プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

藤本雄司

2021-08-21 15:56:09 | 日記

1981年

昨年の夏、秋ともにベスト4に進出。着実に力をつけてきており、今大会も大黒柱藤本投手が健在で有力校のひとつにあげられる。エース藤本は県高校球界を代表する速球投手。180㌢の上背を利して真っ向から投げ込む速球は威力十分で、時に高め球には力があって、これをとらえ切るのは簡単でない。速球がいいのでカーブも他投手以上に効果がある。この二つがうまくミックスされると、いかに強力打線といえども攻略は簡単ではないが、難点は制球力の物足りなさだ。特にカーブはスッポ抜けたり、バウンドしたりといったケースが目立つ。大会への調整課題は制球力アップに尽きる。

「やっぱり、精神力に尽きるでしょう。ここ一番に踏んばれない。追いかける力がないんです」0-6、右の本格派藤本を擁し、ようやく「ねらえる力」を備えてきたと思われていた安芸工、無念の敗退である。池内英夫監督の表情は、やりきれなさを映してなんとも複雑だ。「まず、相手は藤本でしょう。先行したら4~5点はいける気もする」とは、高知・岡本監督の試合前の談話だ。ズバリ、予想通りにゲームを運んだ格好だが、安芸工のエース藤本にすれば、初回の一球がなんとも痛い。「もちろん、藤本1本でいきます。一、二回をうまく(0点で)抜ければ、あとはリズムに乗ってくれると思います。カーブが決まれば、そう打たれんでしょうね」(安芸工・池内監督)その願いは、初回早くも崩れた。簡単に二死、カーブも決まって快調の滑り出しに見えたのだが、続く森本に死球、次打者にはストライク一つの死球を与えてしまう。「制球が課題」-マウンドの藤本に、ふと不安がよぎったのかもしれない。警戒すべき高知の五番宮脇への第一球は、ボールを置きにいく感じの外角高めストレート。右越えの三塁打になってもちろん走者一掃だ。「真っすぐが高めへ入って…。でも、あの2点で抑えるつもりやったんです」と藤本。事実、二回からは県内屈指の本格派らしい、けれん味のないピッチングを見せ、六回まで高知打線を、安打なしで完封する。二、四回には自ら中前打してチャンスの芽をつくるのだが、高知・田中の、かなり気をよくしてのピッチングに後続なし。「あと1点もやれない」と、懸命に踏んばるのだが、いったん高知に向いた流れを変えられない。右手中指には新しいマメが出来ていた。投げるたびに、ジーンとする痛みが伝わってくる。七回、一死から3連打を喫し、致命傷の3点めを献上してしまう。逆転の望みは消え、藤本にもう踏んばる力は残っていなかった。九回、マウンドには二年生の山本実が送られ、一塁に回った藤本のバットは、カーブにむなしく空を切って安芸工の夏は終わった。昨年の大会は、事実上のエースとして投げ抜き、チームもベスト4に進出している。はっきりAクラスと認められて臨んだこの夏、あっけなく初戦で消えた安芸工…。「ボクとしては抑えるつもりで投げた。悔いは残るけど、相手が高知だから‥」「仕方ない」と藤本はいわなかった。チーム創設(48年)から九年、「精神力、それだけですよ。力そのものはどこと比べても変わらんと思う。あすから出直しです」十年めに向けて、池内監督は語気を強めていた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

金城鉄治、比嘉良智

2021-08-21 15:34:42 | 日記

1982年

優勝候補の最右翼。エースナンバーをもつ三年の金城は183㌢と長身。スピードのあるストレート、落差の大きいカーブに威力がある。二年生の比嘉良も重い速球とカーブが武器。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

