先日、ある人間に会ったとき「食事してかない?接待費で落とすから御馳走するわよ」などと言って来た。その人間の夫は会社を経営しており、うちの夫の10倍以上の年収がありそうだ。
住民税が私の年収より多いので驚いたことがあるが「住民税を100万以上も払わなきゃいけないので、生活が苦しい」という言葉にはカチンときた。
その人間が「夫の会社の接待費として伝票をきるから高級なおいしいものをごちそうできる。遠慮することは無い」というのだ。
いったいどういう会社だよ。世の中そんな会社が普通なのかな。仕事の接待ならいざ知らず、妻が知人たちと外食をするのも接待費で落とすのだろうか。
この会社の場合、自宅で買いものやドライブに使っているクルマも社用車となっているので、車にかかるすべての経費は会社の費用から出されているようだ。その他、家庭で使う日用雑貨まで、店で品名を書かずに領収書をもらってくるので、経費として落とせるのだそうである。観光目的の海外旅行まで出張ということになる。あきれてものも言えない。経費で落とすのは税金対策らしいが、よほどの収益があるのであろう。家族や親せきは働いていなくても、名目上社員となっているので、給料が口座に毎月ふりこまれるそうだ。
一方、私の勤めている会社は経費の節減に躍起になっている。上に書いた人間の会社よりも規模が大きいが、経営は厳しく、全く余裕はないようだ。最近は電気代を節約しているので、エアコンも控えめにして寒さに耐えながら仕事をしている。3月の東北の地震で節電しなくてはならなくなったときに、思わぬ電気代の節減につながったのに味をしめ、電気の使用制限がされていない今でも、極力電気を使わない習慣となったのである。
社員が出張に行くと、タクシー代が認められるかどうかもかなり厳しいようである。近年は経費節減のために社員旅行も中止にしている。
このあいだ、数年おきに行われる税務調査がやってきて、いろいろ調べていったようだ。たたいても不正は何にも出ないと思えるが、そこでは、かなり詳しいことまで追及されたとのことである。この会社では、経営者の家族が飲み食いした外食代が接待費用になるなどとは考えられない。
だから、あまりにもずさんな上記の知人の夫の会社のやり方には、首をかしげるばかりだ。こんなやり方をしていて、税務調査が入ったとき、すんなり認められるのだろうか?人ごとながら心配になる。
いくら自分がおいしいものをごちそうしてもらえるとは言っても、複雑な気分になるばかりで、はっきりと断ってきた。公私を混同し、有り余ったお金を湯水のように使う人は好きになれない。