舞台に書かれた文学作品がいくつかあることを知った。特に佐藤春夫と台湾について知っているという人は少なくないだろうし、佐藤春夫作品を読むことで差別行為についてより詳しく知れるという意見もあるだろう。
それにしても、私が目を見張るのは、過去400年の差別行為を台湾政府が謝罪するまでの早さである。こんな言い方は無粋で不遜に映るかもしれないが、戒厳令が解除されて30年も経っていないのに、この台湾政府のメッセージが流れることに私は驚くのである。台湾がどの国にも例を見ないかたちで発展を遂げてきただけでなく、戒厳令解除後のある種の成熟のスピードが速いのも他に例を見ないように思う。
もちろん、政治的な謝罪と社会の現実における差別意識・情感および格差の撤廃の実現性とは異なる。しかし世界には第二次大戦後でさえも独裁体制の国家でないにもかかわらず、先住民への政治的な謝罪さえ二の足を踏み、あげく先住民に対する迫害の歴史を無かったことにしようとする国があったし、また現実にあるのである。それを思うと今回の台湾総統の謝罪は成熟という概念について考えさせられるきっかけになるように思う。