先週気がついたので、今週の同系統番組でどうなっているかわかりませんが、報道番組で東国原英夫宮崎県知事がVに出てくると、なぜBGMが『陽炎の辻~居眠り磐根江戸双紙』のOP曲になるんでしょうか。
土曜の夜の、ビートたけしさんと安住紳一郎アナの番組で聴いたときは、たけしさんと東国原さん、て言うよりそのまんま東さんとの長いお付き合いゆえのサービスかと思ったら、翌日の『サンデージャポン』の政界コーナーでも使われていたし、何だったかテレビ朝日系の夕方の番組でも小耳にはさんだような。
イメージ的に全然合ってないですけどね。坂崎磐根は豊後国は関前藩、いまの大分県出身。宮崎は日向国ですから、まあ南北にお隣同士といえば言えますが。
それともあれかな、ヒタイの広さ加減というか、生え際の後ろさ加減というか、遠ーーーい近親関係が想像できなくはない…こともなくもないか(否定し過ぎて結局どっちだ)。
古賀選対委員長との会談、「私を総裁候補にして戦う覚悟が自民党にあるか」発言以降、来たるべき解散総選挙と政局がらみのニュースで東国原さんの顔と名前が頻出するようになりましたが、ご本人の体温がどこらへんまで上昇しているかとは別に、マスコミも国民も“ザ・中央政界”の麻生さん鳩山兄弟中山さん細田さん町村さん与謝野さん菅さん岡田さん誰さん彼さん…といった顔触れに、いい加減嫌気がさしているという地合いがある。
地方政界で高い支持を集めている首長で、政治家としては年齢も若くフレッシュで、かつタレント出身で全国的知名度もあるとなったら、永田町界隈にひしめく与党や野党第一党幹部のあの人この人より、よほど可能性があると思われても仕方がない。“仕方がない”っつったらヘンだけど、東国原さんが本気で中央政界を志向するなら、いまほど強い順風の吹く時期は、恐らく彼の政治家人生で二度と訪れないでしょう。
本当に、いま麻生さんを筆頭に、“永田町汁(じる)”の滲み込みの深いと思われる順に国民からは嫌悪されていますよね。みんな国民が清き一票を投じて選ばれ、また選ばれ、さらに選ばれて当選回数重ねて、総理候補、党首候補に擬せられる立場まで上がってきた人たちのはずなのに、“選ばれながら嫌われてきた”っていったいどういうことなんだ。
“永田町汁”のニオイをあまり感じさせないところが人気だった小泉純一郎さんも、昨日だか当地近隣の選挙区で講演したというニュースで見たら、なんだかふにゃらけた中途半端パーマのジジイになってましたよ。こちらは在任中、嫌われつつ人相悪化ということがあまりなくて済んだ、珍しいタイプの総理経験者なので、いまのふにゃらけようは普通に今期限りでの政界引退を決めて緊張感が失せたんでしょうな。
あれかな、後継次男進次郎さんの応援には、兄貴・孝太郎さんも駆けつけて街宣車乗るのかな。
それともコールセンター応援かな。
…『つばさ』東京進出?篇(6日~11日)は、つばさ(多部未華子さん)が「全国ネットで大勢のリスナーに知られるよりも、川越に暮らす人たちの当たり前の日常、小さな喜怒哀楽に寄り添い、小さな幸せを届けるラジオぽてとのオカンでありたい」と自己確認、宣言したことで一応きれいに着地しましたが、結局ベッカム一郎(川島明さん)はロナウ二郎(脇知弘さん)ともう一度コンビでやってみたくてラジオぽてとに来演、つばさを自分の番組アシにスカウトしついでに二郎に「1コーナー任せる」オファーしたのか?はたまた、メジャー芸人目指す巻き返しか地元密着に徹しての再出発かに、二郎自身で結論を下させようという元・相方なりのコンビ愛か?…真瀬(宅間孝行さん)は、二郎に芸人としての全国区セカンドチャンスを与えたくて東京のキー局に売り込み活動してたのか?…善意のハラがあったのかなかったのか、ちょっとよくわからない、つばさ母加乃子さんじゃないけどホーローならぬモーローとした結末になってしまいました。
