ぱたぱた仙鳩ブログ

徳島から書道文化を発信します。

川尾朋子先生のZoom講演会

2020年12月10日 | 日記
昨日の1時限目、1年生の「キャリア形成入門」の授業時間に、特認教授である川尾朋子先生が京都の自宅からZoomによって遠隔の講演会をしてくださいました。会場には書道文化学科主任の辻尚子先生も受講、Zoomには松重和美学長先生も参加されました。授業の最初にご挨拶をしていただきました。



川尾先生です。


現在、書道文化館1Fギャラリーで展示中の書道写真作品の制作過程を説明されました。実際には黒いカーテンの前で黒い服を来て、筆の軸にはLEDの明かりを付け、照明を消して真っ暗な中で大字を書いたことがわかりました。

その後、先生の様々な書家としての活動を紹介されました。日本各地に、様々な作品が飾られたり、書道パフォーマンスや、小児病棟での書道ワークショップなどは従来も行われてきましたが、特に現在力を入れて進めているのが「HITOMOJI PROJECT」と称する企画だそうです。川尾先生は以前から、文字の中にご自分の姿を入れて撮影する独自の方式で有名でしたが、今度は、世界各地の女性をその中に入れて、作品として表現しようとするたいへん興味深いものでした。タイトルの「I」の文字には、川尾先生自身の姿を入れています。


先生の今後の講演会や展覧会のこともあり、たくさん紹介すると支障がありますので、1枚だけ紹介させていただきます。これはオランダの15歳の少女と一緒に制作した「改」です。作品を書く前に対象者にインタビューして、1日の生活の様子や、目標としていること、悩んでいることなどを聞いて、それを表現する漢字1文字を決め、そこに対象者をはめ込んで他の点画を先生が書く方式で制作されました。


講演終了後に、会場から質問を受けました。学生からは「マイナスと考えられるような内容も作品として扱うのか?」という質問があり、先生は「プラスの内容よりも、世界で問題となっているマイナスなことに対して改善を主張する方が、作品としての意味がある」と答えられました。書道が「芸術」として人類にどのような影響を与えられるかを常に考えておられる、スケールの大きさに、圧倒されました。

今後の文化は多くの分野で「グローバル化」が重要な視点となりますが、書道もそれに関しては考えていかねばなりませんし、「お稽古事」から「芸術」に脱皮するためには「哲学」で武装しなくてはなりません。川尾先生の生き方は、そのモデルの一つになりえるでしょう。今後もご活躍が期待されます。