1969年
バッキーの加入、ルーキー岡田(松下電器)水谷(全鐘紡)らの参加で「70%戦力アップ」と、三原監督が語る近鉄投手陣、鈴木、バッキーとガッチリした二本柱がそろったが、問題は第三の投手だ。二本柱のあとを受けるのは板東、佐々木、川内、岡田と、先発完投能力を持つグループがひしめいている。しかし、その中でも、もっとも安定しているのは板東。その板東が、二十九日のオープン戦初先発した。三原監督は「板東は過去五試合救援ばかりに使ってきたので、一度先発させた」と話したが、首脳陣は中原コーチのことば通り、板東を機に応じて先発、救援と自在に使って行く方針を固めている。当の板東はこの日、立ち上がりタマがうわずって、一回、いきなり高木守に安打され、一枝にも右翼へ鋭いライナーを打たれた。二回にも伊藤竜に右翼線二塁打され、フラついていたが、要所をしめ、三回以後は完ペキのピッチングで、6イニング無難に投げた。「現在は、一度落とした調子が上向きになっているところです。はじめはちょっとタマがうわずったが、三回以後は自分でも納得のいくピッチングができました。感じのいいタマがピタリと決まりましたからね、ことに六回、千原を三振にとったシンカーは、自分でもタマをはなした瞬間やったと思いました」と、ピッチングを振り返る。板東の自慢するシンカーは、ことし覚えたもの。昨年は、タイミングをはずすために、スリークォーターからチェンジアップを投げていたが、このタマはすなおすぎてよく打たれた。だからことしは、もうひとつ腕を下げ、サイドハンドからタマに変化をつけたシンカーを開発、ようやく身につけたようである。先発から救援までの大活躍を予約されている今シーズンの板東だけに、Aクラスからいっきに優勝までねらうという近鉄にあって、その右腕は大きなポイントとなりそうだ。
バッキーの加入、ルーキー岡田(松下電器)水谷(全鐘紡)らの参加で「70%戦力アップ」と、三原監督が語る近鉄投手陣、鈴木、バッキーとガッチリした二本柱がそろったが、問題は第三の投手だ。二本柱のあとを受けるのは板東、佐々木、川内、岡田と、先発完投能力を持つグループがひしめいている。しかし、その中でも、もっとも安定しているのは板東。その板東が、二十九日のオープン戦初先発した。三原監督は「板東は過去五試合救援ばかりに使ってきたので、一度先発させた」と話したが、首脳陣は中原コーチのことば通り、板東を機に応じて先発、救援と自在に使って行く方針を固めている。当の板東はこの日、立ち上がりタマがうわずって、一回、いきなり高木守に安打され、一枝にも右翼へ鋭いライナーを打たれた。二回にも伊藤竜に右翼線二塁打され、フラついていたが、要所をしめ、三回以後は完ペキのピッチングで、6イニング無難に投げた。「現在は、一度落とした調子が上向きになっているところです。はじめはちょっとタマがうわずったが、三回以後は自分でも納得のいくピッチングができました。感じのいいタマがピタリと決まりましたからね、ことに六回、千原を三振にとったシンカーは、自分でもタマをはなした瞬間やったと思いました」と、ピッチングを振り返る。板東の自慢するシンカーは、ことし覚えたもの。昨年は、タイミングをはずすために、スリークォーターからチェンジアップを投げていたが、このタマはすなおすぎてよく打たれた。だからことしは、もうひとつ腕を下げ、サイドハンドからタマに変化をつけたシンカーを開発、ようやく身につけたようである。先発から救援までの大活躍を予約されている今シーズンの板東だけに、Aクラスからいっきに優勝までねらうという近鉄にあって、その右腕は大きなポイントとなりそうだ。