ベッカムが二郎とコンビ解消した原因は、二郎が全国キー局での打ち合わせに遅刻してきたからということでしたが、二郎は先約のあった慰問のほうを優先して喋り過ぎ、打ち合わせの時間に間に合わなかった、と、ベッカムとは違う彼なりの見識はあったわけです。
当時は一応レギュラー番組も持つ新進人気コンビだったらしいのに、そもそも慰問と打ち合わせをダブルブッキングしちゃうマネージャーどこ事務所の誰よ?って話なような気もしますが、ベッカムなりに二郎に「オレにはない、ガツガツしなくて温ったかい、好かれる持ち味のあるヤツ」というリスペクトや、四畳半のアパートに同居して夢を共有してきたなりの友情、シンパシーもあったはず。そこらへんあんまり掘り下げられませんでした。
掘り下げないところが「空気読むのが商売」というベッカムの“自分の現在(=全国ネットの多数ウケ狙って行かなければならない)に殉じた”哀愁だったのかしら。
メイクや衣装からいって、『蒲田行進曲』銀ちゃんを意識してキャラ作りしたと思われるベッカム一郎、俳優専業ではない漫才の川島さんよく演っていたと思いますが、男女2人の付き人、座る前にどこでも豹柄敷物で肩揉み、自画像入りマグカップ、あそこまで銀ちゃんパロディをやるなら、二郎さんがヤスになって川キネ2階から階段落ちまでやらないとね。体型的、自重的に危険か。
思うにこの中途半端さ、物語の舞台となっている“川越”と東京との距離感の微妙さと比例していますね。つばさが日中東京のベッカムの番組アシをつとめて、夜には甘玉堂に帰って来られるんですもの。
“東京に出てメジャーになる”ということの晴れがましさ怖さ、地元を振り切るのに要するエネルギー、川越にいるとさほどの高低差がないのではないでしょうか。
全国48道府県の、朝ドラロケ地ラストに埼玉が残っていたのも、今頃になって少し頷ける気も。ヒロインが“努力して出世して東京に出る”ということにあまり有り難味がなく、ストレスもないので、物語の軸にできない。声がかかれば東京で仕事をして、夕食などのプライベートは川越に帰って、翌日また東京に行くこともできる。地方を舞台にし、地方出身で地元に家族や親友や恋人を持つヒロインを設定することで6ヶ月20余週をもたせてきたNHK朝ドラにとっては、“東京”“中央”の、今作特有の相対的地位低下、希薄化は結構取り扱いがしんどいでしょう。
これが川越ではなく、東北・北海道や九州在住設定だったら、ヒロインはさして迷いもせず東京の局アナスカウトに乗ったはずです。九州のことは月河、さすがによく知らないので断言を避けますが、北海道なら間違いなく乗った。仕事のスケールが経済的にも心理的にも、川越対東京と、北海道対東京では天文学的と言っていいくらいの差があるし、かりにヒロイン自身が地元にも愛着が…としばし逡巡しても、親が積極プッシュするはず。
いまつばさ(=ハタチ)世代の親世代である40代中葉~50歳前後で地方在住の人たちほど、“中央進出を願って果たせず、あるいは果たしたが定住できず、自分の親が生まれ育ったのと同じ近隣にいまだ住んでいる”自分を残念に思っている世代はいないからです。
(親世代の、そのまた親世代、『つばさ』で言えば千代お祖母ちゃん世代が、千代さん同様認知症にも冒されず身体頑健で元気だったら“親代々の地元に根を下ろして家業や伝統行事を墨守することの大切さ”を孫に滔々と述べるでしょう)
どうせ大半はセットの中で進んで行く物語なので地名を冠したローカリティにはそんなに固執する必要はないと思いますが、“中央進出”に仮託したヒロイン立身出世とそれにまつわる葛藤という王道モチーフがこの週で“使えない印”になったことは、今後のドラマにかなり影を落として行きそうです。
いや、光を落とすのかな。今週はラジぽて立ち上げ人たる真瀬が、ベッカムの屈折した“全国ネットひけらかし”に一言ズケッと言う場面があるんじゃないかと期待したんですけどね。つばさと二郎に花持たせすぎ。