1957年
一回二点を先取した大洋も四回同点にもちこまれ、五回には杉山の一撃で一挙に試合をひっくりかえされた。中、西沢がホームにかけこみ、二塁ベースへ達した杉山が背番号25をホームの方へ向けて、腰に両手をあてて大きく深呼吸した姿を、中日ベンチではまったくたのもしい四番打者と感じたにちがいない。この大会第一日目の対国鉄戦では七回まで国鉄にリードをとられ、勝負をあきらめさせ、その日の夜行列車の切符もとっておいたという杉山選手は、きょうの優勝をどんな気持で迎えただろう。「五回の一打は真ん中高目の直球だった。そのほかなにもいうことはないね。ツイていたんだよ」それだけいって杉山選手は九回表の最後の打者中島が左翼へ打ちあげたウィニング・ボールを無造作にポケットにしまうと、二本のバットを大事そうにかかえて一塁側のダッグ・アウトを出た。準決勝の対巨人戦で逆転3ランホーマーを放つなど、最近自信をつけた杉山選手の今年の課題は、カーブを徹底的に研究することだという。杉山選手に打たれた球を目時捕手は「外角高目のシュートだった。だが、すっぽぬけたものなのであまりシュートはしなかったようだ。杉山には本塁打さえ気をつけておればいいと思っていたのでつい気を許してしまった」といっていた。
一回二点を先取した大洋も四回同点にもちこまれ、五回には杉山の一撃で一挙に試合をひっくりかえされた。中、西沢がホームにかけこみ、二塁ベースへ達した杉山が背番号25をホームの方へ向けて、腰に両手をあてて大きく深呼吸した姿を、中日ベンチではまったくたのもしい四番打者と感じたにちがいない。この大会第一日目の対国鉄戦では七回まで国鉄にリードをとられ、勝負をあきらめさせ、その日の夜行列車の切符もとっておいたという杉山選手は、きょうの優勝をどんな気持で迎えただろう。「五回の一打は真ん中高目の直球だった。そのほかなにもいうことはないね。ツイていたんだよ」それだけいって杉山選手は九回表の最後の打者中島が左翼へ打ちあげたウィニング・ボールを無造作にポケットにしまうと、二本のバットを大事そうにかかえて一塁側のダッグ・アウトを出た。準決勝の対巨人戦で逆転3ランホーマーを放つなど、最近自信をつけた杉山選手の今年の課題は、カーブを徹底的に研究することだという。杉山選手に打たれた球を目時捕手は「外角高目のシュートだった。だが、すっぽぬけたものなのであまりシュートはしなかったようだ。杉山には本塁打さえ気をつけておればいいと思っていたのでつい気を許してしまった」といっていた。