1983年
ヤクルトのルーキー・阿井英二郎投手が、9月30日の対西武戦で初勝利を飾った。今年のユマキャンプで、シャーリー臨時コーチから「実戦向き」と期待された一人。しかし、しばらくは基礎体力作りに専念していた。そして、今季七度目の登板で念願の初勝利。リリーフで3イニング投げ、速球とカーブ主体の投球内容で、1安打に抑えた。「ボクが中三の時に亡くなったオヤジも野球が大好きだった。きっと喜んでくれているでしょう。この1勝は一生忘れない」給料から七万円を母親のゆきさんに送っている。一軍のマウンドに立つ時は、ゆきさんを呼びたいという。
1986年
童顔が、汗だらけの中でほころぶ。九回裏二死一、二塁、中日・平野を遊ゴロに仕留め、グラブをポン。四年目にしてプロ入り初完投をあげた。阿井だ。「完投よりも、勝ったことがー。初めてやっと勝てた、という気持ちです!」高木新体制となった中日が相手だが、人さまのことを考える余裕はない。「別に意識しなかった」という阿井は、ストレート、スライダーで押し、フォークで勝負する。9安打を浴びたが、「気持ちで負けない」粘投で、1失点完投。昨年の勝ち星(3勝)を早くも上回る4勝目だ。四年前のドラフト、荒木が一位で、阿井は三位指名。常にスーパーアイドルの陰に隠れる。サイン、ファンレターの数は雲泥の差。「実力でダイスケに負けたくない」若者の心に、ライバル心が生まれても不思議はない。その荒木が不調でミニ・キャンプ中「やっぱり、一緒に争いたい」と、この日の好投は、ライバルへのカツでもあった。球場入り前、「ロッキー4」を見た。イタリアの種馬(S・スタローン)のガッツに「ボクは美浦の種馬(兄・宏之さんが中央競馬会の厩務員)だ」と、闘志に火もついていた。
ヤクルトのルーキー・阿井英二郎投手が、9月30日の対西武戦で初勝利を飾った。今年のユマキャンプで、シャーリー臨時コーチから「実戦向き」と期待された一人。しかし、しばらくは基礎体力作りに専念していた。そして、今季七度目の登板で念願の初勝利。リリーフで3イニング投げ、速球とカーブ主体の投球内容で、1安打に抑えた。「ボクが中三の時に亡くなったオヤジも野球が大好きだった。きっと喜んでくれているでしょう。この1勝は一生忘れない」給料から七万円を母親のゆきさんに送っている。一軍のマウンドに立つ時は、ゆきさんを呼びたいという。
1986年
童顔が、汗だらけの中でほころぶ。九回裏二死一、二塁、中日・平野を遊ゴロに仕留め、グラブをポン。四年目にしてプロ入り初完投をあげた。阿井だ。「完投よりも、勝ったことがー。初めてやっと勝てた、という気持ちです!」高木新体制となった中日が相手だが、人さまのことを考える余裕はない。「別に意識しなかった」という阿井は、ストレート、スライダーで押し、フォークで勝負する。9安打を浴びたが、「気持ちで負けない」粘投で、1失点完投。昨年の勝ち星(3勝)を早くも上回る4勝目だ。四年前のドラフト、荒木が一位で、阿井は三位指名。常にスーパーアイドルの陰に隠れる。サイン、ファンレターの数は雲泥の差。「実力でダイスケに負けたくない」若者の心に、ライバル心が生まれても不思議はない。その荒木が不調でミニ・キャンプ中「やっぱり、一緒に争いたい」と、この日の好投は、ライバルへのカツでもあった。球場入り前、「ロッキー4」を見た。イタリアの種馬(S・スタローン)のガッツに「ボクは美浦の種馬(兄・宏之さんが中央競馬会の厩務員)だ」と、闘志に火もついていた。