3月10日(日)、香川県さぬき市昭和1050にある「から風呂」に行ってきました。
これは、今、調査している「水主石風呂記」の解釈のための取材です。
江戸時代には、日本全国に和式サウナともいえる「石風呂」や「から風呂」と言われる形式のものがたくさん存在しましたが、現在残っているのはわずかです。
香川県東かがわ市水主にはかつて石風呂があって、江戸末期にここに後藤芝山が逗留し、病気を直したのです。残念ながら水主石風呂は現在はなくなっていますが、さぬき市の方は、地元の保存会が頑張って復活させています。下記の2つのサイトをご覧ください。
http://www.47news.jp/CN/200808/CN2008082301000146.html
http://ameblo.jp/suirin-r/entry-11234022241.html
ここに来るときはスウェットスーツの上下とタオルを持参するのですが、この日は初体験だったので、貸していただきました。また、防空頭巾や毛布もお借りして肌を隠して入ります。
料金は500円で、営業時間中は何時間でもいられます。写真のように古墳のようなドームに熱い風呂とぬるい風呂の2種類がありました。
この中で一度薪で火を焚き、ドーム全体を温め、火が消えたら灰を全部掻き出し、そこに炭を敷きつめ、その上にワラを敷き、さらにコモを敷いて上から海水をかけて蒸発させてサウナ状態にします。しばらくして温度が落ち着いたら入ります。
海水のミネラルが空中に漂い、コモの上に座布団を敷いて座ったり寝たりしてしばらく過ごすと、体がポカポカしてきます。遠赤外線の効果です。
数分して熱さに耐えられなくなったら出て、水を飲みながら休みます。体がさめたらまた入ります。これを4~5回続けるのが普通です。
1時間ほどの間に4回入りました。ぬるい方に2回、熱い方に2回です。この日はお客さんが10名ほどいて、風呂には一度に1~3名ほどずつ交代で入ります。服を着ているのでもちろん男女一緒に入り、知らない人ともいろいろな話をしながら、とても楽しい時間を過ごしました。蒸気はほとんどなくなっていて乾燥していて、入っているときは汗はあまりかきません。外から照らしているライトがガラス窓から入るので、ぬるい風呂の方はその光で中で本を読んでいる人もいました。
地元の常連の方から、効能なども聞きました。癌を宣告された人がここに数か月入っていたら完治したとか、痔の人は1週間入ればほとんど改善するとか・・・病気治療にはきわめて効果があるそうです。
1時間後、体の汗をタオルでふき取って上がりました、体はぽかぽかで爽快感でいっぱいで、健康に良いことは確かです。サウナよりも確実に熱が体の芯に届き効果が高い感じがします。私は岩盤浴というのは行ったことがないのですが、おそらくはそれに近いのではないかと思います。この施設のある場所は旧長尾町の塚原という場所で、地名からもわかるようにもともと古墳があった場所です。この窯の様子をみれば、元は古墳だったことは確かで、おそらくは古墳をサウナに転用して使い始めたのだと思われます。歴史的には、行基がこれを考案して始めたということです。民俗学的にも面白い素材です。
後藤芝山がこれで病気を治したという理由が、実際に体験してみてよくわかりました。老若男女が親しくおしゃべりしながら入るというのもとてもいいですね。今度は夫婦で入りに行きたいと思っています。
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