イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

クチが尊いと書いて

2007-07-17 20:19:17 | テレビ番組

 中越沖地震、一夜明けて各地の被害も詳しく映像付きで報じられるようになってきました。

 死者が漏れなく高齢者だというのも痛ましく、問題提起性の高い事実ですが、今日、昼休みの12:00台に出先のTVで、音声は聞こえず映像だけ目に留まったのは、震源に近い所らしい公共図書館の本震直後の様子。

 書棚はぜんぶ固定してあるらしく、棚ごと倒れてはいないのですが、その代わり“中身”の蔵書が一冊残らず床にぶちまけられていました。棚が耐震な分、本に揺れが直で伝わったんでしょうね。本を収納したまま棚が倒れてきたらえらいことだけど、本単体でも何百冊もまとまると“紙の塊り”でめちゃめちゃ重いからなぁ。頭部直撃されたら命にかかわります。昨日が祝日で休館日だったであろうことがせめてもの救い。

 何チャンネルかな?その映像で、いちばん手前の、カメラ近くに落ちている本の背が山崎豊子さん著『大地の子』だったのが苦笑ものでした。地震も“大地のあくび”か“シャックリ”みたいなものなのかもしれないけど、大地レベルで鳴動されると、人間なんて赤子の手をひねるどころか、蟻(あり)並みのはかなさです。

 これから夏本番という時期の大規模災害だけに、避難所生活に救援物資を手当てするにしても、食中毒や脱水症、トイレ対策が焦眉の急とか。暑いにつけ寒いにつけ、水や火力・電気などのライフライン、住居生活基盤が破壊された中でのレスキューには問題が山積の様子です。

 ウチも高齢者・病人を抱えた世帯ですから、せめて頭部保護用のメットと簡易トイレぐらいは自前で装備しないとまずいかな。

 大きな地震が報じられるたびに、そんな話題、誰かかれかがクチにのぼせては「そうだねぇ」「用意しとかないとねぇ」までで、その都度立ち消えになるんですよね(爆)。

 そういうグッズを扱う店を調べて、足運んで手にとって見てみるなどの汗かく人が誰も居ないんだウチは。クチだけのヤツばっかりで。有事の際は真っ先に一家全滅だね(自嘲)。

 『金色の翼』第12話。槙と理生の会話を立ち聞きした奥寺の娘・玖未が修子の夫殺し疑惑を満座の前で口走り、客たちは騒然となりますが、修子は堂々と「容疑を受けたことがあるのは事実」と認め、人の噂や好奇の目の残酷さを語って席を立ちます。

 この件で修子が島を離れては元も子もないと、槙が様子を見に送り込んだ理生に、修子は亡夫が自家用機をみずから操縦して事故った経緯を語って聞かせる。

 「あのとき何としても(暑さ続きで疲れているのに自分で操縦すると夫が言い張るのを)止めればよかった」「何より、口論して気まずいまま永遠の別れになったのがつらい」「夫を死に追いやったのはやはり私かもしれない、夫殺しと言われても言い返すことはできない」と涙ぐむ修子に、「修子さんは何も悪くありません」と手を重ね力づける理生。素直な理生はもう、修子を騙しておカネをどうこうしようとする槙の提案には、乗れない気分になっているんじゃないかな。

 その頃自室でひとり、自分が兄共犯・逃亡幇助容疑を打ち明けて同情をひいたときの修子の慈愛に満ちた眼差しを疚しく思い出しつつ「何も迷う事はない、もう一息だ」とビール喇叭飲みで己を奮い立たせる槙。迷う事はないとクチに出して言う時点で、すでに迷ってる証拠。

 製作陣が強調する“サスペンス”が、演出の殊更っぷりのわりに盛り上がってこない要因のひとつに“槙がどうやって修子からカネをせしめようとしているのか、具体的なプランが視聴者に呈示されていない”ことが挙げられると思います。

 何か貸しを作っての代償としてか。あるいはウソを並べて文字通り詐取する魂胆か。

 それとも異性として自分に惚れさせて、ホストよろしく貢がせる方式か。

 いままでの槙の(理生と打ち合わせない)“個人技”を見る限り、後者の可能性が高いのですが、理生が知ればさすがに拒否感を示すだろうし、何より、セツのクチから(“極論の喩え”にせよ)出た「いっそ彼女と結婚なさい」という最強策に比べてスケール小さ過ぎ、チョロ過ぎる。

 「こうこうこう行けば、槙が成功するのだな」「こうこうなれば、一巻の終わりなんだな」というガイドラインが掴めないので、今日の槙の、万感込めた「もう一息だ」にも、“そうだそうだ行け行け!”とも“お願い止めて!踏み止まって!”とも、切実にリアクションできないのです。

 それより、脇役組ホテル客の衣装が見れば見るほど興趣尽きません。詐欺まがい投資家・静江(沖直未さん)の、必ずド赤や大花柄をメインに“ムダにオンナ度高い”ドレス姿と、自称小説家のゴシップライター?・絹子(高嶺ふぶきさん)の、露出度豪快なわりにはさっぱり色気立ちこめないエスニック調の競演も面白いし、“幼稚組”玻留(倉貫匡弘さん)と玖未(上野なつひさん)のピンク協奏も夏らしく、かつアタマ軽い若者同士っぽくて楽しい。

 同じピンクでも玻留は紫寄りのリラ色系、玖未は黄み、橙みの入ったサーモン~コーラル系。しっかり棲み分け。

 主役の修子がもっぱら服喪中未亡人の黒、槙が作業着もホテル内制服のシャツも白(3話で兄の事件を苦く回想→理生の“修子さんから援助を”提案を聞く場面だけグリーンの格子縞シャツ(←“はかりごと以前モード”の記号か)なので、脇役さんたちのカラフルさが画面の華。

 そう言えば理生もいまのところ制服以外の衣装で登場したことがありません。今後、主役たちが“色もの”を競って身にまとうようになった頃には、物語の様相は一変していることでしょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする