スーパーやコンビニに行くたびに、泡もの系の新ラベルを見つけると趣味みたいに買って試飲しているうちに、12日に今年上半期(1~6月)のビール主要5社のビール関連飲料(ビール、発泡酒、第3のビール)の出荷量発表というニュースがありました。
前年同期より1.9%減り、92年に現行の統計が始まって以来、過去最低になったそうです。
ビール類はアイスクリームや氷菓同様“お天気次第”の商品で、晴天が続いて気温が上がりさえすれば上がった分だけ売れるものなんですが、今年は本州以西、梅雨入り後も結構カラ梅雨気味で暑かったようだし、TVではガンガン新製品のCMオンエアされてるし、売れてるんだろうなぁと思ったら、92年以来の最低とは意外や意外。
業界関係者は「若者を中心に進む酒離れ、ビール離れを食い止められなかった」と分析しているようですが、確かに、20代前半、社会的にもおおっぴらに飲んでいい年代に到達して、飲みたくてたまらないはずの若い人たちが、昔ほど豪快にガツガツ飲まなくなったなという感じはあります。
遠いきっかけのひとつは、もう十数年前になるか、大学新歓コンパでの一気飲み急性アルコール中毒事故が相次いだ件だと思います。あれ以来、特に受験生集めのためイメージを大切にしたい私立の大学では管理取締を強化する動きにもなったし、周囲の目も厳しくなった。何より、学生さんたち自身の間に、アホみたいに大量に飲ませたり飲んだりするコンパのあり方を“カッコ悪い”“ダサい”とする認識が定着してきた。
これは、健康面でも倫理面でも結構なことだと思います。
もうひとつ、若い人たちが同年代同士で酒をまじえて会する動機が、“異性との出会い”“モテ”のほうにシフトしてきているということもメーターの上がらない理由になってはいないでしょうか。
学生中心の若者向け雑誌やブログを見ると、とにかくいまの若い男女、特に男性の“モテ”への関心は強烈を通り越して、凄絶ですらあります。酒を飲むのに野郎同士つるんでモテない愚痴を言い合い飲んだくれるなんてのは、流行らないにもほどがある。
何としてもアタマ数集めて男女同数にセッティングしたら、目標は“モテ”と“アフター”です。ここへ行くまでに量を過ごして前後不覚に酔いつぶれてしまっては元も子もありません。
同性同士、気のおけない仲間で愚痴や恋バナを兼ねた作戦会議で盛り上がれるのはむしろ女性のほうでしょうが、女性は酒より、どうせカロリーオーバーになるならおいしい料理やスイーツのほうに関心が向きがち。昔から男と相対して何人も潰すような和田アキ子さん級の女酒豪はいないわけではないけれど、平均的には肝臓が小さくアルコール分解能力において劣る女性は、やはり男性より消費貢献度が低いと思われます。
しかも“モテ”関連で言えば、いまの若い人たちは、学生月河が安い居酒屋や、昼間喫茶店で夕方からパブになるたぐいの店で色気のないコンパに明け暮れていた昭和50年代前半に比べると、低賃金薄い財布の中から消費しなければならないアイテムがやたらにあります。携帯と機種変、パケット通信、ゲームソフト、i‐pod、モテ服、モテアクセに男女それぞれの美容室、エステ。いくら“第三のビール”が安くても、飲んでては追いつけない。
TVドラマの視聴率談義になんだか似てきますが、要は、お金を使う娯楽の選択肢がどんどん増える中で、酒の優先順位が下がったのです。
もうひとつ、これは北国、かつ多雪地帯の地方拠点都市である当地に特有の状況かもしれません。
たとえば朝イチ、今日はどの程度の服装で外出すべき気候かな…と思ってマンションのベランダ越しに外を眺めると、十数年前なら必ず2~3人から10人程度は主婦や近所の店員、通勤に向かうサラリーマン、営業マンなど通行人の姿が見えて、今日はジャケットが要りそうだ、帽子を手で押さえるくらいの風の強さだ、傘をさしている人とさしてない人が半々ぐらいだから、雨足は見えないけど小雨かな、などの手がかりがありました。