吉井英昭

2021-08-21 07:11:14 | 日記

1992年

8月2日、吉井はまた、先発のチャンスを雨で流してしまった。今季、これで6試合目。「まったくツイてないですよ」と肩を落としていたが、オールスター期間中の練習で紅白戦に登板し、モトリー、高沢ら一軍メンバー相手に、2回を2安打と好投した吉井に対し、首脳陣も後半戦は出来る限りチャンスを与える方針でいると聞く。ファームに20人の投手を抱えるロッテは、故障選手が少ないうえに、ローテーションが決まっている編成上試合に出るのは並大抵ではないはずだ。それを考慮すれば、吉井に対する首脳陣の期待は、かなり大きい。持ち球の中では140㌔台の速球とフォークに威力がある。遠征に帯同しなかった小宮山が浦和球場へ調整に来た時、吉井はブルペンで並んでピッチングを行っていたが、球のスピードは、小宮山の投げる球と全く見劣りせず、フォークも自由に投げられる魅力があった。その上、ピッチングを終えてからマウンド上で自らのステップを歩幅で確認していた。調整してから吉井にとって、フォーム矯正の毎日が続くが、普段のブルペンから、しっかりチェックしている姿勢には驚いた。だが、今の投げ方では、打者にとってタイミングが合いやすいという欠点がある。腕をトップの位置から振りおろす時、もう少し遊びがあれば、球は見にくくなるのではないだろうか。また、昨夏、スライダーを覚えようとして失敗したが、今の吉井は新球をマスターするよりも、直球、カーブ、フォークに磨きをかけ、確実性をつけることを優先してほしい。元々、器用な方ではないのだし、フォークが落ちなくなる危険性もはらんでいるからだ。一見、ひ弱そうな吉井だが、ルーキーの昨季から22試合に登板。今季も122試合に登板している。同期の榎が、故障で試合に出ていないのと比べれば、プロとしての体はできているようだ。漁師の家庭に育ち幼い頃から舟に乗り、魚を捕る手伝いをしてきたことが、今の吉井を形成しているのであろう。しかし、北国生まれで暑さには弱い。ボールを投げられないほどバテるそうだ。しかし、今年はジュースの量を減らしたり、クーラーを我慢するなど夏場対策は怠らない。そして、努力は実を結んでいる。選手がすべていなくなったグラウンドの土を、一人丁寧にならす吉井の後ろ姿に、私は、微細な投手は大成するという言葉をそっと投げかけた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

渡部高史

2021-08-21 06:54:47 | 日記

1992年

8月28日、対日本ハム戦。7回途中、先発の友利に代え、2番手として中塚二軍監督は渡部にスイッチした。一死一、二塁から藤王に四球、矢作にタイムリーを打たれて1失点。ダブルプレーで後続は断ったものの、ベンチへ帰る渡部を待ち受けていたのは、中塚二軍監督のカミナリだった。「左打者相手に、何というピッチングをしているんだ。自分の役割を考えてみろ」渡部は、開幕時の40人枠には抜擢された。しかし、チャンスのないまま、6月の入れ替えで一軍昇格の夢が消えた。左投手不足のチームならともかく、渡部が左腕王国の大洋に入団したのは、不運だったかもしれない。それでも首脳陣は、何とか彼をワンポイント要員として育てる方針でいる。ファームでも、6月中の1試合を除いて、全試合ブルペンに入れ、登板に備えた肩作りをさせている。マウンドに上がる場面も、ほとんどがランナーを置いて左打者が打席に立つというケースである。「本当は先発完投型の投手に憧れますが」といいながらも、渡部は期待に応えている。投手にとって、一番キツイ8月、渡部はすこぶる好調だった。ナイターが多かったり、コンディションとしては投げやすさもあったのかもしれないが、8月13日の巨人戦ではMAX138㌔、今季最速を記録した。全体的に球のキレも見られ、2年目、しかも北海道出身を加味すれば、体は強いようだ。ストライクが先行した時の渡部は、ボール球をうまく使って相手を料理している。だからストライクが入らなくなると苦しい。四球、四球でランナーを貯めて自滅というパターンになる。体に強さはあっても柔らかさが少ない上に、どうしてもピンチで登板するので力む。腰が浮く、体が開く、コントロールが乱れるのである。体の硬さを克服するために毎日、風呂場での柔軟体操を欠かさないという渡部だが、精神面での自信も必要。それには、これなら絶対大丈夫。という得意球を一つ持つことが今後の課題だ。直球は左にしては速い、スライダーも威力はある。あと、タイミングをはずすカーブと打ち気をかわすシュートを完全にすれば、一軍合格間違いない。話していると淡々としているのがもう一つの気掛かり。若いのだから、気迫や貪欲さを表に出せば、成長は決して止まらないはずである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする