6月27日付け日本経済新聞土曜版“日経PLUS 1(プラスワン)”でのリサーチランキング“バーベキューに合うビール系飲料”で発泡酒・新ジャンル部門10位に入っていたオリオンリッチ、昨日都心に近い大手スーパーチェーンの冷えモノ酒類コーナーで見つけたので早速買い。
沖縄発、オリオンビールの製品ですが、Asahiが全国発売しているようで、日経紙面の掲載写真には無かったAsahiのロゴが、パッケージ正面の赤い三つ星の上にorionと同じブルーで入っています。
沖縄には行ったことはありませんが、南国だし、“Rich”の名からなんとなく濃厚な味を予想して、グラスもキュンキュンに冷やしてから試してみました。
……いやいや、リッチよりはスムーズという感じで、結構さっぱりしています。若干甘口寄りで、同じ新ジャンルで言えばSUNTORY金麦とクリアアサヒの中間ぐらいの甘さか。でもイヤみな甘さではなく、スムーズでさっぱりな中でのほど良い“甘口感”。味としては発泡酒のSUNTORY豊かを思い出します。Alc.5%で100ml当たり39キロカロリーは糖質が少なめなんでしょうね。バーベキュー向きと言うより、まさに夏向き。夏期限定の全国発売は好判断だったと思います。
新ジャンルの場合、どうしても泡がクリーミーでなく、すぐ消えてしまう大粒な炭酸プチプチ感なのが残念になりがちですが、この製品はかなりしっかりもっちりした泡で、そこが“リッチ”とネーミングする所以か。
北国の消費者としては、味云々より、パッケージデザインのトロピカル感、海浜リゾート感を買いたいですね。鈍系のシルバー地に製品色をイメージしたゴールド、ロゴと三つ星の青&赤。筆記体RichのRの“前髪”の先にホップの実、hの“足先”が天まで伸びて麦穂になっているという、なんともシンプルでアルカイックなくらい素朴な意匠。海の家の冷蔵ケースに並んでいたら、見た瞬間喉がガー乾いてきそうなヴィジュアルです。
ビール自体が季節商品ですし、発泡酒・新ジャンルはお値段面でも敷居の低さが魅力ですから、パッケージ外観は大切だと思う。せっかくの期間限定なら、もうちょっと田舎のコンビニ(ウチの近所とかウチの近所とかウチの近所とか)にも行き渡るだけ出荷してほしいところです。
ただ、お値段が他社の新ジャンル、SAPPORO麦とホップやクリアアサヒとまったく一緒ではさすがに厳しいかな。月河の周辺では、「クリアアサヒは甘いのとあの尿検査みたいな缶のデザインがイヤ」「麦とホップは飲みクチはいいけど後味がちょっと」という声も聞かれるので、もっと遠慮なく売り込めば食い込めそうですけどね。販売権を持つAsahiが、自社製のクリアアサヒを凌駕しないようコントロールしているのでしょうね。
『夏の秘密』は6週第30話まで来ました。全12週なので、第30話前後には必ずストーリー上、大きな舵を切る転換があるはずなのですが、25話でみのりの死が自殺と判明、28話で伊織(瀬川亮さん)の実母(岡まゆみさん)が、過去のなんらかのトラウマで精神の平衡を失いながら施設で存命と提示されて以降、謎部分のさしたる解明進展はなく、紀保(山田麻衣子さん)が少しずつ龍一(内浦純一さん)に冷たくなり、気持ちの上で伊織に傾斜して行って、ちょっとじりじりするのみの第6週でした。
龍一がいつ猜疑と嫉妬の塊りとなり紀保を束縛、伊織に嫌がらせをする、昼ドラお決まりの“ブラック化”に行くかとヒヤヒヤ、そこに若干のスリルとサスペンスはあったかな。
第1話でいきなり結婚式場から新郎龍一が連行されてしまい、「龍一さんは無実、私が証明して見せる」と息巻いて髪を切り偽名を使って現場の夕顔荘に乗り込んだ紀保でしたが、その動機は龍一への執着ではなく、むしろ“龍一との結婚に象徴される、満ち足り人に羨まれる安穏とした人生への訣別の辞”だったことを思い出す必要がある。
父・羽村社長(篠田三郎さん)から「見知らぬ女を妊娠させていたような人間だった、おまえを幸せにしてくれる夫ではない」と結婚を白紙に戻すよう迫られ、マスコミからは「貴女も婚約者に裏切られていた、ある意味被害者ですよね」と突っつかれたから、紀保は「泣いているだけの女にはならない」と奮い立ちもしましたが、とりわけ父が(考えにくいですが)「龍一クンを信じて待っていてあげなさい」と真逆の対応をしてでもいたら、紀保は「イヤイヤ、私に隠れて女の人を抱いて子供を作っていたなんて、想像しただけでもイヤ」と、泣く代わりに激昂して龍一に三行半をつきつけていたかもしれません。
何やら反抗期の子供みたいですが、結婚という人生の一大行事がからむと、人間、完璧に知的理性的であり続けることは非常に難しい。“マリッジブルー”という名の一過性の精神疾患に、最近は男性も多く罹るそうです。
所謂“ロマンティック・ラヴ”に基づく結婚は、女性から見て男性が“尊敬できる”存在であること、具体的には女性より男性のほうが高学歴高キャリアかつ高年収である必要がありますが、紀保の「龍一さんって素敵な人」「龍一さんと結婚できて幸せ」という自己確認には、どこか“社会的帳尻が合っている”“誰が見てもお似合いと評価してくれる”という安心感に拠っかかり過ぎなところがあり、妙齢男女の相思相愛としては基本的に低体温だった。
「龍一さんの無実を私が証明する」という紀保の自分及び周囲への宣言は、字ヅラとは違って“龍一(に代表される人生・生き方)からの卒業”宣言でした。みのりの自殺が公認され、龍一がめでたく無罪放免となったことで、紀保の龍一卒業は完了した。紀保は次のステップに踏み出そうとしているのだから、龍一から「あの日に戻ってプロポーズからやり直そう」と言われても迷惑なだけなのです。
言わば第6週は“冒頭部分の初期設定のおさらい”。「紀保にとってのこの行動は、ご存知のようにこういう動機でしたから、こういう結果が出ると紀保は当然こんな言動になりましたよ」という、“AゆえにB”の検証に過ぎない。
それにしてはちょっと話数を費やし過ぎたような気もします。来週から後半戦、『エゴイスト ~egoist~』のようにアワ食って毎話のように敵味方入れ替えたり、役降ろしたり降ろされたりするのもどうかなと思いますが、噛んで含めるところは噛んで含めつつ、ちゃんと唐紙開けて次の間に進まないとね。何話も閉じた部屋の中ぐるぐる回って障子越しに庭を見たり、畳剥がしたり屋根裏覗いたり、また座布団に戻って座ったりしてるのもどうなのかな。
唐紙がトントンッと開いていかないことより、月河は伊織の佇まいが拒否的過ぎるのが気になります。あまりに心を閉ざして本音を隠しているため、無理してもついて行って心を開かせてあげたいという、物語上は“紀保寄り”の気持ちが、観ていて失せる局面がたまさかある。「好きにすれば」「手に負えない」とちらっと思ってしまうんですね。たとえばフキの捨て身の肉弾求愛を善意で斥ける口実に「先約がある、人を待たせてる」はないんじゃないかな。
19話で店子の自殺未遂で落ち込みヤケ酒泥酔した雄介(橋爪遼さん)を案じ介抱しようとする紀保を「安っぽい同情はするな、雄介なら乗り越えられる」と押しとどめながらも、雄介が寝入ったのを見届けると毛布をかけてやる。“根は優しく温かい、かつ義理に篤い男”というサインは随所に配置されているだけに、いま少し、異性として取りつく島がほしい。
これも、一層個人的な所感ですが、25話でみのり自殺という結末に絶望して飲んだくれ、紀保にキスで励まされる伊織が、月河は(大袈裟に言うと)プチ絶望でした。
酒、それも大量の酒が入って初めて本音を吐露するということは、酒がなければ吐露できないということ。それだけ自己制御の重石がきつい=ストイック、という魅力の裏返しでもあるのですが、月河は自分がイケるクチなので、ツンデレのデレには酒を関わらせないでほしいんだな。“安くなる”気がするんです。
23話でフキ(小橋めぐみさん)の、母の形見の鼈甲櫛紛失?盗難?の件でセリ(田野アサミさん)から聴取、「記念撮影のカメラに盗み出す現場が写っていた」とブラフかけたことを護(谷田歩さん)に「思いつきかよ、おまえもヤルなあ」と言われて苦笑する、ああいう“はしなくも垣間見えた”伊織の表情をもっと見せてほしいと思う。
誰からも羨ましがられる、物心共に満ち足りた境遇から、自分の足で急峻のリスクを取る選択をした紀保のロビン・フッドなのですから、伊織には魅力的過ぎるくらい魅力的であってもらわないとね。