ぱたぱた仙鳩ブログ

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石井町 童学寺

2014年05月17日 | インポート

Dogakuji15月17日(土)、午前中に石井町の童学寺に拓本採取に行きました。

この山門は、人間の顔を思わせるユニークな建物です。

弘法大師空海が、7~15歳までここで仏教や書道を学んでいたという伝承があって、童学寺という名前がついています。いろは歌もここで考えられたといいますが、その証拠はなく、あくまでも伝承です。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%A5%E5%AD%A6%E5%AF%BA

日本各地に残る弘法伝説は、必ずしも平安初期の空海自身のものとは限らず、その弟子や、後世の真言僧の中で、有力な方が「弘法大師の生まれ変わり」と言われた事例がよくあり、そのような方の伝承がDogakuji4空海のものと混ざっていることが多いのです。これもそのような伝承の一つだと思いますが、ここに素晴らしい石碑があります。

この場所の水の不便なことを悲しんだ幼少期の空海が、岩の割れ目に筆を差し込むと、そこから泉が湧き出したというものです。現在はそれが美しい池になり、大きな鯉が泳いでいて、庭も整備されています。

Dogakuji2_2 その岩からは今も美しい水が湧き出ていて、その脇に石碑が建てられています。お水を飲んでみましたが、ほのかに甘みのある美味しい水でした。お寺では、小さなお茶用パックに入れておいてあり、100円でお土産用に求めることができます。珈琲にして飲んでも美味しそうですし、硯でこの水を墨を磨って作品を書いたら、書もうまくなるでしょう。

この碑は幕末の安政5年(1858)に建てられ、昌平黌の先生だった安積艮斎が撰文し、越後出身の書家、中澤雪城が題額と本文の両方を書いています。

実は、来週25日(日)の書道文化学会で発表する三木家の11世、三木順治の書道の師匠が中澤雪城なのです。その際に紹介する資料としてこの碑の拓本が必要になったのです。若住職、塩田龍澄さんも、親切に対応して下さいました。この碑は砂岩でできていて、下の方の文字は少し崩れてきています。石碑も150年を過ぎると、石質によっては傷んできます。文字の見えているうちに拓本に採っておくことが大切です。かろうじてすべての文字が残っていて、なんとか判読できました。

Dogakuji3 なお、このお寺の小さな御堂には、貫名菘翁書の扁額も懸けられています。高級な木材を使った木目の美しい板に、上品な楷書で書かれた名品だと思いますので、紹介しておきます。

ここは「四国別格二十霊場」の一つでもある名刹で、参拝者もひっきりなしに訪れていて、お遍路の方がこの泉の前で真言を唱えていました。このお水を飲むだけでもご利益があると思います。ぜひご参拝ください。