“ショパン―200年の肖像”展で興味を持ったのは、ショパンのピアノ曲が日本に伝来したころの様子である。
それは、明治時代だったようだ。
当時の日本人たちにショパンの曲がピアノで弾けたのかと驚いた。楽譜などが伝来し、普通に取り入れているところが驚きだが、どのような文化でも産業でも、世界から取りいれてしまう日本人なのだから、それは不思議でもなんでもないのかもしれない。しかし、現代のピアニストのように、幼少のころから英才教育を受けてピアノの特訓をして育ったわけではないだろうから、昔の人はすごいと思う。
その中で、わが国最初のショパン弾きと言われた有名なピアニストは「澤田柳吉」という人だったそうだ。
これは展示もされていたが、音声ガイドの最後には、「皆さまへのプレゼント」として、当時録音された澤田柳吉のピアノ演奏が流れて驚いた。
ネットで澤田柳吉について調べてみた。
澤田柳吉(1886年~1936年)
日本の最初のピアニストである。
この時代の3大ピアニストは、澤田柳吉と、久野ひさ(1885~1925)、小倉末(1886~1944)だそうである。この他に小松耕輔(1884~1966)という作曲家がいて、澤田と久野と小松は明治39年(1906)に東京音楽学校(今の東京芸大)を卒業した同級生だとのこと。
小倉は、東京音楽学校を半年で退学しベルリンへ行ったそうだ。この4人はほぼ同じ年齢のようだ。
そして、澤田は明治42年ころから「ショパン弾き」と呼ばれた。
明治45年2月22日に、日本で最初のリサイタルを開催し、オールショパンのプログラムを一人で演奏した。当時は、複数の人が演奏するのが普通で、1人で演奏するものはなかったそうだ。
澤田柳吉は、ベートーヴェンの「悲愴」を録音したり、浅草オペラの創設に加わったり、レコードを出したり、ラジオ放送をしたり、教師をしたり、コンクールの審査をしたりなど、活動は多岐にわたった。
この時代に、多くの演奏録音を残していることで、特筆すべき人のようだ。
大正2年にショパンの「軍隊ポロネーズ」を録音したが、これが、日本人として最初のショパンのピアノ演奏の録音だそうだ。
(http://www.piano.or.jp/report/04ess/itntl/2014/07/01_18180.html
こちらを参考にさせていただきました。)
ショパンが生きたのは1810年~1849年なので、日本では江戸時代。
日本人がショパンを弾きだしたのは、明治時代の後半であった。
それでも、私の感覚ではずいぶん古い時代から日本人はショパンの曲を弾いてきたんだなと思った。
この当時のドラマや映画があったら面白そうである。