ところが、ここ数年は、朝8:00台の中高生の登校時以外、歩いている人の姿がほとんど見られなくなりました。
別に、ウチ近隣が急激に人口減、過疎地域になったわけではありません。
みんな、自動車で移動するようになったのです。ベランダに出てみても、見えるのは走っている車と、駐停車している車ばかり。買い物や子供送迎の主婦であれ外回りセールスマンであれ、自分の2本の足で立って歩いている人影を見つけるためには、3~5分以上立ってそこらを見渡し続けていなければならなくなりました。
もっと郡部の、バスや地下鉄など公共交通機関の少ない地域に行くとさらに著しいはず。ここまで老若男女にクルマ頼み化、クルマ社会化が進んだら、法律的にも、肉体的にも、アルコール忌避傾向が高まるのは当然だと思います。
ビール系だけでなく、アルコール飲料には二重三重の逆風。この流れは当分止まらないでしょう。
メーカーさんにはアタマの痛いところだろうなぁ。その分、緑茶・健康茶系の清涼飲料水は伸びているようですが。
『金色の翼』第10話。
本格的に修子にアタックし始めた槙(高杉瑞穂さん)と奥寺(黒田アーサーさん)のサヤ当てはコントテイストで愉快だったけど、タヒボ茶空輸便の中のブラジル現地新聞から修子の夫殺し疑惑報道を知った小説家絹子(高嶺ふぶきさん)が、奥寺に行方不明の兄の容疑を満座の前で暴露されて憤懣やるかたない槙の部屋を訪れて、真っ先に忠告するくだりはちょっと木に竹を接いだようで、ピンと来なかった。
“売れた本を誰も知らない”自称作家の絹子も、金満御曹司風・二枚目風を吹かせまくる奥寺を一度凹ませたく、逆に口数少なく忠実で、恋人の危機(=玻留の暴行未遂)にダッシュして来る気概があり、かつ若く肉付きの良い槙を好ましく、味方したく思っていたということなのかな。だとしたら伏線の敷き方が甘い。
何かないかと探していた修子の“弱点”を思わぬところから掴んだ槙の哄笑。絹子の面前で「やったね!」とばかりに手放しで高笑いしちゃう辺りは去年の槐の、水も漏らさぬポーカーフェイスとは180°異なる、槙というキャラの粗野さ、ガードの低さを表現して悪くはないのですが、演じる高杉瑞穂さん、“野卑な高笑い”が顔立ちにえらく似合わない(爆)。
この槙の不気味な笑い声をバックに、謎を増した修子が夕映えの窓に佇む本日のラストシーンも、「これから槙の策略が修子に…」を予感させて、意味としては通じないではないんだけど、なんだかあけすけなホラー風味で“緩(ゆる)い”し“安い”。どうも昨年に比べて演出に緊密を欠くのが気がかりです。
それより、昨年は毎回秀逸な編集で本編以上にドキドキさせてくれた次回予告が、さすが『美罠』スタッフ、今作も冴えわたってきました。
玻留・静江(沖直未さん)・奥寺の撞球台3ショットの翌日は、玻留と理生のカメラ同位置2ショットで「えーっおカネない理生も賭け?出来るのビリヤード?」とハラハラさせてくれた(本放送では「勝ったほうの言う事を聞く」で玻留と軽く和解の微笑ましい場面)し、修子に槙と奥寺が揃って手を差し伸べるおバカなカットの後は、入り江で抜き手を切って泳ぐ槙で『美罠』最終話の川流れを思い出させる。
車椅子姿のセツで「えッ負傷?」と心配させておいて、翌日(=今日)の本放送では、実は亡き夫の死後、一族に食いものにされた悔しさを語りつつ、病に倒れた後の夫を偲びながら戯れに車椅子を操るだけだったと安堵させる。このへんの抜き差しもお見事。
週を跨ぐ今日は、ヒゲ剃り途中でカミソリ振り回してセツに熱弁をふるう奥寺がまた笑かしてくれました。目下のコメディリリーフ担当・奥寺中心に、毎回1カットはおもしろ映像紛れ込ませてくれている。
この繊細さとサービス精神が、本編にもっと活きてきてもいいんだけどなぁ。